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17章
元魔王様とオークションでの再会 5
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日が沈み始めた頃、ジル達はバイセルの街に到着した。
いきなりスカイで街の近くに降りると騒ぎになる可能性があるので、セダンの街で出発した時の様に街から離れた場所に一度降りる。
「途中魔物と接敵したがジルのおかげで予定通りに到着出来たな。」
概ねダナンが出発前に予定していた通りに辿り着けた。
迂回していたらこうはいかなかっただろう。
「野宿はごめんだからな。」
「美味しいご飯が食べたいのです!」
ジルもシキも食には拘りが強い。
せっかく遠出して普段来ない街にきたのだからどうせなら美味しい物を食べたい。
「美味い飯の宿屋か。」
ダナンはバイセルの街を時々訪れる。
その時に泊まる事もあるのでそれなりに街について詳しい。
ジル達の希望に合うものを思い出しながら悩んでいる。
「出来れば風呂もほしいな。」
「風呂だと?貴族みたいな贅沢な事を言ってるな。」
ジルの発言にダナンが呆れた様に言う。
風呂と言えば大量のお湯が必要であり、毎回用意するだけで重労働である。
魔法を使えばある程度手間を省く事も出来るが、貴重な魔力を日々の贅沢の為に注ぎ込んではいられない。
そんな余裕があるのは人を雇える財力のある貴族くらいだろう。
平民は身体を拭くくらいが一般的だ。
しかしジルは鬼人族の集落で異世界の文化に触れてしまった。
その時の風呂はとても心地良く感激したのはよく覚えている。
セダンに戻ってきてからも入りたいと思い、異世界通販のスキルで木製の浴槽を購入したくらいだ。
たまに宿屋の庭を借りて利用していたりする。
「無いのか?」
「飯が美味くて風呂も付いてる宿屋となると、金は掛かるがあるにはあるぞ。」
ダナンの記憶の中に一件だけ心当たりがあった。
「せっかくの遠出だ。そこに泊まるとしよう。」
高いと聞いても条件を満たしているのならば文句は無い。
「本来は貴族向けの宿屋なんだがな。まあ、金は持ってるし問題無いだろう。」
ダナンには王族の後ろ盾もある。
貴族向けと言うだけで平民が泊まれない訳でも無いし、文句を言われれば便利な後ろ盾を利用するまでだ。
早速その宿屋に向かって街を進む。
目的の宿屋が見えてくると遠目からでも分かるくらい外観が豪華である。
その外観だけでも平民は萎縮して泊まれないかもしれない。
「見るからに高そうだな。」
「空いているといいんだが。」
「そんなに人気なのか?」
貴族向けとされているので平民も泊まれない訳では無いが泊まる者は少ないだろう。
街の大半を占める平民が泊まれず、必然的に金持ちしか泊まれないとなると宿屋がそう簡単に埋まるとは思えなかった。
「高級宿としての人気もあるが、明日はオークションだからな。街にきた貴族や商人も利用してるだろう。」
ダナンに言われて納得する。
ここはバイセルの街でも一二を争う高級宿屋なので、オークションに参加する金持ち達は泊まりたがるだろう。
それにそう言った者達は外聞を気にする。
安宿に泊まって他の者達に侮られる訳にはいかない。
それに明日はオークションが開かれるので、財力の見せつけ合いは既に始まっているのだ。
「いらっしゃいませ。」
宿の中に入ると宿の従業員と思われる執事風の者が恭しく礼をしてくる。
「お食事でしょうか?ご宿泊でしょうか?」
「泊まりだ。二部屋空いているか?」
「はい、大丈夫で御座います。明日はオークションなので泊まっていただくお客様も多く、残り二部屋でしたので。」
どうやらお目当ての宿屋に泊まる事が出来そうである。
