【毎日更新】元魔王様の2度目の人生

ゆーとちん

文字の大きさ
292 / 1,122
32章

元魔王様と前世の配下 11

しおりを挟む
 人族のジルの配下となって生きていくには呼び方以外にも気を付けてもらわなければいけない事が色々ある。

「取り敢えずはその見た目だな。」

 レイアもテスラも魔族的な特徴を持っているので一目で直ぐに分かってしまう。
翼、八重歯、尻尾等はそのままの状態にはしておけない。

「こーんなに可愛い配下が増えて嬉しいですか?」

 テスラが誘惑する様に豊満な胸を寄せながら言う。
自然と目がいってしまうのでそう言う仕草は止めてほしいところだ。

「そう言う意味では無い。我の周りで過ごすのであれば、魔族なのは隠してもらわなければ困る。」

「成る程、千切りますか?」

 レイアが真面目な表情で言う。
さすがにそんな事をさせるつもりは無い。
テスラが少し怯えた表情をしているので脅かさないであげてほしい。

「人化のスキルを習得すれば済む話しだ。」

「そう言う事でしたか。」

「よ、よかった。」

 ジルの言葉にレイアは納得してテスラは安心している。
本当に千切られると思った様だ。

「確か二つ程ストックがあった筈だ。」

 ジルは無限倉庫のスキルに仕舞ってあるスキル収納本と言う魔法道具を取り出す。
この魔法道具は所持している状態で他者を殺害するとスキルをランダムに一つ入手する効果と他者に収納されているスキルを譲渡する効果を持っている。

 スキル収納本をペラペラとめくっていくと、数あるスキルの中に人化のスキルが二つある事を確認する。
これを使えば手っ取り早く二人にスキルを覚えさせられるのだ。

「レイアとテスラに人化のスキルを譲渡する。」

 ジルがスキル収納本を使用すると二人の身体とスキル収納本が光り出す。
直ぐに光りは収まり、スキル収納本の項目にあった人化のスキルが消えていた。
万能鑑定で見ると二人はしっかりスキルを覚えていた。

「二人共使ってみろ。」

「「はい。」」

 人化の魔法を早速使用したのか二人の身体が徐々に変化していく。
それぞれの魔族的な特徴が段々と小さくなっていき、見た目が完全に人族の美少女となった。

「これならバレないだろう。」

「鑑定系のスキルの対策はどうするのです?」

 ジルの様な人の情報を調べるスキルを使われたら見た目を誤魔化していても魔族なのが分かってしまう。
スキルの対策は必須である。

「後で適当に鑑定対策の魔法道具を用意して渡してやる。それを肌身離さず持っていろ。」

「分かりました。」

「ジル様からのプレゼントですね!」

 二人は嬉しそうに言う。
ジルからのプレゼントと言うだけで何であっても喜べる。

「後はそうだな、二人は冒険者になる為にセダンの街にきた事にする。いきなり親しげだと関係を疑われるから、距離は徐々に詰めていく事としよう。」

「本当であれば四六時中お側にいたいのですが仕方ありませんね。」

 レイアが残念そうに言う。
それでも近い場所にいれる事には違い無いので納得してくれた。

「冒険者ですか、ジル様も冒険者なんですか?」

「ああ、Dランクの冒険者をしているぞ。」

「思ったよりも低いんですね。」

 テスラがジルのランクを聞いた率直な意見を述べる。

「失礼ですよ。」

「だってジル様ならSランクくらいいってると思うでしょ?」

 注意した身だがそう言われるとレイアも黙ってしまう。
自分達の主人であれば冒険者の最高峰に登り詰めるなんて一瞬の事だと思ってしまった。

「理由がある。Cランク以上は強制的な依頼で長時間拘束されたりするんだ。」

「ジル様はわざとDランクで止めているのです。」

 ランクが上がる機会なんて何度もあった。
それを担当受付嬢であるミラが汲んでくれてランクアップしない様にしてくれているのだ。

「成る程、そんな決まりがあるのですね。」

「それなら私達もDで止めるべきね。」

「当然です。ジル様のお側に長くいられる選択肢を取るのが最優先です。」

 二人もランクは強制的な依頼が発生しないDランクで止めるみたいだ。
面倒事を回避するにはこのランク帯が一番良いだろう。

「後は何かありそうか?」

「人族を襲って問題を起こさなければ大丈夫だと思うのです。」

 魔族の二人が人族の街で暮らすとなれば、敵地で周りを敵に囲まれながら過ごすのも同然だ。
人族とのやり取りの機会も増えるだろうし、価値観の違いで問題が起きる可能性もあり得る。

「その辺りは充分気を付けるつもりです。」

「ジル様達はもう少し滞在するんですよね?その間にこの街で慣れておきますよ。」

 シキから話しを聞いたのかトレンフルでの滞在期間がまだある事を把握していた。
二人には定期的に血や精を補給させなければいけないので一緒のタイミングで帰るのが良いだろう。

「絶対にトレンフルの街で問題を起こしたら駄目なのですよ?」

「はい、気を付けて行動します。」

「大丈夫大丈夫、シキは昔から心配性だね。」

 レイアは素直に頷いているがテスラは楽観視している様子だ。
こう言う輩が一番面倒事を起こしそうで怖い。

「テスラの面倒を任せる事になるが、くれぐれも頼んだぞレイア。」

「お任せ下さい!」

「だからなんで私だけそんな扱いなんですか!?」

 ジルの言葉に自信満々にレイアが頷き、またしても自分だけそんな扱いをされて不満なテスラであった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

処理中です...