497 / 1,122
58章
元魔王様と温泉の町 5
しおりを挟む
町長と女将に案内されて温泉石が採掘出来ると言う鉱山に向かう。
二人共冒険者時代の格好に着替えて準備万端だ。
「武器も装備しているところを見ると、それなりに魔物も出てくるんだな?」
「はい、殆どがDランクで一番掘り進めている場所でCランクくらいでしょうか。」
「これでも元Bランク冒険者だからね。それくらいの魔物なら問題は無いさ。」
土地をもらえるだけの活躍をしたと言うので高ランクの冒険者だとは思っていた。
Bランクならその辺の魔物に苦戦したりはしないだろう。
「そのBランクでも壊せない岩があるのか。」
高ランク冒険者が全員攻撃力に特化している訳では無いがそれ相応の力は持っている筈だ。
それでも壊せないとなると少し特殊な岩なのかもしれない。
「私達は火力重視と言うよりは速度重視の冒険者でしたから、壊せる程の力が無いのかもしれません。」
「それでも装備はそれなりの物を持っていて何度かチャレンジはしているんだけどね。」
二人の装備を見ても中々質の良さそうな物を揃えている印象だ。
「そろそろ到着するよ。」
先の方に採掘作業をしている者達が見えてくる。
「お疲れ様です、皆さん。」
「町長様に若女将さんじゃないか。」
「わざわざこんな場所まで来るとは、岩の対処方法でも思い付いたのか?」
「ん?あんたこの町の人族じゃないな?二人に付いてるって事は雇われたのか?」
作業を中断して現場の男達が尋ねてくる。
「その通りです。岩の破壊役として現役の冒険者の方を雇いました。報酬に温泉石を渡す事になっていますが、採掘する場所が広がれば私達にとっての利益は計り知れません。」
「まあ、そもそも破壊出来ればの話しだけどね。」
町長がそう言って視線を向けた先には巨大な黒い岩がある。
人が余裕で通れる通路を丸ごと塞ぐ程大きい。
「それが噂の岩か?」
「ああ、この黒岩が信じられないくらいに硬くてな。少し見てな。」
ドワーフの一人が自分の身の丈よりも大きなハンマーを担いで振りかぶる。
「ふんっ!」
ハンマーを当たる直前に魔装させて威力を高めて岩を叩く。
かなりの衝撃が洞窟に響くが黒岩は表面が少し欠けた程度だった。
「魔装したハンマーでぶっ叩いてもこの程度だ。こんな大岩を破壊するとなるとどのくらい時間が掛かるか分からない。」
「成る程、確かにかなりの硬度を持っていそうだな。」
ジルも初めて見るので万能鑑定のスキルを使用してみる。
「黒鋼岩か。自然の魔力を吸収して硬度を高める岩石だな。」
さすがに硬度の限界はあると思うが魔力は大抵どんな場所にも存在しているので、信じられないくらいに硬くなっているのだろう。
「ほほう、そんな名前だったのか。」
「鑑定系の魔法道具かスキルか?便利だな。」
「これなら武器なんかにも使えるんじゃないか?」
男達が黒鋼岩の特性から何かに使えないかと真剣に話している。
「形にするだけでもかなり大変だと思うぞ?加工出来れば頑丈な武器にはなりそうだけどな。」
「それでどうだい?壊せそうかい?」
「やってみよう。少し離れていてくれ。」
ジルが皆を離れさせてから銀月を抜いて魔装する。
「ふっ!」
勢いよく振るった銀月で黒鋼岩を斬り付ける。
すると表面にハンマーの時とは違って大きな亀裂が刻まれた。
「すごい!岩に大きな亀裂が!」
「もう一回くらい斬ればいけそうじゃないですか!」
「はっ!」
ジルが再度銀月を亀裂に目掛けて振るうと、亀裂が黒鋼岩全体に広がっていき、幾つもの岩へと分かれて崩れた。
「「「おおお!」」」
「さすがですね。依頼して良かったですよ。」
