【毎日更新】元魔王様の2度目の人生

ゆーとちん

文字の大きさ
533 / 1,122
62章

元魔王様と街巡り 4

しおりを挟む
 突然アレンが天使について尋ねてきたが、何かあったかと言われれば心当たりは当然ある。

「何故そう思ったんだ?」

 天使族との交戦回数は二回ある。
一回目はナキナを奴隷にした上級天使。
そして二回目は魔の森でライエルに襲撃された時だ。
だがどちらも天使族意外に話しが漏れる様な事は無かった筈だ。

 上級天使はジルの魔法によって爆殺したので、仲間内以外だと見ていたのはダナンしかいない。
そしてライエルとの交戦時も、最後に魔法で自爆するまで近くに仲間以外の者はいなかった。
なのでダナンが漏らさない限り話しは広まらない筈だ。

「最近天使の目撃情報が多いのは知ってるか?」

「シキもそんな事を言っていたな。王都近辺では聞かなかったけどな。」

 セダンに戻ってきた時にその報告は受けている。

「既に聞いてたか。確かに俺も行動が活発的に感じた。何かを探してる見てえにな。」

「魔族じゃないのか?」

 天使族は大々的に魔族の殲滅を公言している。
何かを探しているとなると魔族の可能性が高いだろう。

「天使の行動理由ってなると大体それだからな。だが今回は別件もあるらしい。」

「別件?」

「天使族が探しているのはお前だジル。」

「そう。」

 アレンの言葉にこくこくとエルミネルが頷く。

「ふむ、心当たりは無くもないが何故我だと断言出来る?」

「聞いたからだ。」

「誰にだ?」

「天使にだな。」

 ダナンから話しが広がっているのかと思えば、なんと天使族に直接聞いたとアレンは言ってきた。

「天使に聞いた?知り合いでもいるのか?」

「はっ、あんなまともに話しも出来ねえ連中に知り合いなんていねえよ。それに俺だって直接聞いた訳じゃねえ。」

 嫌そうな表情で手をひらひらと振りながら否定する。
アレンも天使族の事は良く思っていない様だ。

「となるとお前かエルミネル。」

「そう言う事だ。今日の出来事だから精霊からも情報は無いだろう。」

 どうやら直近の出来事らしい。
確かにセダン近辺で起こった事ならシキが把握していない筈がない。

「何があったか聞いてもいいのか?」

「構わねえぜ。本人が説明してくれるのが楽なんだがな。」

「沢山話すの疲れる。」

 アレンの言葉にエルミネルが首を横に振る。
当事者なのにアレンに話した事をもう一度説明するのは嫌らしい。

「こう言う奴なのはパーティー組んだから理解してる。だから説明を受けた俺がざっくりと説明する。」

 もう慣れているのかアレンが諦めた様に溜め息を吐く。
そして今日の出来事を語っていく。

「今日は二人で依頼を受けて魔の森に向かっていた。討伐依頼だったんだが中々魔物が現れなくてな。一人でも苦戦はしないだろうと手分けして探す事にした。」

 二人共実力者なので単独でも大抵の魔物とは戦える。
なので探す効率を高める為に別行動をしたらしい。

「俺はその魔物を見つける事が出来てな、エルミネルを探しにいく時間が面倒で先に討伐した。んで倒し終わったタイミングで爆音が遠くから聞こえてきた。」

 それ程離れている訳では無かったのでしっかりとその音が聞こえたらしい。
そしてそちらの方向から木々が倒れる音も聞こえたと言う。

「最初はエルミネルも討伐対象を見つけたと思ったんだが、爆音が中々鳴り止まなくてな。こいつの火力はジルも知ってるだろ?」

「ああ、膨大な魔力による一撃は普通の魔物なら耐えられん。」

 エルミネルはエルフと獣人のハーフであり、魔法や弓の適性が無い代わりに高い魔力量と体術のセンスを持っている。
エルフとは違って魔法や弓で戦わない武闘派エルフだ。

「そう言う事だ。だから高ランクの化け物でも出たのかと急いで向かったんだ。その途中で一際でかい爆音がした後に静かになった。」

 エルフの里ではSランクの魔物を相手に共闘した事もある。
あの破壊力にいつまでも耐えられる魔物はいないのでその一撃で倒されたのだろう。

「エルミネルが敵を倒し終わったと言う事か。」

「今こいつが生きてるからそうなるな。現地に向かって俺が見たのは少し予想外の光景ではあったが。」

「予想外と言うと、それが魔物では無く天使か?」

「ああ、魔物だと思って駆け付けてみれば、地面に横たわっていたのは複数の天使族だった。んで側で呆けていたのがこいつだ。」

「呆けてない。」

 アレンの言葉にエルミネルが否定しながらムッとしている。

「分かった分かった、本人曰く中々手応えがあって戦いの余韻に浸ってたんだとよ。」

「ナンバーズか?」

「違う。」

「あれは上級天使が率いる一個団体だな。上級以外は中級以下の天使だ。」

 ライエルも複数の天使族を引き連れていたが中級以下とはあの無感情な天使族達の事だろう。

「そもそも何故戦ったんだ?」

「エルミネルが上級天使に話し掛けられて、その結果ボコったらしいぞ。だが内容までは俺も詳しく知らん。後はこいつに聞け。」

 自分が説明するのはここまでだと言わんばかりにアレンがエルミネルに視線を移した。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

RPGのストーリー開始前に殺されるモブに転生した俺、死亡フラグを回避してラスボス助けたら女主人公が現れてなぜか修羅場になった。

白波 鷹(しらなみ たか)【白波文庫】
ファンタジー
――死亡フラグのあるモブに転生した。なぜか男主人公の姿で。 王国に孤児院の子供達を殺された少女ミュライトがラスボスのRPG『プリテスタファンタジー』。 物語後半でミュライトと主人公は互いに孤児院出身であることが分かり、彼女を倒した主人公がその死を悲しむ絶望的なエンディングからいわゆる「鬱ゲー」と呼ばれているゲームでもある。 そして、そんなゲームの物語開始前にミュライトと同じ孤児院に住んでいた子供に転生したが…その見た目はなぜか男主人公シュウだった。 原作との違いに疑問を抱くものの、このままストーリー通りに進めば、ミュライトと主人公が戦って悲惨なエンディングを迎えてしまう。 彼女が闇落ちしてラスボスになるのを防ぐため、彼女が姉のように慕っていたエリシルの命を救ったり、王国の陰謀から孤児達を守ろうと鍛えていると、やがて男主人公を選んだ場合は登場しないはずの女主人公マフィが現れる。 マフィとミュライトが仲良くなれば戦わずに済む、そう考えて二人と交流していくが― 「―あれ? 君たち、なんか原作と違くない?」 なぜか鉢合わせた二人は彼を取り合って修羅場に。 こうして、モブキャラであるはずのシュウは主人公やラスボス達、果ては原作死亡キャラも助けながらまだ見ぬハッピーエンドを目指していく。 ※他小説投稿サイトにも投稿中

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...