272 / 1,122
31章
元魔王様と船上の戦い 3
しおりを挟む
エルフの森に関しては当然ジルも知っている。
魔王時代にはエルフの知り合いもそれなりにいたので話しを聞く機会も多かった。
「エルフが住まう森、集落の入り口は同胞しか知らない。我が知っているのはこれくらいだな。」
「なーんだ、分かってるじゃない。」
「今ジルさんが言った通り、集落の入り口を知るのはエルフのみです。我々ではどこに入り口があるのか分かりません。」
「エルリアに聞けばいいだろう?」
帰りたいのならば本人に場所を聞くしかない。
そうでなければ送り届ける事も出来無い。
「人族には教えられない。」
「この一点張りでして。」
「成る程な。」
エルリアの言葉を聞いて納得した。
これではどれだけ尋ねても教えてくれる訳は無いだろう。
集落の入り口を人族に知られてしまえば、集落に住まう多くの同胞の身を危険に晒してしまう事になる。
「誰にも言わないから教えてってば。」
「信用出来無い。」
「むう。」
「ルルネット、諦めろ。今までに人族がしてきた行いを考えれば当然の事だ。」
エルフ族は男女共に見目麗しい者しかいない。
故に愛玩奴隷として昔から非常に人気が高かった。
なので当然奴隷狩りの被害対象とされていた。
種族間で考えると一番被害が多かったのはエルフ族かもしれない。
そしてそれを行なったのは人族なので、今更人族の事をエルフ族が信じるのは難しいだろう。
「でも私達は助け出して奴隷解放までしたのよ?」
「それには感謝している。それでも入り口は秘密。」
同じ人族とは言え、人族全体が同じ考えを持っていない事はエルリアも理解している。
それでも少しでも危険があるのなら言う事は出来無い。
「ならばエルリアには自力で帰ってもらうしかないんじゃないか?」
「無理。人族の世界の事情には疎い。」
「どうやら集落から出た経験が殆ど無いらしくて。ここが何処なのか、入り口が何処にあるのかも把握していない様なのです。」
エルリアは所謂迷子であった。
入り口のある地名等は把握しているらしいが、その場所への行き方は知らないらしい。
「それでも場所を教えられないのであれば、地図でも渡して自分で行ってもらうしかないだろう?」
「無理。一人で旅してもまた捕まる。」
「偉そうに言うな。」
自信満々に呟いたエルリアに突っ込む。
エルリアの戦闘スタイルはエルフの基準で言えば弓と魔法の後方支援型だ。
遠距離戦では多大な活躍が見込めるが、近距離戦闘に持ち込まれると途端に弱体化してしまう。
一人で集落に向かわせても盗賊や奴隷狩りの良い餌食となってしまうだろう。
「ではどうするのだ?」
「そこでジルさんにお願いがあるのです。エルフのお知り合いにエルリアさんを故郷に帰す手伝いをしてもらえないか掛け合ってほしいのです。」
エルリアを一人で返すのに不安が残るのなら数を増やせばいい。
しかし集落の入り口が知られてしまう事を考えると他種族では駄目である。
同族に付き添ってもらわなければならない。
「エルフの知り合い…エルロッドか?」
「はい。」
ジルの言葉にブリジットが頷く。
知り合いのエルフとなると今世では一人しか思い付かない。
セダンの街の冒険者ギルドのギルドマスターであるエルロッドだ。
「それで我に頼み事と言う訳だな?」
「そうですね、内容としてはセダンに帰る際にエルリアさんの同行、並びにエルロッドさんへの引き渡しとなります。」
「それくらいなら我は構わないがあくまでも雇われだからな。シュミットの了承を得ないと分からないぞ?」
今回はセダンの領主であるトゥーリの依頼による塩の仕入れだ。
それをシュミットが受け、ジルはその護衛として付いてきているので、同行云々は馬車の持ち主であるシュミットが判断する事だ。
「そこで許可取りをお願い出来ませんか?私はサザナギに掛け合ってエルロッドさんへの説明の手紙を出さなければいけませんので。」
まだセダンの街に帰るまでには猶予がある。
今の内に手紙を出せば受け入れ準備をしてくれるだろう。
「仕方無い、この後シュミットのところに行ってくるとしよう。」
「申し訳ありません、お願いしますね。エルリアさんにはジルさん達が出発するまでの間、当家で客人としてもてなしますので。」
「よろしく。」
ブリジットがエルリアを連れて部屋を出ていく。
客人として扱うので部屋の案内にでもいったのだろう。
「と言う訳だ。訓練は無しだな。」
「ざんねーん。暇だから付いていってもいい?」
ここのところ毎日一緒にいる気がするが、仮にも貴族令嬢なのに他にやる事は無いのだろうかと少し疑問に思う。
随分と放任主義な家系だとジルは思った。
「邪魔はするなよ?」
「了解!」
ジルは敬礼したルルネットと共にシュミットの下に向かった。