それにしても高級宿屋が残り二部屋とは、間違い無くオークション参加者達が大半を占めているだろう。
「運が良かったな。」
「では、その二…。」
「おい、そこの店員。」
ダナンが部屋を取ろうとした瞬間、後ろから新たに入ってきた男がそれを遮って偉そうに執事に話し掛けてくる。
歳はジルと同じくらいに若く見えるが、その身体はだらしなく太っている。
「僕が泊まってやるから部屋を用意しろ。」
上から目線で執事に命令する男。
体型に似合わず身なりは良いので貴族かもしれない。
「申し訳ありません。今ちょうど部屋が埋まってしまいまして。」
執事は言葉通りに申し訳無さそうに謝っている。
貴族向けの宿屋なのでこう言った手合いの相手も慣れているのだろう。
偉そうに振る舞う態度も気にしていない。
「何?僕の部屋が無いだって?」
男はその言葉を聞いて後ろで待機している護衛達の方を向く。
「おい、他に僕に相応しい宿屋はあるのか?」
男の言葉に護衛達は少し話し合ってから首を横に振る。
「残念ながら若様、他は普通の宿屋しかありません。若様を満足させられるのは、唯一この宿屋くらいでしょう。」
申し訳無さそうに護衛が告げる。
若様と呼ばれた事からも身分の高さが伺える。
「そこの平民共、これから泊まるのだろう?僕に部屋を明け渡せ。金なら払ってやる。」
どうやら諦めると言う選択肢がこの若様と呼ばれた者には無いらしい。
金を払ってでもこの宿屋に泊まりたい様子だ。
ジルと違ってダナンは別に宿屋に拘りは無さそうである。
どうするのかは任せるとでも言いたげにジルの方を黙って見ている。
「断る。空いていないと言っているのだ、諦めて他の宿屋を探すんだな。」
ジルは当然受け入れるつもりは無い。
元々この宿屋に泊まるつもりであり、不当な手段を使わずに部屋を確保出来るのだ。
貴族と言えども後から来た者にわざわざ譲るつもりは無い。
「なっ!?貴様、平民のくせに僕にそんな態度を取って許されると思ってるのか!」
ジルの言葉を聞いた若様は怒りを露わにして睨み付けてきた。
いきなりスカイで街の近くに降りると騒ぎになる可能性があるので、セダンの街で出発した時の様に街から離れた場所に一度降りる。
「途中魔物と接敵したがジルのおかげで予定通りに到着出来たな。」
概ねダナンが出発前に予定していた通りに辿り着けた。
迂回していたらこうはいかなかっただろう。
「野宿はごめんだからな。」
「美味しいご飯が食べたいのです!」
ジルもシキも食には拘りが強い。
せっかく遠出して普段来ない街にきたのだからどうせなら美味しい物を食べたい。
「美味い飯の宿屋か。」
ダナンはバイセルの街を時々訪れる。
その時に泊まる事もあるのでそれなりに街について詳しい。
ジル達の希望に合うものを思い出しながら悩んでいる。
「出来れば風呂もほしいな。」
「風呂だと?貴族みたいな贅沢な事を言ってるな。」
ジルの発言にダナンが呆れた様に言う。
風呂と言えば大量のお湯が必要であり、毎回用意するだけで重労働である。
魔法を使えばある程度手間を省く事も出来るが、貴重な魔力を日々の贅沢の為に注ぎ込んではいられない。
そんな余裕があるのは人を雇える財力のある貴族くらいだろう。
平民は身体を拭くくらいが一般的だ。
しかしジルは鬼人族の集落で異世界の文化に触れてしまった。
その時の風呂はとても心地良く感激したのはよく覚えている。
セダンに戻ってきてからも入りたいと思い、異世界通販のスキルで木製の浴槽を購入したくらいだ。
たまに宿屋の庭を借りて利用していたりする。
「無いのか?」
「飯が美味くて風呂も付いてる宿屋となると、金は掛かるがあるにはあるぞ。」
ダナンの記憶の中に一件だけ心当たりがあった。
「せっかくの遠出だ。そこに泊まるとしよう。」
高いと聞いても条件を満たしているのならば文句は無い。
