【毎日更新】元魔王様の2度目の人生

ゆーとちん

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55章

元魔王様と従魔の成長 4

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 演習場に到着するとあちこちで騎士や冒険者が模擬戦をしていた。
黒フード達と戦える様にする為の訓練と言う事もあり、騎士団のやる気がとても高い。
王族もこの件に本気で取り組む姿勢の様だ。

「ソート副団長、少し宜しいでしょうか?」

「ユメノ殿、何でしょうか?」

 ユメノが話し掛けたのは冒険者と戦っている騎士達を見ながら指導している女性の騎士だ。

「こちらの方も追加で訓練に加わって下さる冒険者さんです。ランクは低いのですが実力は…。」

「ジル殿ではないですか!?」

「あれ?お知り合いでした?」

 ユメノが言い終わる前にソートがジルを見て驚きながら言う。

「そう言われてみると見覚えがあるな。確かトレンフルのダンジョンで出会った騎士だったか?」

「覚えて頂けているとは光栄です。その節は大変お世話になりました。」

「気にするな。」

 ソートとはトレンフルのダンジョンで出会っていた。
エトワールに万能薬を譲った時に一緒に行動していた者の一人だ。

「お知り合いなら話しは早いですね。ジルさんとホッコさんも訓練に加えて頂きたいのです。」

「ジル殿が高い実力をお持ちなのは知っています。我々としては有り難い限りですが宜しいのですか?」

「我もホッコを騎士と戦わせて鍛える目的があるからな。代わりに騎士の方は我が鍛えてやろう。」

 騎士と戦える経験は滅多に無い。
ホッコにとって良い刺激になる筈だ。

「それは有り難い申し出です。騎士団の数名は今いる冒険者では少し実力に開きがあり、指導に徹していましたので。」

 ユメノの前なのでソートが申し訳無さそうに言う。

「高ランク冒険者が参加しているのではなかったのか?」

「最高でもBランクまでですね。Aランクの方々は都合が合わなかったり、別の依頼を受けていたりと参加者はいないんです。ジルさんの知る美酒の宴の皆さんも依頼中でした。」

 どうやら王都の実力者は皆出払っているらしい。
高ランク冒険者は指名依頼も多いので多忙なのだ。

「成る程な。では騎士団員の実力者達は我が相手をしてやろう。」

 ジルとしても相手が実力者であるのに越した事は無い。
新人騎士の相手をさせられても一瞬で勝負が決まってしまう。

「ジル殿が相手ですか。ギルドに設置してある不死の魔法道具に感謝しなければいけませんね。」

 演習場には全力で訓練出来る様に死者を出さない魔法道具が設置されている。
それが無ければ相手を殺す程の全力を発揮しての訓練なんて出来無い。

「その代わりにホッコの相手も見繕ってくれよ?」

「宜しくなの!」

 騎士と戦えるのでワクワクした表情でホッコが頭を下げる。

「お任せ下さい。どのくらいの強さを希望されますか?」

「そうだな、手始めにCランク冒険者クラスの騎士を頼む。」

「畏まりました。少しお待ち下さい。」

 ソートがジルの希望に合う騎士に声を掛けに向かう。

「それではジルさん、私も受付があるので戻りますね。」

「ああ、助かったぞ。」

 ユメノが受付に戻って直ぐにソートも一人の騎士を連れて戻ってきた。

「お待たせ致しました。」

「宜しくお願いします。」

 騎士がホッコに礼をして言う。
まだ若い騎士であり少し緊張している様だ。

「宜しくなの!早速戦うの!」

「実戦形式で頼むぞ。」

「分かりました。」

 ホッコが空いているスペースに向かって元気良く走っていく。

「それでは早速我らもやるか。」

「そうして下さると助かります。見学しながらの指導ばかりで身体を殆ど動かしていないので。」

 周りの騎士や冒険者は結構汗をかいたり息切れをしたりしているがソートは会った時からずっと涼しい顔をしている。
訓練が始まってから殆ど動いていないのだろう。

「同じ様な騎士は他にどれくらいいる?」

「あちらで見学している者達が私と同じ立場ですね。」

 ソートと同じ様に騎士達に指示を飛ばしている者達がいる。

「全員で五人か。それくらいなら我が纏めて相手をしてやろう。」

「分かりました、それではこちらへ。」

 ジルの言葉に特に文句を言う事も無くソートが案内してくれる。
それが平気で行える実力者だと言う事は度々耳にするジルに関する情報で把握していた。

「団長、少し宜しいでしょうか?」

 後を付いていくと一番高価な装備に身を包む騎士にソートが尋ねた。
どうやら王国騎士団の団長らしい。

「ソートか。どうかしたか?」

「こちらのジルさんが我々の相手を引き受けて下さいました。」

「おおお!貴殿は夜会で闘姫と共に我々の主を守ってくれた冒険者か!その節は世話になった。」

 騎士団長はジルの事を知っていた。
どうやらエトワールの生誕祭の時に現場にいて、賊達と戦っているジルを目撃したらしく、深々と頭を下げながらお礼を言われた。

「あの時にいたのか。」

「ああ、我々よりも遥かに強い冒険者だ。とてもよく印象に残っている。そんな冒険者が引き受けてくれるとは有り難い話しだ。」

「そうか?ならば早速やるか。」

 団長もやる気になっているのでジルも模擬戦を始める事にした。
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