魔王時代にはエルフの知り合いもそれなりにいたので話しを聞く機会も多かった。
「エルフが住まう森、集落の入り口は同胞しか知らない。我が知っているのはこれくらいだな。」
「なーんだ、分かってるじゃない。」
「今ジルさんが言った通り、集落の入り口を知るのはエルフのみです。我々ではどこに入り口があるのか分かりません。」
「エルリアに聞けばいいだろう?」
帰りたいのならば本人に場所を聞くしかない。
そうでなければ送り届ける事も出来無い。
「人族には教えられない。」
「この一点張りでして。」
「成る程な。」
エルリアの言葉を聞いて納得した。
これではどれだけ尋ねても教えてくれる訳は無いだろう。
集落の入り口を人族に知られてしまえば、集落に住まう多くの同胞の身を危険に晒してしまう事になる。
「誰にも言わないから教えてってば。」
「信用出来無い。」
「むう。」
「ルルネット、諦めろ。今までに人族がしてきた行いを考えれば当然の事だ。」
エルフ族は男女共に見目麗しい者しかいない。
故に愛玩奴隷として昔から非常に人気が高かった。
なので当然奴隷狩りの被害対象とされていた。
種族間で考えると一番被害が多かったのはエルフ族かもしれない。
そしてそれを行なったのは人族なので、今更人族の事をエルフ族が信じるのは難しいだろう。
「でも私達は助け出して奴隷解放までしたのよ?」
「それには感謝している。それでも入り口は秘密。」
同じ人族とは言え、人族全体が同じ考えを持っていない事はエルリアも理解している。
それでも少しでも危険があるのなら言う事は出来無い。
「ならばエルリアには自力で帰ってもらうしかないんじゃないか?」
「無理。人族の世界の事情には疎い。」
「どうやら集落から出た経験が殆ど無いらしくて。ここが何処なのか、入り口が何処にあるのかも把握していない様なのです。」
エルリアは所謂迷子であった。
入り口のある地名等は把握しているらしいが、その場所への行き方は知らないらしい。
「それでも場所を教えられないのであれば、地図でも渡して自分で行ってもらうしかないだろう?」
「無理。一人で旅してもまた捕まる。」
「偉そうに言うな。」
自信満々に呟いたエルリアに突っ込む。
エルリアの戦闘スタイルはエルフの基準で言えば弓と魔法の後方支援型だ。
遠距離戦では多大な活躍が見込めるが、近距離戦闘に持ち込まれると途端に弱体化してしまう。
一人で集落に向かわせても盗賊や奴隷狩りの良い餌食となってしまうだろう。
「ではどうするのだ?」
「そこでジルさんにお願いがあるのです。エルフのお知り合いにエルリアさんを故郷に帰す手伝いをしてもらえないか掛け合ってほしいのです。」
エルリアを一人で返すのに不安が残るのなら数を増やせばいい。
しかし集落の入り口が知られてしまう事を考えると他種族では駄目である。
同族に付き添ってもらわなければならない。
「エルフの知り合い…エルロッドか?」
「はい。」
ジルの言葉にブリジットが頷く。
知り合いのエルフとなると今世では一人しか思い付かない。
セダンの街の冒険者ギルドのギルドマスターであるエルロッドだ。
「それで我に頼み事と言う訳だな?」
「そうですね、内容としてはセダンに帰る際にエルリアさんの同行、並びにエルロッドさんへの引き渡しとなります。」
「それくらいなら我は構わないがあくまでも雇われだからな。シュミットの了承を得ないと分からないぞ?」
今回はセダンの領主であるトゥーリの依頼による塩の仕入れだ。
それをシュミットが受け、ジルはその護衛として付いてきているので、同行云々は馬車の持ち主であるシュミットが判断する事だ。
「そこで許可取りをお願い出来ませんか?私はサザナギに掛け合ってエルロッドさんへの説明の手紙を出さなければいけませんので。」
まだセダンの街に帰るまでには猶予がある。
今の内に手紙を出せば受け入れ準備をしてくれるだろう。
「仕方無い、この後シュミットのところに行ってくるとしよう。」
「申し訳ありません、お願いしますね。エルリアさんにはジルさん達が出発するまでの間、当家で客人としてもてなしますので。」
「よろしく。」
ブリジットがエルリアを連れて部屋を出ていく。
客人として扱うので部屋の案内にでもいったのだろう。
「と言う訳だ。訓練は無しだな。」
「ざんねーん。暇だから付いていってもいい?」
ここのところ毎日一緒にいる気がするが、仮にも貴族令嬢なのに他にやる事は無いのだろうかと少し疑問に思う。
随分と放任主義な家系だとジルは思った。
「邪魔はするなよ?」
「了解!」
ジルは敬礼したルルネットと共にシュミットの下に向かった。
5
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる