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43章
元魔王様と天使族の襲来 10.5
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魔の森の外周部付近、草原に一人の男が横たわっていた。
本来ならば絶世の美少年と誰もが認める程に優れた容姿をしているのだか、今は全くそれが感じられない程に酷い有り様であった。
その正体は直前まで人族のジルと激戦を繰り広げていた天使族のライエルである。
下半身は腰から下が綺麗に消し飛んでいて、天使族が持つ綺麗な翼も焼け焦げている。
顔や腕も焼け爛れて酷い状態だ。
「はひゅー、はひゅー。」
辛うじて生きてはいるが時間の問題なのは見れば分かる。
あの場を切り抜ける為に放った極級爆裂魔法によって自分も相当なダメージを受けてしまった。
残量魔力が少ないせいで殆ど防御に魔力を回せなかった為、至近距離で爆発をその身に受ける事となったのだ。
危険な魔法を使用したのは賭けではあったがギリギリ生き残る事が出来、爆発による影響でジル達の下からも遠ざかる事が出来た。
何かしらの魔法やスキルで位置を特定して直ぐに追ってきたりしなければ、ライエルとしては勝利と言ってもいい。
「…やく…来い。…んとうに…死ぬ。」
ライエルは少しでも生存時間を稼ぐ為に、魔力が少し回復する度に光魔法を使って負傷箇所の治療を行なっていた。
魔力切れにならない程度なら気絶する事も無いので、自身の魔力を見極めながらの繊細な治療行為だ。
満身創痍の状態でそんな行為を継続していると、突然近くの空中に亀裂が入る。
それは次第に大きくなっていき、亀裂の入った空中が崩れてそこに穴が空く。
「あららのら~、本当に死に掛けてるよ~。」
穴から顔を覗かせた少女がライエルを見て少し驚いている。
背中にはライエルと同じく天使族特有の美しい翼を持っている。
「聖痕による救援要請があったので何事かと思いましたが、まさか貴方がここまでやられているとは思いませんでした。ディリエル殿の力で急いで来て正解でしたな。」
少女の後ろにいる巨漢の男が驚きながら呟く。
その男も背中に二人と同じ翼を持っているので天使族である。
「サイエル~、早くしないと死んじゃうよ~。」
ディリエルと呼ばれた少女天使がライエルを見ながら言う。
この会話の間もライエルの身体からは夥しい程の血が流れ出ている。
早く処置しなければ死んでしまうだろう。
「そうですな、ナンバーズが欠けるのはよろしくない。」
サイエルと呼ばれた巨漢の天使が穴から抜け出てライエルの側に屈む。
そして爆発により消し飛んだ下半身に手を翳す。
「我が聖痕よ、ライエル殿に癒しを。」
自身の聖痕に魔力を込めると手から虹色の光りが放たれる。
その光りをライエルの下半身に当てていると身体が徐々に復元されていく。
消し飛んだ箇所が本来の姿を取り戻していき、腰から足までが全て元に戻った。
そして上半身にも光りを当てていくと、翼は元の美しい状態へと戻っていき、焼け爛れた皮膚も全て正常に治った。
「おおお~、さすがはサイエル~。いつ見ても凄い~。」
「お褒めに預かり光栄です。」
ディリエルがパチパチと手を叩きながら称賛して、サイエルも満更でも無さそうだ。
瀕死の重体だったライエルが何事も無かった様に元に戻った。
これは光魔法や神聖魔法による回復を遥かに凌駕している。
「はあ~、死ぬかと思ったよ。取り敢えず助けてくれた事には礼を言うけどさ、瀕死の仲間の前でよくあんなに悠長に話していられるよね。」
元に戻った足で立ち上がりジト目を向ける。
本当に死にそうだったので、助けにきたのなら直ぐに治してほしかった。
「無事助かったのですから文句は無しですぞ。」
「そうだ~、私達に感謝しろ~。」
ディリエルが両手を上げながら文句を言っている。
二人が来なければライエルは確実に死んでいたので文句を言われる筋合いは無い。
「感謝はしているさ。さて、治ったのなら早速戦闘続行かな。魔法で多少ダメージも与えられているだろうし、今度こそ殺してやる。」
ライエルは爆心地に視線を向けてニヤリと笑う。
ジルにやられた事を相当恨んでいる様だ。
「盛り上がっているところに水を差して申し訳ありませんが、治したのは身体だけなので無理はいけませんぞ。」
「どれどれ~、つんつん~。」
「おわっ!?」
ディリエルに軽くつつかれただけでライエルはバランスを崩して倒れる。
見た目が治っただけで失った体力や魔力はそのままだ。
「なんで全部治さないんだよ!これじゃあ戦えないだろ!」
サイエルの力は身体だけで無く失った体力や魔力すらも元に戻す事が出来るのをライエルは知っていた。
「引き時と言う事ですな。私とて聖痕の力は魔力を多分に消費するのですから、あまり長く使用したく無いのですよ。」
「我儘~、負けたんだから大人しく帰る~。」
「うぐっ。…分かったよ、今日は帰るとするよ。」
二人に瀕死のところを救われたのは事実なので大人しく空中に作られた穴の中に入る。
サイエルが体力や魔力も回復していれば、気を失ったジルを連れているナキナ達は絶対絶命だったかもしれない。
「帰還帰還~、ライエルのせいで無駄な魔力使わされた~。甘味一年食べ放題を所望する~。」
「…帰ったら用意するよ。」
「言質取った~、サイエルが証人~。」
「承りました。」
ディリエルは約束を取り付けられて満足そうにしながら聖痕に魔力を送る。
すると空中に作られた穴が徐々に塞がっていく。
「ジル、次会った時は僕が必ず殺してあげるからね。」
ライエルの声を最後に空中にあった穴は綺麗さっぱり無くなった。
本来ならば絶世の美少年と誰もが認める程に優れた容姿をしているのだか、今は全くそれが感じられない程に酷い有り様であった。
その正体は直前まで人族のジルと激戦を繰り広げていた天使族のライエルである。
下半身は腰から下が綺麗に消し飛んでいて、天使族が持つ綺麗な翼も焼け焦げている。
顔や腕も焼け爛れて酷い状態だ。
「はひゅー、はひゅー。」
辛うじて生きてはいるが時間の問題なのは見れば分かる。
あの場を切り抜ける為に放った極級爆裂魔法によって自分も相当なダメージを受けてしまった。
残量魔力が少ないせいで殆ど防御に魔力を回せなかった為、至近距離で爆発をその身に受ける事となったのだ。
危険な魔法を使用したのは賭けではあったがギリギリ生き残る事が出来、爆発による影響でジル達の下からも遠ざかる事が出来た。
何かしらの魔法やスキルで位置を特定して直ぐに追ってきたりしなければ、ライエルとしては勝利と言ってもいい。
「…やく…来い。…んとうに…死ぬ。」
ライエルは少しでも生存時間を稼ぐ為に、魔力が少し回復する度に光魔法を使って負傷箇所の治療を行なっていた。
魔力切れにならない程度なら気絶する事も無いので、自身の魔力を見極めながらの繊細な治療行為だ。
満身創痍の状態でそんな行為を継続していると、突然近くの空中に亀裂が入る。
それは次第に大きくなっていき、亀裂の入った空中が崩れてそこに穴が空く。
「あららのら~、本当に死に掛けてるよ~。」
穴から顔を覗かせた少女がライエルを見て少し驚いている。
背中にはライエルと同じく天使族特有の美しい翼を持っている。
「聖痕による救援要請があったので何事かと思いましたが、まさか貴方がここまでやられているとは思いませんでした。ディリエル殿の力で急いで来て正解でしたな。」
少女の後ろにいる巨漢の男が驚きながら呟く。
その男も背中に二人と同じ翼を持っているので天使族である。
「サイエル~、早くしないと死んじゃうよ~。」
ディリエルと呼ばれた少女天使がライエルを見ながら言う。
この会話の間もライエルの身体からは夥しい程の血が流れ出ている。
早く処置しなければ死んでしまうだろう。
「そうですな、ナンバーズが欠けるのはよろしくない。」
サイエルと呼ばれた巨漢の天使が穴から抜け出てライエルの側に屈む。
そして爆発により消し飛んだ下半身に手を翳す。
「我が聖痕よ、ライエル殿に癒しを。」
自身の聖痕に魔力を込めると手から虹色の光りが放たれる。
その光りをライエルの下半身に当てていると身体が徐々に復元されていく。
消し飛んだ箇所が本来の姿を取り戻していき、腰から足までが全て元に戻った。
そして上半身にも光りを当てていくと、翼は元の美しい状態へと戻っていき、焼け爛れた皮膚も全て正常に治った。
「おおお~、さすがはサイエル~。いつ見ても凄い~。」
「お褒めに預かり光栄です。」
ディリエルがパチパチと手を叩きながら称賛して、サイエルも満更でも無さそうだ。
瀕死の重体だったライエルが何事も無かった様に元に戻った。
これは光魔法や神聖魔法による回復を遥かに凌駕している。
「はあ~、死ぬかと思ったよ。取り敢えず助けてくれた事には礼を言うけどさ、瀕死の仲間の前でよくあんなに悠長に話していられるよね。」
元に戻った足で立ち上がりジト目を向ける。
本当に死にそうだったので、助けにきたのなら直ぐに治してほしかった。
「無事助かったのですから文句は無しですぞ。」
「そうだ~、私達に感謝しろ~。」
ディリエルが両手を上げながら文句を言っている。
二人が来なければライエルは確実に死んでいたので文句を言われる筋合いは無い。
「感謝はしているさ。さて、治ったのなら早速戦闘続行かな。魔法で多少ダメージも与えられているだろうし、今度こそ殺してやる。」
ライエルは爆心地に視線を向けてニヤリと笑う。
ジルにやられた事を相当恨んでいる様だ。
「盛り上がっているところに水を差して申し訳ありませんが、治したのは身体だけなので無理はいけませんぞ。」
「どれどれ~、つんつん~。」
「おわっ!?」
ディリエルに軽くつつかれただけでライエルはバランスを崩して倒れる。
見た目が治っただけで失った体力や魔力はそのままだ。
「なんで全部治さないんだよ!これじゃあ戦えないだろ!」
サイエルの力は身体だけで無く失った体力や魔力すらも元に戻す事が出来るのをライエルは知っていた。
「引き時と言う事ですな。私とて聖痕の力は魔力を多分に消費するのですから、あまり長く使用したく無いのですよ。」
「我儘~、負けたんだから大人しく帰る~。」
「うぐっ。…分かったよ、今日は帰るとするよ。」
二人に瀕死のところを救われたのは事実なので大人しく空中に作られた穴の中に入る。
サイエルが体力や魔力も回復していれば、気を失ったジルを連れているナキナ達は絶対絶命だったかもしれない。
「帰還帰還~、ライエルのせいで無駄な魔力使わされた~。甘味一年食べ放題を所望する~。」
「…帰ったら用意するよ。」
「言質取った~、サイエルが証人~。」
「承りました。」
ディリエルは約束を取り付けられて満足そうにしながら聖痕に魔力を送る。
すると空中に作られた穴が徐々に塞がっていく。
「ジル、次会った時は僕が必ず殺してあげるからね。」
ライエルの声を最後に空中にあった穴は綺麗さっぱり無くなった。
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