【毎日更新】元魔王様の2度目の人生

ゆーとちん

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26章

元魔王様と絶品魚料理 5

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 店主に寿司の準備を頼んでジルは店を出る。
異世界の高級料理でもある寿司をいつでも食べられる様に大量に作ってもらう。
その為には大量の新鮮な魚が必要だ。

 向かうのは広々とどこまでも広がっている海だ。
店主に魚取りの際の穴場を教えてもらったのでそこで大漁を目指す。
魚の種類が豊富であり、投網や釣りで漁師にも人気のスポットらしい。

「ここら辺だな。」

 穴場に到着したジルは無限倉庫から大きな生簀を二つ取り出す。
店主の店にあった生簀を運搬用として借りてきたのだ。

 目標はこの生簀が二つ一杯になるまで取る事だ。
他にも魚を獲る際に使う道具を借りてきたので全て取り出していく。

「マスター、我々は何をすれば宜しいでしょうか?」

 ジルの後ろにいるメイド、タイプBが尋ねてくる。
魚を捕獲する手伝いとしてタイプBとタイプCに出てきてもらっている。

 この者達はジルが魔王時代に作った魔法道具のゴーレムだ。
タイプBが近接戦闘型、タイプCが解析兼支援型と役割はあるが、それ以外何も出来ない訳では無い。
指示すればその通りに動いてくれるし、説明すればどんな作業も頼める。

「少し待ってくれ。中級土魔法、ストーンウォール!」

 ジルは海辺に近付いて魔法を使用する。
それにより砂場から海の中に掛けて巨大な半円型の石の壁が現れる。
海底から石の壁が競り上がって出来ているので、覆われた部分は完全に隔離された事になる。

「我がこの中に魚を移動させる。お前達は網で救って生簀に移動させてくれ。」

 正攻法の投網や釣りを試しても素人では成果が薄そうだと判断した。
なので魔法やスキル頼りの魚獲りをする事にしたのだ。

 しかし穴場スポットと知られている場所で雷霆魔法を海に放って感電させて取ったり、重力魔法で魚を浮かべたりと大掛かりな事をしてしまえば目立つ可能性がある。

 なのであまり目立たない様にジルは石壁の囲いの中に魚を移動させて、メイドゴーレム達に普通に網で掬ってもらう事にしたのだ。

「「承知しました。」」

 二人が頷くのを確認してジルは砂浜に座り座禅を組む。
以前ワイバーンの卵取りをした時の魔法を広範囲で使うので集中する必要がある。

「時空間魔法、空間把握!」

 目を閉じて魔法を発動させる。
これで周囲の情報をジルは認識出来る様になった。
心眼のスキルでも良かったが空間把握の魔法の方が範囲は段違いに広い。

 更に魔法範囲内であればどこでも他の魔法を使えるのも便利だ。
砂浜から海側へと認識範囲を広げていく。

「見つけた。沖に行くに連れて数も増えているな。」

 認識範囲内に魚の反応がどんどん増えていく。
種類も豊富であり、店で店主が捌く時に使っていた魚もちらほら見える。

「時空間魔法、空間置換!」

 この魔法は離れた一部の空間同士を入れ替える効果がある。
これにより大海原を泳ぐ魚達を石壁内へと移動していく。
指定する空間の範囲が大きくなれば魔力消費も多くなるが、魚くらいの大きさであれば問題無く連続使用が出来る。

 投網や釣りと違って魚の位置が全て分かっているので次々と石壁内へと移動させていく。
これで石壁内に魚が増えていくので網でも獲れ放題となるだろう。
これがジルの考えたジル流の魚獲りだ。

「我はこのまま継続するから魚の移動は頼むぞ。」

「「はい!」」

 メイドゴーレム達はジルの言葉に頷き、大網を持って石壁内の海へと入っていく。
ジルの魔法によってどんどん魚が追加されていくので水面からでも沢山見える様になってくる。

 タイプBとタイプCが次々と網で掬って生簀へと移動させていく。
面白い様に取れるので生簀はかなり大きいのに直ぐ半分くらいいきそうである。

「タイプC、まだその程度しか取れていないのですか?私の方が多いですよ。」

 暫く獲っているとタイプBが生簀に魚を移しながらタイプCの生簀を見て煽る。

「私は量よりも質なのです。こちらの生簀に入っている方が大きい魚ばかりでしょう?」

 煽られたタイプCはそう言って煽り返す。
数のタイプB、大きさのタイプCと言った感じだ。
生簀的にはどちらも半分くらい埋まっているので、違いはあるが総量は同じくらいだ。

「ふっ、選ぶ余裕があるのですか?これでは私の方が早く生簀が埋まりそうですね。」

「マスターの前でそんな冗談は笑えませんね。私の方が早く埋まるに決まっているじゃないですか。」

「「…。」」

 二人は至近距離でお互いを見て、バチバチと火花が見えそうな感じが伝わってくる。
ジルにもその言い合いは聞こえてきており、目を閉じてるが空間把握で二人の事も認識出来ている。

 この二人はジルの言う事には良く従ってくれるが顔を合わせれば言い合いの喧嘩をする事が多い。
またいつものかとジルは内心で溜め息を吐く。

「それでは競争といきますか?」

「望むところです。」

 口喧嘩がヒートアップしてきたので止めようかと思ったが、どうやら魚獲り勝負となりそうな雰囲気である。
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