「ナイスよ。良い冒険者を連れてきてくれたわ。」
「町長、では早速始めます。」
「ええ、お願いね。」
斬られた黒鋼岩を運んで退かせば通路の進行を妨げる物は無くなる。
男達は更に下へと掘り進めていく。
「思ったよりも硬かったがなんとか斬れたな。」
「素晴らしい剣の腕前でした。他の黒鋼岩もお願いしますね。」
ジルであっても簡単に斬れない岩がまだまだある。
あまり銀月に無理をさせて折れるのは困る。
「あとどれくらいあるんだ?」
「掘り進めた先に黒鋼岩があって進めなくなっている坑道があと四箇所程ですかね。」
案内されて次の黒鋼岩のある場所へと向かう。
直ぐ近くにあるらしくて数分で現場に到着した。
「早速見えてきましたよ。あれもその一つです。」
「早速先程の様に斬ってもらえますか?」
「それでもいいがあまり硬い物を斬って武器に負荷を掛けたくない。除去出来れば他の方法でも良さそうだな。」
そう呟いてジルが黒鋼岩に手を触れる。
そして次の瞬間には巨大な黒鋼岩が目の前から消える。
「「えっ!?」」
突然消えた黒鋼岩を見て町長と女将が目を丸くしている。
「やはりこちらの方が手っ取り早い。」
「な、何をしたんですか!?」
「我は収納系のスキル持ちでな。黒鋼岩を収納したのだ。」
無限倉庫に収納すればわざわざ斬って取り除いたりする必要も無い。
巨大な黒鋼岩を丸々収納出来る程のスキル所持者は限られるがジルの無限倉庫なら簡単だ。
「あんなに大きな岩を収納ですか!?かなり収納容量が必要に思われますけど。」
「収納容量に制限が無いのでな。かなり珍しいらしく我も重宝している。」
「「羨ましい(です)!」」
収納系のスキルや魔法道具の便利さを理解している二人は、ジルの言葉に心底羨ましそうな表情をしていた。
二人共冒険者時代の格好に着替えて準備万端だ。
「武器も装備しているところを見ると、それなりに魔物も出てくるんだな?」
「はい、殆どがDランクで一番掘り進めている場所でCランクくらいでしょうか。」
「これでも元Bランク冒険者だからね。それくらいの魔物なら問題は無いさ。」
土地をもらえるだけの活躍をしたと言うので高ランクの冒険者だとは思っていた。
Bランクならその辺の魔物に苦戦したりはしないだろう。
「そのBランクでも壊せない岩があるのか。」
高ランク冒険者が全員攻撃力に特化している訳では無いがそれ相応の力は持っている筈だ。
それでも壊せないとなると少し特殊な岩なのかもしれない。
「私達は火力重視と言うよりは速度重視の冒険者でしたから、壊せる程の力が無いのかもしれません。」
「それでも装備はそれなりの物を持っていて何度かチャレンジはしているんだけどね。」
二人の装備を見ても中々質の良さそうな物を揃えている印象だ。
「そろそろ到着するよ。」
先の方に採掘作業をしている者達が見えてくる。
「お疲れ様です、皆さん。」
「町長様に若女将さんじゃないか。」
「わざわざこんな場所まで来るとは、岩の対処方法でも思い付いたのか?」
「ん?あんたこの町の人族じゃないな?二人に付いてるって事は雇われたのか?」
作業を中断して現場の男達が尋ねてくる。
「その通りです。岩の破壊役として現役の冒険者の方を雇いました。報酬に温泉石を渡す事になっていますが、採掘する場所が広がれば私達にとっての利益は計り知れません。」
「まあ、そもそも破壊出来ればの話しだけどね。」
町長がそう言って視線を向けた先には巨大な黒い岩がある。
人が余裕で通れる通路を丸ごと塞ぐ程大きい。
「それが噂の岩か?」
「ああ、この黒岩が信じられないくらいに硬くてな。少し見てな。」