「本来は貴族向けの宿屋なんだがな。まあ、金は持ってるし問題無いだろう。」
ダナンには王族の後ろ盾もある。
貴族向けと言うだけで平民が泊まれない訳でも無いし、文句を言われれば便利な後ろ盾を利用するまでだ。
早速その宿屋に向かって街を進む。
目的の宿屋が見えてくると遠目からでも分かるくらい外観が豪華である。
その外観だけでも平民は萎縮して泊まれないかもしれない。
「見るからに高そうだな。」
「空いているといいんだが。」
「そんなに人気なのか?」
貴族向けとされているので平民も泊まれない訳では無いが泊まる者は少ないだろう。
街の大半を占める平民が泊まれず、必然的に金持ちしか泊まれないとなると宿屋がそう簡単に埋まるとは思えなかった。
「高級宿としての人気もあるが、明日はオークションだからな。街にきた貴族や商人も利用してるだろう。」
ダナンに言われて納得する。
ここはバイセルの街でも一二を争う高級宿屋なので、オークションに参加する金持ち達は泊まりたがるだろう。
それにそう言った者達は外聞を気にする。
安宿に泊まって他の者達に侮られる訳にはいかない。
それに明日はオークションが開かれるので、財力の見せつけ合いは既に始まっているのだ。
「いらっしゃいませ。」
宿の中に入ると宿の従業員と思われる執事風の者が恭しく礼をしてくる。
「お食事でしょうか?ご宿泊でしょうか?」
「泊まりだ。二部屋空いているか?」
「はい、大丈夫で御座います。明日はオークションなので泊まっていただくお客様も多く、残り二部屋でしたので。」
どうやらお目当ての宿屋に泊まる事が出来そうである。
それにしても高級宿屋が残り二部屋とは、間違い無くオークション参加者達が大半を占めているだろう。
「運が良かったな。」
「では、その二…。」
「おい、そこの店員。」
ダナンが部屋を取ろうとした瞬間、後ろから新たに入ってきた男がそれを遮って偉そうに執事に話し掛けてくる。
歳はジルと同じくらいに若く見えるが、その身体はだらしなく太っている。
「僕が泊まってやるから部屋を用意しろ。」
上から目線で執事に命令する男。
体型に似合わず身なりは良いので貴族かもしれない。
「申し訳ありません。今ちょうど部屋が埋まってしまいまして。」
執事は言葉通りに申し訳無さそうに謝っている。
貴族向けの宿屋なのでこう言った手合いの相手も慣れているのだろう。
偉そうに振る舞う態度も気にしていない。
「何?僕の部屋が無いだって?」
男はその言葉を聞いて後ろで待機している護衛達の方を向く。
「おい、他に僕に相応しい宿屋はあるのか?」
男の言葉に護衛達は少し話し合ってから首を横に振る。
「残念ながら若様、他は普通の宿屋しかありません。若様を満足させられるのは、唯一この宿屋くらいでしょう。」
申し訳無さそうに護衛が告げる。
若様と呼ばれた事からも身分の高さが伺える。
「そこの平民共、これから泊まるのだろう?僕に部屋を明け渡せ。金なら払ってやる。」
どうやら諦めると言う選択肢がこの若様と呼ばれた者には無いらしい。
金を払ってでもこの宿屋に泊まりたい様子だ。
ジルと違ってダナンは別に宿屋に拘りは無さそうである。
どうするのかは任せるとでも言いたげにジルの方を黙って見ている。
「断る。空いていないと言っているのだ、諦めて他の宿屋を探すんだな。」
ジルは当然受け入れるつもりは無い。
元々この宿屋に泊まるつもりであり、不当な手段を使わずに部屋を確保出来るのだ。
貴族と言えども後から来た者にわざわざ譲るつもりは無い。
「なっ!?貴様、平民のくせに僕にそんな態度を取って許されると思ってるのか!」
ジルの言葉を聞いた若様は怒りを露わにして睨み付けてきた。
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