【毎日更新】元魔王様の2度目の人生

ゆーとちん

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30章

元魔王様とダンジョンのボス部屋 8

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 魔法によってトレンフルのダンジョンの最高到達階層を大幅に更新したジル達は28階層の探索をしていたのだが、現在約一名の悲鳴がずっとダンジョンで鳴り響いている。

「ぎゃああああ死ぬうううう!?」

「喧しいぞ、ルルネット。」

 ジルは目前に迫ってきたデュラハンを横薙ぎに振るった銀月で葬りながら文句を言う。
現在進行形で悲鳴を上げ続けているルルネットは、ジルの背中にぴったりとしがみ付いている状態だ。

「戦いにくいから離れろ。」

「無理無理無理死んじゃうじゃない!?」

 ルルネットを背負いながら戦っている様なものなので動きがかなり阻害されている。
タイプCとホッコは少し離れた場所で同じくデュラハンの相手をしているのでルルネットの事を頼むに頼めない。

「そもそもお前が不用意に部屋に入ったのが原因なんだぞ?」

 現在大量のデュラハンに囲まれているのだがその元凶はルルネットにあった。
28階層を探索中に一つの部屋を発見した。
その部屋は通路からでも中がよく見えており、豪華な宝箱が一つだけポツンと置かれている部屋だった。

 警戒してずっと使っていた感知スキルに反応は無く、敵がいない状況だったので、お宝を発見してしまえば素通りなんて出来無かった。
ルルネットはジル達を引き連れてその部屋に入ってしまった。

 すると獲物を待ち構えていたかの様に通路の入り口が閉じられて、床には魔法陣が大量に浮かび上がった。
そしてそこからはBランクの中でも強い魔物であるデュラハンが大量に召喚されたのだ。

「そんな事言ったってあんな宝箱があったら見逃せる訳無いじゃない!」

「明らかに罠だと言うのにな。」

 ジルは呆れて溜め息を吐く。
そうは言ってもルルネットはダンジョン初心者である。
知識は勉強して蓄えていた様だが実際に自分で入ったのは初めてだったのでこう言ったミスも仕方無いだろう。

 本来はパーティーが全滅する様な死の魔物トラップであり、仕方無いでは済まされない戦犯行為なのだが、一緒に行動していたのがジル達だったから助かったと言える。

「いいから早く倒してよ!私が殺されちゃう!」

「我儘な弟子を持つと苦労する。」

 その後ジルはデュラハンを息をするかの様に軽々と葬っていき、タイプCも修復が完了した連動外装の手で次々と握り潰していった。

「これで最後だ、な!」

 銀月を受け止めようとしたデュラハンの剣諸共本体を両断してドロップアイテムに変える。
結果的に大量のドロップアイテムを回収出来たので良い金稼ぎにはなった。

「はぁ~、助かった。」

 召喚されたデュラハンが一掃されてルルネットは地面に腰を下ろす。

「これに懲りたら不用意な行動はしない事だ。」

「反省してます。」

 さすがに危険な行動をした自覚はある様で素直に頷いている。
今回の事で学び、次回からのダンジョン探索で活かせるのならば特に文句も無い。

「マスター、ドロップアイテムの回収完了しました。」

 ルルネットに説教をしている間にタイプCが全てのドロップアイテムを集めてくれた。
連動外装の手に魔石や装備類が沢山乗せられている。

「悪いな。怪我も特に大丈夫そうだな。」

「この通り問題ありません。」

「クォン。」

 タイプCもホッコも無事にデュラハンとの戦闘を終えられた様だ。

「ごめんね二人共、私のせいで。」

「確かに危険な行為ではありましたが、実際に経験するのは悪い事ではありません。ダンジョンの恐ろしさを理解出来たのですから。」

 危険な状況に陥ったが特に怒っている様子は無い。
タイプCもジルと同じく、経験になったのだから悪い事ばかりじゃ無いと考えている様だ。

「うん、どんな時でも慎重に行動する様にするわ。」

「クォオ。」

「ホッコ、ありがとね。」

 ホッコがルルネットの肩に飛び乗って慰める様に頬擦りしている。
頭が良いだけでは無く空気も読めるらしい。

「落ち込むのはここまでだ。せっかく見つけたのだから開けてみろ。」

「私でいいの?」

 ジルがルルネットの方を見ながら宝箱の方を顎で示す。
危険な行動をしたばかりで戦闘を一切行っていないので気が引けている様だ。

「発見したのはルルネットだからな。その宝箱の中身は初ダンジョン記念にくれてやろう。」

「魔物のランクから考えてもこのダンジョンの深層には違いありません。中身は期待出来ますね。」

 道中にも宝箱は何個か見つけているが特に気になる程の物は入っていなかった。
しかしここは28階層とかなり深い場所だ。
宝箱の見た目も今までの物より豪華なので期待出来る。

「分かったわ、有り難く貰うわね。」

 ルルネットはお礼を言ってから宝箱を開く。
中には紅の刀身を持つ短剣が一つ入っていた。

「…綺麗。」

 短剣を手に取ったルルネットは思わず見惚れている。
それ程鮮やかで綺麗な色をした短剣であった。

「ほお、良さそうじゃないか?」

「ルルネット様が使う分には当たりですね。火系統の魔法やスキルを高める効果があります。」

 火魔法を主体として戦っているルルネットにとっては相性抜群の武器である。
これで更なる戦力強化となるだろう。

「ほ、本当に貰っていいのよね?今更返せとか言わない?」 

「そんな事は言わん。これから存分に使っていくといい。」

「うん、大切にするわ!」

 ルルネットは短剣を大事そうに抱えながら満面の笑みで言った。
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