ドワーフの一人が自分の身の丈よりも大きなハンマーを担いで振りかぶる。
「ふんっ!」
ハンマーを当たる直前に魔装させて威力を高めて岩を叩く。
かなりの衝撃が洞窟に響くが黒岩は表面が少し欠けた程度だった。
「魔装したハンマーでぶっ叩いてもこの程度だ。こんな大岩を破壊するとなるとどのくらい時間が掛かるか分からない。」
「成る程、確かにかなりの硬度を持っていそうだな。」
ジルも初めて見るので万能鑑定のスキルを使用してみる。
「黒鋼岩か。自然の魔力を吸収して硬度を高める岩石だな。」
さすがに硬度の限界はあると思うが魔力は大抵どんな場所にも存在しているので、信じられないくらいに硬くなっているのだろう。
「ほほう、そんな名前だったのか。」
「鑑定系の魔法道具かスキルか?便利だな。」
「これなら武器なんかにも使えるんじゃないか?」
男達が黒鋼岩の特性から何かに使えないかと真剣に話している。
「形にするだけでもかなり大変だと思うぞ?加工出来れば頑丈な武器にはなりそうだけどな。」
「それでどうだい?壊せそうかい?」
「やってみよう。少し離れていてくれ。」
ジルが皆を離れさせてから銀月を抜いて魔装する。
「ふっ!」
勢いよく振るった銀月で黒鋼岩を斬り付ける。
すると表面にハンマーの時とは違って大きな亀裂が刻まれた。
「すごい!岩に大きな亀裂が!」
「もう一回くらい斬ればいけそうじゃないですか!」
「はっ!」
ジルが再度銀月を亀裂に目掛けて振るうと、亀裂が黒鋼岩全体に広がっていき、幾つもの岩へと分かれて崩れた。
「「「おおお!」」」
「さすがですね。依頼して良かったですよ。」
「ナイスよ。良い冒険者を連れてきてくれたわ。」
「町長、では早速始めます。」
「ええ、お願いね。」
斬られた黒鋼岩を運んで退かせば通路の進行を妨げる物は無くなる。
男達は更に下へと掘り進めていく。
「思ったよりも硬かったがなんとか斬れたな。」
「素晴らしい剣の腕前でした。他の黒鋼岩もお願いしますね。」
ジルであっても簡単に斬れない岩がまだまだある。
あまり銀月に無理をさせて折れるのは困る。
「あとどれくらいあるんだ?」
「掘り進めた先に黒鋼岩があって進めなくなっている坑道があと四箇所程ですかね。」
案内されて次の黒鋼岩のある場所へと向かう。
直ぐ近くにあるらしくて数分で現場に到着した。
「早速見えてきましたよ。あれもその一つです。」
「早速先程の様に斬ってもらえますか?」
「それでもいいがあまり硬い物を斬って武器に負荷を掛けたくない。除去出来れば他の方法でも良さそうだな。」
そう呟いてジルが黒鋼岩に手を触れる。
そして次の瞬間には巨大な黒鋼岩が目の前から消える。
「「えっ!?」」
突然消えた黒鋼岩を見て町長と女将が目を丸くしている。
「やはりこちらの方が手っ取り早い。」
「な、何をしたんですか!?」
「我は収納系のスキル持ちでな。黒鋼岩を収納したのだ。」
無限倉庫に収納すればわざわざ斬って取り除いたりする必要も無い。
巨大な黒鋼岩を丸々収納出来る程のスキル所持者は限られるがジルの無限倉庫なら簡単だ。
「あんなに大きな岩を収納ですか!?かなり収納容量が必要に思われますけど。」
「収納容量に制限が無いのでな。かなり珍しいらしく我も重宝している。」
「「羨ましい(です)!」」
収納系のスキルや魔法道具の便利さを理解している二人は、ジルの言葉に心底羨ましそうな表情をしていた。
16
あなたにおすすめの小説
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる