107 / 1,122
12章
元魔王様と異世界の料理 4
しおりを挟む
シキの選んだ鍋にリュカが油を注いでいくが、一度でそれなりの量を使う事に驚いていた。
当然使用する油の代金は後で払うと言っておく。
初めての調理法に少し緊張している様だが、シキがリュカの肩に乗りながら只々注意事項や指示を述べているので問題無いだろう。
「芋はここにある物を使う?」
「使った分の金は油と同じく払うからそれで頼む。」
使った分の金さえ払ってもらえればリュカも文句は無い。
「芋はしっかり水気を取ってほしいのです。」
「分かったわ。」
リュカが慣れた手付きで芋を洗い、水気を取ってから皮を剥いていく。
接客が殆どと言っても料理に関する基本的な事は手慣れている様だ。
「そしたら細く切ってほしいのです。」
リュカはシキの指示に従って、芋を二等分四等分と均一に細く切っていく。
「これくらいでどう?」
「もっとなのです。」
リュカが見せてきたのはそれなりに細く切られているが、フライドポテト用と考えるとまだ太い。
「もっと?こんなに芋を細く切った事無いから少し新鮮ね。」
芋を使う料理となると、スープの具材としてゴロッと大きめに切るか、蒸かし芋として殆どそのまま出す事が多く、細く切る機会が無い。
なのでサラダに使う野菜の様に細く切るとは思っていなかった。
「そしたら油に投入なのです。」
シキの言われた通りに細く切った芋を油の中に沈めていく。
少しすると中の芋が香ばしい色へと変化してきた。
「何か串とかないです?刺して揚げ具合を測りたいのです。」
「分かったわ。特に抵抗感無く刺さるわね。」
料理で使う串を使って言われた通りに芋に刺してみると串はスルッと芋に刺さった。
「だったら取り出して大丈夫なのです。」
香ばしい色へと変化した芋を油の中から取り出していく。
後で食べた時に油でギトギトにならない様に、油はしっかりと落とす。
「後はどうするの?」
油で揚げられた芋を前にリュカが尋ねる。
「味を付けたら終了なのです。」
「ほぉ、随分とシンプルなんだな。」
「え?もう終わりなの?揚げる料理ってシンプルなのね。」
リュカはこの後も何か工程があると思っていたのだろう。
こんなに早く料理が終わって驚いている。
「味付けは塩だったか?」
「そうなのです。リュカ、塩を上からまぶしてほしいのです。」
味付けとして塩をまぶせば、フライドポテトは完成だ。
シキとしては他にもケチャップやマヨネーズと言った調味料も欲しいと考えたが、この世界で生きてきて聞いた事が無い調味料だったので今回は我慢する。
追々そう言った物も作っていこうと密かに考えてはいた。
「え?塩?」
味付けとして塩を要求すると、何故かリュカは戸惑った様子になる。
「ん?切らしてるのか?」
その反応から女将が代わってくれた買い出しの中に塩も含まれていたのかと考える。
「そう言う訳じゃ無いけど、塩か~。」
どうやら塩は切らしている訳では無さそうだ。
厨房にあるのだが何かに躊躇っている様子のリュカ。
ジルとシキは何に迷っているのか分からず首を傾げる。
「何を悩んでいるのです?」
「塩ってそれなりに高価だからさ、お母さんに一応聞いてみないと。」
リュカは勝手に使う事を躊躇っていたのだ。
理由は塩がそれなりに高価だからである。
調味料の中でも塩は比較的に安い部類だが、それでも簡単に手を出しづらいと思うくらいには値段が高い。
「あっ、うっかりしてたのです。」
「そう言われるとそうか。」
海に面した街であれば塩も安く手に入るのだが、セダンの街近辺は海に面していない。
遠くから運んでくるしかない物資程、輸送の大変さから値段は上がってしまうのだ。
「これ全体に掛かるとなるとそれなりに使うのよね?」
「そうなるのです。」
目の前には皿一杯に盛り付けられたフライドポテトがある。
全体に味を付けるとなると、高価な塩をそれなりに使用する事となってしまうだろう。
「まあ、取り敢えず塩を掛けてみてくれ。使った分は我が後で買ってこよう。」
高価とは言ってもジルの財力ならば購入は可能だ。
せっかく味付け前まで完成したのに、女将がくるまで待っていては冷めてしまう。
「まあ、それなら大丈夫かな。こんな感じ?」
ジルが買ってくれるならばと、リュカは塩が入った小さな壺を持ってきて指で摘んでパラパラと上からまぶしていく。
揚げたての芋に塩が付着した事により、芋がキラキラと光っているかの様である。
「完成なのです!早速食べてみるのです!」
正に本で見た通りの出来栄えとなったフライドポテトを前に、シキは待ち切れないと言った様子で言う。
「そうするか。リュカも遠慮しなくていいぞ。」
「やった!さすがジルさん!」
リュカが自分の休憩時間を使ってでも積極的に手伝う理由がこれだ。
ジルは作ってくれたお礼として、リュカにも分けてくれるのである。
初めて見る料理なので当然リュカも食べてみたいと思った。
ジルとリュカはフライドポテトを持つと一口でパクリと食べ、シキは皿の近くに降りて両手で持ち上げながら、小さな口で豪快にかぶりついた。
「美味い!」
「美味しいのです!」
異世界料理の再現は文句無しで、自然と口から言葉が出てくるくらい大満足の美味しさだった。
当然使用する油の代金は後で払うと言っておく。
初めての調理法に少し緊張している様だが、シキがリュカの肩に乗りながら只々注意事項や指示を述べているので問題無いだろう。
「芋はここにある物を使う?」
「使った分の金は油と同じく払うからそれで頼む。」
使った分の金さえ払ってもらえればリュカも文句は無い。
「芋はしっかり水気を取ってほしいのです。」
「分かったわ。」
リュカが慣れた手付きで芋を洗い、水気を取ってから皮を剥いていく。
接客が殆どと言っても料理に関する基本的な事は手慣れている様だ。
「そしたら細く切ってほしいのです。」
リュカはシキの指示に従って、芋を二等分四等分と均一に細く切っていく。
「これくらいでどう?」
「もっとなのです。」
リュカが見せてきたのはそれなりに細く切られているが、フライドポテト用と考えるとまだ太い。
「もっと?こんなに芋を細く切った事無いから少し新鮮ね。」
芋を使う料理となると、スープの具材としてゴロッと大きめに切るか、蒸かし芋として殆どそのまま出す事が多く、細く切る機会が無い。
なのでサラダに使う野菜の様に細く切るとは思っていなかった。
「そしたら油に投入なのです。」
シキの言われた通りに細く切った芋を油の中に沈めていく。
少しすると中の芋が香ばしい色へと変化してきた。
「何か串とかないです?刺して揚げ具合を測りたいのです。」
「分かったわ。特に抵抗感無く刺さるわね。」
料理で使う串を使って言われた通りに芋に刺してみると串はスルッと芋に刺さった。
「だったら取り出して大丈夫なのです。」
香ばしい色へと変化した芋を油の中から取り出していく。
後で食べた時に油でギトギトにならない様に、油はしっかりと落とす。
「後はどうするの?」
油で揚げられた芋を前にリュカが尋ねる。
「味を付けたら終了なのです。」
「ほぉ、随分とシンプルなんだな。」
「え?もう終わりなの?揚げる料理ってシンプルなのね。」
リュカはこの後も何か工程があると思っていたのだろう。
こんなに早く料理が終わって驚いている。
「味付けは塩だったか?」
「そうなのです。リュカ、塩を上からまぶしてほしいのです。」
味付けとして塩をまぶせば、フライドポテトは完成だ。
シキとしては他にもケチャップやマヨネーズと言った調味料も欲しいと考えたが、この世界で生きてきて聞いた事が無い調味料だったので今回は我慢する。
追々そう言った物も作っていこうと密かに考えてはいた。
「え?塩?」
味付けとして塩を要求すると、何故かリュカは戸惑った様子になる。
「ん?切らしてるのか?」
その反応から女将が代わってくれた買い出しの中に塩も含まれていたのかと考える。
「そう言う訳じゃ無いけど、塩か~。」
どうやら塩は切らしている訳では無さそうだ。
厨房にあるのだが何かに躊躇っている様子のリュカ。
ジルとシキは何に迷っているのか分からず首を傾げる。
「何を悩んでいるのです?」
「塩ってそれなりに高価だからさ、お母さんに一応聞いてみないと。」
リュカは勝手に使う事を躊躇っていたのだ。
理由は塩がそれなりに高価だからである。
調味料の中でも塩は比較的に安い部類だが、それでも簡単に手を出しづらいと思うくらいには値段が高い。
「あっ、うっかりしてたのです。」
「そう言われるとそうか。」
海に面した街であれば塩も安く手に入るのだが、セダンの街近辺は海に面していない。
遠くから運んでくるしかない物資程、輸送の大変さから値段は上がってしまうのだ。
「これ全体に掛かるとなるとそれなりに使うのよね?」
「そうなるのです。」
目の前には皿一杯に盛り付けられたフライドポテトがある。
全体に味を付けるとなると、高価な塩をそれなりに使用する事となってしまうだろう。
「まあ、取り敢えず塩を掛けてみてくれ。使った分は我が後で買ってこよう。」
高価とは言ってもジルの財力ならば購入は可能だ。
せっかく味付け前まで完成したのに、女将がくるまで待っていては冷めてしまう。
「まあ、それなら大丈夫かな。こんな感じ?」
ジルが買ってくれるならばと、リュカは塩が入った小さな壺を持ってきて指で摘んでパラパラと上からまぶしていく。
揚げたての芋に塩が付着した事により、芋がキラキラと光っているかの様である。
「完成なのです!早速食べてみるのです!」
正に本で見た通りの出来栄えとなったフライドポテトを前に、シキは待ち切れないと言った様子で言う。
「そうするか。リュカも遠慮しなくていいぞ。」
「やった!さすがジルさん!」
リュカが自分の休憩時間を使ってでも積極的に手伝う理由がこれだ。
ジルは作ってくれたお礼として、リュカにも分けてくれるのである。
初めて見る料理なので当然リュカも食べてみたいと思った。
ジルとリュカはフライドポテトを持つと一口でパクリと食べ、シキは皿の近くに降りて両手で持ち上げながら、小さな口で豪快にかぶりついた。
「美味い!」
「美味しいのです!」
異世界料理の再現は文句無しで、自然と口から言葉が出てくるくらい大満足の美味しさだった。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる