【毎日更新】元魔王様の2度目の人生

ゆーとちん

文字の大きさ
460 / 1,122
53章

元魔王様と極上の蜂蜜 8

しおりを挟む
 全力で挑み意外とボスを早く討伐出来たホッコは両手を挙げて喜ぶ。

「勝ったの!」

「良くやった。」

 クイーンワスプを無限倉庫に収納しながら褒める。

「少しは苦戦するかと思ったが問題無かったな。」

 高ランクの相手だったのでホッコには少しだけ厳しいかとも思ったが、ホッコも人型になれてから毎日頑張って訓練していたので、それが実を結んだのだろう。
ジル達は倒した魔物を回収して巣を出る。

「これでハニービーも安心して暮らせるだろう。」

「お、おい!」

 駆け寄ってくるのは巣に入る前に話した冒険者だ。

「無事だったか!やられたのかと思ってたぞ!」

 どうやらジル達の帰りが遅いので心配していた様だ。
中々広い巣だったのとホッコがメインで戦っていたので帰りが少し遅くなってしまった。

「当然無事だしワスプ種も殲滅済みだ。疑わしければ中に入って見てくるといい。かなり広いけどな。」

「にわかには信じ難いが確かに気配は感じられないな。」

 男が巣の方を見ながら呟く。
何かしらの感知スキルを持っているのかもしれない。

「まあ、不安ならギルドに報告がてら冒険者を追加で連れてくるといい。」

「そうさせてもらう。」

 男はそう言い残してギルドに走っていった。

「さて、安全は確保されたがどう伝えるか。」

「まだ怯えている感じがするの。」

 アーミーワスプにずっと襲われていたのでまだ警戒心が高い気がする。

「何体かワスプ種の巣の中に連れていくか?」

 実際に見てもらえれば安全なのが分かる。

「それは少し可哀想なの。むむむっ…、そうなの!」

「何か良い案が思い付いたか?」

「お任せなの!主様は少し待っているの!変化のスキルなの!」

 良案を思い付いたホッコが変化のスキルを使用する。
すると獣人の見た目から姿が変わっていく。

「成る程、ハニービーへの変化か。」

 ホッコはハニービー達と話しをする為に同じ姿になったのだ。
そして警戒しているハニービー達の巣に向かっていく。

 同じ姿なのでハニービー達に受け入れられ、何か話しているのが分かる。
そして戻ってきて変化のスキルで元の姿に戻る。

「説明完了なの。」

「分かってくれたのか?」

「分かってくれたの。そしてお礼に極上蜂蜜をくれるらしいの!」

 ワスプ種を殲滅した事を伝えるとお礼に極上蜂蜜を貰える事になったらしい。

「おおお、でかしたぞホッコ。」

「たっぷり貰っていくの!」

 ハニービーの巣に近付くと周りに集まってきて中に導いてくれる。
付いていくと蜂蜜が貯まる池の様な場所にきて、その周りを旋回している。
無限倉庫から瓶を取り出して沢山汲んでいく。

「これだけ貰えれば充分だな。」

「たっぷり美味しいお菓子が食べられそうなの!」

 何十本もの瓶に極上蜂蜜を汲んで無限倉庫に収納した。
まだまだたっぷり蜂蜜は残っているので取り過ぎと言う事も無いだろう。

「では我々も引き上げるか。ん?」

「ハニービーが付いてくるの。」

 二人が帰ろうとすると一部のハニービー達が後を付いて飛んでくる。

「何か用があるのか?もう一回変化して聞いてみてくれ。」

「分かったの。」

 ホッコが変化のスキルを再び使ってハニービー達と話している。

「どうだった?」

「主様に付いていきたいらしいの。」

 変化して戻ったホッコが教えてくれる。
その言葉に同意する様に二人の頭の上をクルクルと旋回している。

「我に?従魔になると言う事か?」

「少し違うの。強い人の庇護下にいれば安心だからって理由なの。」

「成る程、我に守ってほしい訳か。」

 今回のワスプ種の件でもう少し安全な場所に巣を構えたいと思った一部のハニービーが移住を希望したらしい。
そして強い力を持つジルやホッコに守ってほしいと言う。

「その代わりに巣を作ったらお礼として定期的に極上蜂蜜をくれるらしいの。」

「それは良いな、自分達でも気兼ね無く使えるし需要もあるから売れそうだ。それに安全な場所なら既に持っている。」

 浮島であれば安心して過ごせるだろう。

「ハニービーよ、我らの拠点は王都からかなり離れているがそれでも構わなければ付いてくるといい。」

 ジルの言葉にハニービー達は嬉しそうに飛び回っている。

「問題無さそうなの。」

「よし、ならば帰るとするか。」

 王都に戻ったジル達は先にホッコ達を屋敷に帰してからギルドに向かった。

「ジルさん、お帰りなさい。聞きましたよ、巣の中を殲滅したんですよね?」

 ギルドに戻るとユメノが尋ねてくる。
先に戻った冒険者に報告を受けたのだろう。

「ああ、冒険者を派遣して調べてみるといい。」

「今行っているところですが疑ってはいません。ジルさんなら出来ると思いますから。」

「容易い事だ。」

 既にジルの実力はユメノも把握している。
それくらいの事を出来る実力は確実にある。

「ちなみにだがアーミーワスプ以外にもワスプ種がいたぞ。巣の中にいて気付かなかったのだろうがな。」

「えっ?それは本当ですか?」

「見てみるか?」

 受付で出すには大きいので倉庫に連れていって倒した魔物を取り出す。

「き、キラーワスプ!?」

「他にもいるぞ。」

「ポイズンワスプにクイーンワスプまで!?そんなに大きな巣だったんですか!?」

 ユメノは三種類の魔物を見て驚愕している。
アーミーワスプだけかと思っていたら上位種や統率個体までいる巨大な巣だった。

「中々の広さだったな。」

「これはギルドの情報収集不足でした。もっと大きな被害になっていても不思議ではありませんでしたね。」

 ユメノは安心した様に呟く。
偶然にもジルが受けてくれて助かった。

「つまり報酬は期待していいのか?」

「はい、確実にAランククラスの依頼ですからね、報酬は上乗せしておきます。ついでにワスプ種も全て少し高めに買い取らせてもらいますね。」

「それは助かる。」

 当初の報酬よりも多めに受け取って上機嫌でトゥーリの屋敷に帰還した。
そしてキュールネに極上蜂蜜を使ったパンケーキを作ってもらったのだが、その味は正に極上であり手が止まらない程美味しかった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

RPGのストーリー開始前に殺されるモブに転生した俺、死亡フラグを回避してラスボス助けたら女主人公が現れてなぜか修羅場になった。

白波 鷹(しらなみ たか)【白波文庫】
ファンタジー
――死亡フラグのあるモブに転生した。なぜか男主人公の姿で。 王国に孤児院の子供達を殺された少女ミュライトがラスボスのRPG『プリテスタファンタジー』。 物語後半でミュライトと主人公は互いに孤児院出身であることが分かり、彼女を倒した主人公がその死を悲しむ絶望的なエンディングからいわゆる「鬱ゲー」と呼ばれているゲームでもある。 そして、そんなゲームの物語開始前にミュライトと同じ孤児院に住んでいた子供に転生したが…その見た目はなぜか男主人公シュウだった。 原作との違いに疑問を抱くものの、このままストーリー通りに進めば、ミュライトと主人公が戦って悲惨なエンディングを迎えてしまう。 彼女が闇落ちしてラスボスになるのを防ぐため、彼女が姉のように慕っていたエリシルの命を救ったり、王国の陰謀から孤児達を守ろうと鍛えていると、やがて男主人公を選んだ場合は登場しないはずの女主人公マフィが現れる。 マフィとミュライトが仲良くなれば戦わずに済む、そう考えて二人と交流していくが― 「―あれ? 君たち、なんか原作と違くない?」 なぜか鉢合わせた二人は彼を取り合って修羅場に。 こうして、モブキャラであるはずのシュウは主人公やラスボス達、果ては原作死亡キャラも助けながらまだ見ぬハッピーエンドを目指していく。 ※他小説投稿サイトにも投稿中

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...