【毎日更新】元魔王様の2度目の人生

ゆーとちん

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12章

元魔王様と異世界の料理 6

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 食べ終えた女将の顔は、フライドポテトの味に満足そうにしつつも、もう無くなってしまった事に悲しんでいる様子だ。

「これは美味しいね。」

 よほど気に入ったのだろう、まだまだ食べたいと言う感情がその言葉から久々と伝わってくる。

「でしょ!それに作るのも凄く簡単だったんだよ!」

「新しいメニューの候補になるのではないか?」

 美味しいだけで無く、リュカから作り方が簡単でとても楽だと言う話しも聞かされる。

「これだけ美味しいなら考えてもいいね。でも大量に塩を使うんだろ?」

 女将は実際に自分で食べてみて、メニューに加えたいと思える料理ではあった。
しかし高価な塩を大量に使用する料理となると、直ぐには決断出来無い。

「そうだな。それに加えて芋も当然大量に使うが、油もそれなりに使う。」

 芋は比較的安く手に入る食材なので特に問題は無い。
しかし油は塩程では無いが、芋に比べれば中々値が張るだろう。

「油をかい?」

 実際の調理を見ていない女将はどれくらい使うか分かっていない。

「揚げるって言う調理法で作ったんだけど、油の中に芋を沈めて加熱する方法なの。だから普段の料理に比べるとそれなりに使うみたいだよ。」

 そう言ってリュカがフライドポテトを揚げるのに使った鍋を指差す。

「こんなに使うんだね…。」

 女将もその量に驚いている。
普段の料理に使う量とは比べ物にならない。

「新しい油の方がいいかもなのですが、油は何回か使う事も出来るのです。」

 使う油の種類や揚げる物にもよるが、油は再使用可能である。
フライドポテトがある世界からすれば、種類は同じだが芋も油も似て非なる物だ。

 先程は同じ油で何回もフライドポテトを作ったが、特に違和感をジル達は感じなかった。
なのでこれに関しては、作り手が料理の味をしっかりと確かめながら見極めていく事になるだろう。

「そこら辺は実際に沢山作ってみないと分からないかもしれないね。」

 女将としても実際に自分で料理しなければ判断出来無いと言った感じだ。

「それらを考慮すると、元を取れる値段となれば高くなり過ぎるか?」

 平民をターゲットにした宿屋なので、あまりにも高額なメニューとなると誰も注文してくれない可能性がある。

「そうだね…。材料の芋と油は取り敢えずなんとかなるとしても問題は塩だろうね。」

 フライドポテトをメニューに入れるとすれば、大量の塩が必要となってくる。
高価な塩を大量に買い込むのは、宿屋の財政的には厳しいところだ。

「そんなに塩は高いのか?」

「セダンは海から遠いからね。さっき使った分だけでも、小金貨数枚くらいはするかな?」

 小さな壺一杯に入っていた訳でも無いのに、小金貨数枚もしてしまうらしい。
それだけここまで運んでくるのが大変だと言う事だ。

「ふむ、提供するにしてもそれなりに値段が掛かるか。」

「もう少し小さい皿にすれば、銀貨3枚くらいでなら出せるかな?」

 実際に自分で作ってみたリュカが、材料費や手間を考えて利益の出る値段を出してみた。

「そのくらいなら全然払えるな。」

「それだけの価値はあるのです!」

 二人はリュカの値段設定を聞いて文句は無い。
普通の料理からすれば結構割高なのだが、あの美味しさを考えれば納得である。
平民でも少し贅沢な額ではあるが出せないレベルでは無いので、メニューとしても機能しそうだ。

「それなら検討するのもありかね。」

「それに夕食時のメニューとしてたまに出せば、宣伝にもなるんじゃないか?」

 食事処は女将の作る飯が美味いのと看板娘のリュカが可愛い事でそれなりに人気がある。
しかし宿の方は特に他の宿屋と変わらないので、客の入りは普通だ。

 なので何か特別な事が加われば、他の宿屋よりも客を集められる可能性が高まるかもしれない。
身近な食材を使っての絶品料理となれば充分客引きとして機能しそうだ。

「…ありかもしれないね。よし、早速今日の夜から試してみようじゃないか!」

 ジルの言葉を聞いた女将が話しにのってきた。
今日の夜からフライドポテトをメニューとして試してくれるらしい。

「ならば早速買ってくるとするか。」

「待っておくれ。せっかくならこの機会に大量に仕入れにいこうじゃないか。」

 塩を買いにいこうとしたジルを呼び止めて女将が言う。
フライドポテトがメニューに加われば、今後普段買ってる量では足りなくなるかもしれないので、最初から大量に買い付けにいくつもりらしい。

「大量に?」

「いつもは適当な露店で仕入れるんだけどね。大量に買うとなれば値段交渉もしてくれるだろうし、せっかくなら大店にいくとしようじゃないか。」

 どうやら大量に買う事を条件に安くしてもらうつもりの様だ。
大店での大きな取り引きでは、そう言った交渉も結構してくれるのである。

「それは近いのか?」

「勿論さ、これからいくのはビーク商会だよ。」

 なんと女将がいくつもりの大店とは、ついこの前ジル達とも揉め事を起こしたセダン一の大商会でもあるビーク商会だった。
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