【毎日更新】元魔王様の2度目の人生

ゆーとちん

文字の大きさ
369 / 1,122
43章

元魔王様と天使族の襲来 1

しおりを挟む
 浮島で様々な魔法道具の実験をして日々を過ごしているとダナンから連絡があった。
頼んでいたタイプB用の刀が出来上がったらしいので早速受け取りに向かう。

「ジル、待っていたぞ。」

「随分と早かったな。」

「高純度のミスリルを使っての武器製作はわしも楽しいからな。つい夢中になってのめり込んでしまった。」

 ダナンは満足そうな表情で言うが目元には隈が出来ている。
あまり睡眠を取らずに武器を打つ事に時間を注ぎ込んでいた様だ。
有り難い事だがいつか熱中し過ぎて倒れないか心配である。

「出来はどうだ?」

「誰に言っている。エルダードワーフのわしが打ったんだ、最高の出来に決まっている。」

 テーブルに置かれた刀を鞘から抜いていく。
綺麗で薄い白い刀身が特徴的な刀である。

「名前は決まっているのか?」

「ジルが手を加えるんだろう?名はその後だな。」

 しっかりと刀が完成してから命名したい様だ。
ダナンなりの拘りなのだろう。

「そうだったか。実はどう手を加えようか決めてはいないのだ。何か良い案はあるか?」

 手を加えて強化するのは確定事項だが方向性は決まっていない。
タイプBであればどんな物でも喜ぶと思うので、強化に関しては刀を製作したダナンの意見を参考にしようと思っていた。

「そもそも魔法武具にすると言っているがどうやってするんだ?」

 普通は刀を打つ段階までに魔法武具にする為の素材を使用しているのだが、今回は刀が完成した後の後付けだ。
普通であればこの段階から魔法武具にする一般的な手段は無い。
なのでダナンは方法が気になっていた。

「魔物の素材や特殊な鉱石を刀に取り込ませ、新たな能力を付加するのだ。そう言うスキルを持っている。」

 ジルが持つスキルが無ければ後付けなんて方法は出来はしない。
大量のスキルを所持していた魔王の頃の恩恵と言ったところだ。

「成る程、羨ましいスキルを持っているな。ならば無難ではあるが火系統の能力なんていいんじゃないか?硬い魔物が相手でもこのミスリルの刀に火を纏わせれば、簡単に焼き斬れるだろう。」

「火か、無難だが悪くはないな。」

 刀による斬撃や刺突の威力を分かりやすく高めてくれる。
タイプBの装備の中に属性効果を持つ物も無かったので丁度良いだろう。

「何か良い素材は…、あれにしよう。」

 無限倉庫のスキルを使用して良い素材がないか探していると、ついこの前手に入れた丁度良さそうな素材を見つけた。
大きな魔石を取り出してテーブルに置く。

「随分と立派な魔石だな。高ランクの魔物か?」

「ああ、火を吐くのが得意な魔物の魔石だ。使い道を決めていなかったから丁度良い。」

 これはスタンピードの時に魔の森の研究施設で倒したドラゴンの魔石だ。
魔物の中で言えば最高峰の素材である。
下手に名前を出せば色々と追求されるかもしれないのでドラゴンとは口にしない。

 解体に関してもギルドに持ち込めば騒ぎになるのは目に見えているので、多少解体経験のあるナキナに頑張ってもらって解体したのだ。
そしてドラゴンの魔石と刀をジルの持つ融合のスキルで混ぜ合わせて、刀に魔石の力を取り込ませる。

「白い刀身に模様が付いたな。」

 魔石を取り込ませた事により刀身が少し変化した。
一瞬で終わったが強化は完了である。

「綺麗な朱色だ、見た目は悪くない。」

「後は使い勝手だな。多分魔装すれば。」

 ジルが手に持った刀を魔装すると刀身が荒々しい炎に包まれる。

「魔装させると刀が炎を纏う様だな。上級火魔法、フレイムエンチャントの強化版と言ったところか。」

 かなりの攻撃力が期待出来そうな魔法武具となった。
魔王時代に作ったタイプBの武器にも負けていないだろう。

「良い魔法道具になったな。ではダナン、命名してくれ。」

「名は白焔はくえんとしよう。白き刀身に薄く朱色の模様が混ざっている事からそう名付ける。使い手次第だが、銀月を超える業物かもしれんな。」

 命名した白焔を手に持って満足そうに頷いている。
ジルの強化作業にも満足してくれた様である。

「我の仲間が使うからそれくらいで丁度良い。助かったぞ。」

「また何か武器を頼みたい時は来るといい。当然お代はミスリルで貰う事になるがな。」

 もうダナンはジルの持つ高純度のミスリル鉱石クラスでなければ扱いたくないのかもしれない。
それ程優れた鉱石なのだ。

「もう相当数のミスリルを渡していると思うが、まだ足りないのか?」

 無限倉庫の中には文字通り山の様に在庫があるが、ダナンにもかなりの量を渡している筈だ。
そしてインゴットの売却や武器製作以外のミスリル鉱石はダナンの手持ちとして受け取っているので、相当数所持している筈である。

「世界中探しても滅多に見つからない高純度のミスリルなんだぞ?どれだけ在庫を確保出来てもわしは欲するぞ。」
「ならば次もミスリル鉱石で依頼させてもらう。刀は確かに受け取った。」
「ミスリルは他のところに流さず全部わしの元へ持ってくるんだぞ。」

 店を出る時にそう声を掛けられるが勿論そのつもりだ。
魔王時代に石ころ感覚で拾っていたので無限倉庫の中のミスリル鉱石の在庫はそう簡単には尽きない。
これがある限り世界一レベルの腕を持つダナンに依頼を断られる事は無さそうなので今後も贔屓にさせてもらう予定だ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

処理中です...