529 / 1,122
61章
元魔王様と旅の報告 6
しおりを挟む
これで大体の説明は終えた。
だが重要な話しがまだ残っている。
後で皆にも共有する予定だが、取り敢えず残ったシキにだけは先に話しておく事にした。
「後で我から皆にも伝えておくが、黒フードの情報も掴んできた。」
「王都の旅で出会ったのです?」
「いや、直接対面した訳では無い。強化薬と言うのを知っているか?」
「強化薬なのです?聞いた事無いのです。」
記憶を辿ってもシキには見聞きした覚えが無いらしい。
最近出てきた物であれば、浮島にこもっているシキに情報が届いていなくても不思議は無い。
「服用した者は命を落とす代わりに一時的に強大な力を得ると言う薬だ。それを流している大元が黒フードの連中らしい。」
「そんな危ない薬があったなんて知らなかったのです。」
効果が効果なので聞き覚えがあれば直ぐに分かるだろう。
黒フードの集団自体が厄介なのに面倒な薬まで所持していて益々厄介な集団になってきた。
「生誕祭のタイミングで王城に襲撃をしてきた者達がいて、その中の一人が使用していた。我とラブリートで分かれて賊を殲滅させたが、強化薬を使用した者は中々強かったぞ。」
「それでも勝つのはさすがジル様なのです。そして相手は運が悪いのです。その二人がいて敵う筈が無いのです。」
圧倒的な強者達が立ち塞がる様子を想像して、突破出来る光景が思い浮かばない。
元魔王と国家戦力は伊達では無い。
「まあ、そう言う薬があると言うのは覚えておいてくれ。黒フードに辿り着ける手段にもなり得るからな。」
「了解なのです。」
シキは一度見聞きした情報を完璧に記憶しておく事が出来る能力を持っている。
強化薬について何か情報が得られれば、厄介な黒フード達の位置を特定する手掛かりになるかもしれない。
面倒事なので情報に関しては王家に流してもよさそうだ。
王族達からしても国を荒らしている集団なので、情報があれば対処に向かうだろう。
「それとこれはまだ直近の話しでどうするかは決めていないのだが一応共有しておく。帰ってくる最中に寄った村で見た事が無い魔物が現れた。」
「珍しい魔物でもいたのです?」
「万能鑑定ではスライーターと出た。知っているか?」
「聞いた事無いのです。」
誰も知らなかったので珍しい魔物だろうとは思っていたが、シキも知らないとなると既存の魔物では無いと見てもよそうだ。
「作り出された個体か。」
「作り出されたのです?」
「その体内に短剣が刺さっていてな。魔物の構造を変えて強化する呪いの短剣だ。」
「それは人種の悪意が絡んでいそうなのです。」
何の目的かは分からないが呪いの短剣を使って誰かが意図的に魔物を作り変えている可能性がある。
あのまま放置していれば渓谷内のスライムは全て喰われて、多種多様な魔法やスキルを持つ恐ろしい魔物になっていたかもしれない。
「その魔物は討伐したから問題無いが、また同じ様な事で騒ぎが起こったら少し調べる必要が出てくるかもな。」
「セダンが被害に遭う可能性もあるのです。」
一応セダン領内で起きた出来事なのでセダンやトゥーリを狙っての事かもしれない。
「今や我らが拠点として暮らしている街だからな。簡単に滅ぼされるのも面白くない。」
「了解なのです。シキの方でも何か情報が入ったら報告するのです。」
「頼んだぞ。」
セダンで暮らしてそれなりに経つので知り合いも少なくない。
そんな知り合い達が凶悪な魔物に殺されるのも寝覚めが悪いので、向かってくるならば倒すだけだ。
「そう言えばジル様に話していなかった情報がもう一つあったのを思い出したのです。」
「何だ?」
「まだ特に何かあった訳では無いのですけど、最近天使の目撃情報が多いらしいのです。」
「天使か。」
ジルが魔王からの転生中にこの世界にやってきた異世界の種族だ。
頻繁にではないが何度か交戦した事があり実力も高い。
魔族を敵対視していて聖痕と言う魔法やスキルとは違う特別な力を持つ者もいる。
「敵対種族である魔族の住まう魔国フュデス付近での目撃情報も多いのですけど、最近は人族の国でも見られる様になったのです。」
「目的までは分からないか。」
「はいなのです。でも推測は出来るのです。おそらく人族の国に紛れている魔族探しだと思うのです。」
魔国フュデス以外にも魔族が隠れ住む場所はある。
それはセダンも例外では無い。
光剣のライエルとの戦闘時に魔族の存在には気付かれている。
「レイアとテスラの件か。やはり生きていると思うか?」
「天使族はしぶといのです。情報を持ち帰っている可能性は高いのです。そしてその場合はジル様もターゲットなのです。」
魔族を庇いライエルと交戦して返り討ちにしたジルは恨まれていてもおかしくない。
魔族に加担する人族も天使族からすれば敵なのだ。
「魔族だけで無く我を探している可能性もあるか。天使族に敵対行動を示したのだから粛清したいと考えてはいるかもな。」
「ジル様がそう簡単に負けないのは理解しているのです。それでも用心してほしいのです。」
「分かっている。外出時は気を付けるとしよう。」
お互いの膨大な情報共有をようやく終える事が出来た。
今日はゆっくりと過ごして、明日からまた自由に浮島で過ごしていく事にする。
だが重要な話しがまだ残っている。
後で皆にも共有する予定だが、取り敢えず残ったシキにだけは先に話しておく事にした。
「後で我から皆にも伝えておくが、黒フードの情報も掴んできた。」
「王都の旅で出会ったのです?」
「いや、直接対面した訳では無い。強化薬と言うのを知っているか?」
「強化薬なのです?聞いた事無いのです。」
記憶を辿ってもシキには見聞きした覚えが無いらしい。
最近出てきた物であれば、浮島にこもっているシキに情報が届いていなくても不思議は無い。
「服用した者は命を落とす代わりに一時的に強大な力を得ると言う薬だ。それを流している大元が黒フードの連中らしい。」
「そんな危ない薬があったなんて知らなかったのです。」
効果が効果なので聞き覚えがあれば直ぐに分かるだろう。
黒フードの集団自体が厄介なのに面倒な薬まで所持していて益々厄介な集団になってきた。
「生誕祭のタイミングで王城に襲撃をしてきた者達がいて、その中の一人が使用していた。我とラブリートで分かれて賊を殲滅させたが、強化薬を使用した者は中々強かったぞ。」
「それでも勝つのはさすがジル様なのです。そして相手は運が悪いのです。その二人がいて敵う筈が無いのです。」
圧倒的な強者達が立ち塞がる様子を想像して、突破出来る光景が思い浮かばない。
元魔王と国家戦力は伊達では無い。
「まあ、そう言う薬があると言うのは覚えておいてくれ。黒フードに辿り着ける手段にもなり得るからな。」
「了解なのです。」
シキは一度見聞きした情報を完璧に記憶しておく事が出来る能力を持っている。
強化薬について何か情報が得られれば、厄介な黒フード達の位置を特定する手掛かりになるかもしれない。
面倒事なので情報に関しては王家に流してもよさそうだ。
王族達からしても国を荒らしている集団なので、情報があれば対処に向かうだろう。
「それとこれはまだ直近の話しでどうするかは決めていないのだが一応共有しておく。帰ってくる最中に寄った村で見た事が無い魔物が現れた。」
「珍しい魔物でもいたのです?」
「万能鑑定ではスライーターと出た。知っているか?」
「聞いた事無いのです。」
誰も知らなかったので珍しい魔物だろうとは思っていたが、シキも知らないとなると既存の魔物では無いと見てもよそうだ。
「作り出された個体か。」
「作り出されたのです?」
「その体内に短剣が刺さっていてな。魔物の構造を変えて強化する呪いの短剣だ。」
「それは人種の悪意が絡んでいそうなのです。」
何の目的かは分からないが呪いの短剣を使って誰かが意図的に魔物を作り変えている可能性がある。
あのまま放置していれば渓谷内のスライムは全て喰われて、多種多様な魔法やスキルを持つ恐ろしい魔物になっていたかもしれない。
「その魔物は討伐したから問題無いが、また同じ様な事で騒ぎが起こったら少し調べる必要が出てくるかもな。」
「セダンが被害に遭う可能性もあるのです。」
一応セダン領内で起きた出来事なのでセダンやトゥーリを狙っての事かもしれない。
「今や我らが拠点として暮らしている街だからな。簡単に滅ぼされるのも面白くない。」
「了解なのです。シキの方でも何か情報が入ったら報告するのです。」
「頼んだぞ。」
セダンで暮らしてそれなりに経つので知り合いも少なくない。
そんな知り合い達が凶悪な魔物に殺されるのも寝覚めが悪いので、向かってくるならば倒すだけだ。
「そう言えばジル様に話していなかった情報がもう一つあったのを思い出したのです。」
「何だ?」
「まだ特に何かあった訳では無いのですけど、最近天使の目撃情報が多いらしいのです。」
「天使か。」
ジルが魔王からの転生中にこの世界にやってきた異世界の種族だ。
頻繁にではないが何度か交戦した事があり実力も高い。
魔族を敵対視していて聖痕と言う魔法やスキルとは違う特別な力を持つ者もいる。
「敵対種族である魔族の住まう魔国フュデス付近での目撃情報も多いのですけど、最近は人族の国でも見られる様になったのです。」
「目的までは分からないか。」
「はいなのです。でも推測は出来るのです。おそらく人族の国に紛れている魔族探しだと思うのです。」
魔国フュデス以外にも魔族が隠れ住む場所はある。
それはセダンも例外では無い。
光剣のライエルとの戦闘時に魔族の存在には気付かれている。
「レイアとテスラの件か。やはり生きていると思うか?」
「天使族はしぶといのです。情報を持ち帰っている可能性は高いのです。そしてその場合はジル様もターゲットなのです。」
魔族を庇いライエルと交戦して返り討ちにしたジルは恨まれていてもおかしくない。
魔族に加担する人族も天使族からすれば敵なのだ。
「魔族だけで無く我を探している可能性もあるか。天使族に敵対行動を示したのだから粛清したいと考えてはいるかもな。」
「ジル様がそう簡単に負けないのは理解しているのです。それでも用心してほしいのです。」
「分かっている。外出時は気を付けるとしよう。」
お互いの膨大な情報共有をようやく終える事が出来た。
今日はゆっくりと過ごして、明日からまた自由に浮島で過ごしていく事にする。
15
あなたにおすすめの小説
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる