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62章
元魔王様と街巡り 7
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続いてその娘が何故危険視されているのかを聞く事にする。
「リュシエル嬢はとある特殊なスキルを所持していてな。それが危険視されて近付こうと思う者が少ないのだ。」
スキルは千差万別でありジルも全てを把握している訳では無いが、危険だと判断されてスキル所持者が要注意と見られる事があるのは知っている。
魔王の頃に数多くのスキルを所持していたジルもそう言った目で見られていたのでそう思う気持ちは理解出来る。
「そのスキルとは?」
「魔誘と言うスキルだ。」
「知らんな。」
危険なスキルは幾つか思い浮かんだが聞いた事の無いスキルであった。
少なくとも魔王軍で所持していた者はいないだろう。
「このスキルは大きな負の感情によって魔物を呼び寄せる効果がある。恐怖や絶望などだな。」
「魔物を呼び寄せる。成る程、それが危険視されている理由か。」
効果範囲やどの程度のランクの魔物に影響するのかで危険度は変わってくるが、非戦闘員にとっては充分危険なスキルだろう。
「領地を危機に陥れる可能性を秘めているスキルだからな。本人には可哀想な事だが誰しもが警戒するのは仕方の無い事だ。」
近くで過ごしていて公爵令嬢の感情一つで魔物に取り囲まれる可能性がある。
怯えながら過ごさなければいけない様な状況を作る相手と一緒にいたいとは思わないだろう。
「だからダナンも近付くのを躊躇していたと言う事だな?」
「一応魔法道具によってスキルは封印されてはいる。領民も不満を持つ者は他領に移り、今は公爵家の良政によって不満も上がってこないので上手くやっているそうだ。だがそれでも万が一があるからな。」
安全面や良政で領民は納得してくれている様だが外の者達は違う。
ダナンの様に目的がある者以外は、わざわざ危険な領地に行きたいとは考えないだろう。
「警戒する気持ちは理解出来るぞ。」
「そうだろう?だからジルを待っていたのだ。」
「我を?」
「警戒しているとは言えシャルルメルトには行きたい。優秀な護衛を雇ってな。」
「我にも付いて来いと言う事か。」
危険ではあるが結晶石は採掘したい。
なので強力な護衛を雇って危険な状況に陥っても問題無い様に対策しようとダナンは考えた。
「かなりの高額で指名依頼を出すつもりだ。どうだ?」
「我以外にも護衛なんて山程いるだろう?」
セダンの街にはAランク冒険者やジルの様なランク詐欺の実力者が何組かいる。
直近で知ったアレンとエルミネルのコンビなんてAランク冒険者パーティーの中でも最強クラスだろう。
「ジルの実力は直接目にしている。冒険者の中でも規格外の強さなのだろう?」
「それは人の感じ方次第だな。」
「わしはそう感じた。どうせなら最も安心出来る護衛を雇いたいと思ったのだ。」
ダナンはジルの実力を高く買っている。
これ以上に安心出来る護衛はいないと心から思っていた。
なのでジル以外を護衛に雇うと言う考えは無いらしい。
「ダナンの理由は理解した。だが我は指名依頼を断れるランク帯にいる。強制力は全く無いぞ。」
指名依頼はどのランク帯の冒険者にも出す事は出来る。
冒険者側もギルドからの指名依頼の評価は高いので嬉々として受ける者が多いが、低ランクの冒険者が実力不足で失敗する事が多かったり、ジルの様に面倒だと感じる者もいる。
なのでギルド側は指名依頼をCランク以上の者が受ける様にして、Dランク以下の者には断れる権利を設けて実力不足による失敗を排除する事とした。
そしてジルのランクはDなので断る事が可能なのだ。
「ならば納得する報酬を出すまでだ。」
「そこまでするか。まあ、金次第では受けても構わない。たっぷり貰う予定ではいるけどな。だが直ぐに依頼で遠征と言うのは遠慮したいな。」
「分かっている。王都から戻ってきたばかりなのだから、暫くはセダンでゆっくりしたいのだろう?わしも急かすつもりは無い。」
ジルが護衛の件を前向きに検討してくれるだけでダナンとしては有り難い。
安全が確約されるだけで自分は採掘にのみ集中出来る。
「我の都合の良い時まで待つと言う事か。」
「さすがに数年後と言うのは勘弁してもらいたいが、数ヶ月くらいならば全然構わん。落ち着いたタイミングで連れていってもらえればいい。」
見つかったばかりの鉱山なので多少出遅れて向かっても鉱石が枯れる事は無い。
それに種族柄採掘は得意なので出だしが遅れても成果を上げる自信がダナンにはあった。
「そこまでして鉱脈を見にいきたいのか。危険な場所と言いながらドワーフの性質も厄介なものだな。」
「鍛治師も楽しいのだが、久々に現場で採掘作業もしてみたくてな。」
採掘は故郷の国にいた時以来だ。
久しぶりに現場作業を出来るので腕がなる。
「採掘した鉱石はどうなるんだ?」
「シャルルメルトの鉱脈だから採掘しても買い取る形にはなるだろうな。」
所有権はシャルルメルト公爵領にあるので、採掘した鉱石をこちらで買い取る形で入手する。
自分達で採掘する分、通常よりも安く手に入れられるので採掘するメリットもある。
「珍しい鉱石があったら我も買い取っていいのか?」
「勿論構わんぞ。何か目当ての鉱石があるのか?」
「結晶石や希少鉱石には興味があるな。あまり在庫を所持していない。」
またドメスに武具作製の依頼をする可能性もある。
結晶石はスキルの付加素材として優秀そうなので所持しておいて損は無い。
「そうか、ならばその時に大量に採掘してやろう。気に入った物はわしらで全て買い取って帰ればいい。」
「そうだな。暇になったら連絡するから気長に待っていてくれ。」
「分かった。」
ダナンとの話しを終えてジルは店を後にした。
「リュシエル嬢はとある特殊なスキルを所持していてな。それが危険視されて近付こうと思う者が少ないのだ。」
スキルは千差万別でありジルも全てを把握している訳では無いが、危険だと判断されてスキル所持者が要注意と見られる事があるのは知っている。
魔王の頃に数多くのスキルを所持していたジルもそう言った目で見られていたのでそう思う気持ちは理解出来る。
「そのスキルとは?」
「魔誘と言うスキルだ。」
「知らんな。」
危険なスキルは幾つか思い浮かんだが聞いた事の無いスキルであった。
少なくとも魔王軍で所持していた者はいないだろう。
「このスキルは大きな負の感情によって魔物を呼び寄せる効果がある。恐怖や絶望などだな。」
「魔物を呼び寄せる。成る程、それが危険視されている理由か。」
効果範囲やどの程度のランクの魔物に影響するのかで危険度は変わってくるが、非戦闘員にとっては充分危険なスキルだろう。
「領地を危機に陥れる可能性を秘めているスキルだからな。本人には可哀想な事だが誰しもが警戒するのは仕方の無い事だ。」
近くで過ごしていて公爵令嬢の感情一つで魔物に取り囲まれる可能性がある。
怯えながら過ごさなければいけない様な状況を作る相手と一緒にいたいとは思わないだろう。
「だからダナンも近付くのを躊躇していたと言う事だな?」
「一応魔法道具によってスキルは封印されてはいる。領民も不満を持つ者は他領に移り、今は公爵家の良政によって不満も上がってこないので上手くやっているそうだ。だがそれでも万が一があるからな。」
安全面や良政で領民は納得してくれている様だが外の者達は違う。
ダナンの様に目的がある者以外は、わざわざ危険な領地に行きたいとは考えないだろう。
「警戒する気持ちは理解出来るぞ。」
「そうだろう?だからジルを待っていたのだ。」
「我を?」
「警戒しているとは言えシャルルメルトには行きたい。優秀な護衛を雇ってな。」
「我にも付いて来いと言う事か。」
危険ではあるが結晶石は採掘したい。
なので強力な護衛を雇って危険な状況に陥っても問題無い様に対策しようとダナンは考えた。
「かなりの高額で指名依頼を出すつもりだ。どうだ?」
「我以外にも護衛なんて山程いるだろう?」
セダンの街にはAランク冒険者やジルの様なランク詐欺の実力者が何組かいる。
直近で知ったアレンとエルミネルのコンビなんてAランク冒険者パーティーの中でも最強クラスだろう。
「ジルの実力は直接目にしている。冒険者の中でも規格外の強さなのだろう?」
「それは人の感じ方次第だな。」
「わしはそう感じた。どうせなら最も安心出来る護衛を雇いたいと思ったのだ。」
ダナンはジルの実力を高く買っている。
これ以上に安心出来る護衛はいないと心から思っていた。
なのでジル以外を護衛に雇うと言う考えは無いらしい。
「ダナンの理由は理解した。だが我は指名依頼を断れるランク帯にいる。強制力は全く無いぞ。」
指名依頼はどのランク帯の冒険者にも出す事は出来る。
冒険者側もギルドからの指名依頼の評価は高いので嬉々として受ける者が多いが、低ランクの冒険者が実力不足で失敗する事が多かったり、ジルの様に面倒だと感じる者もいる。
なのでギルド側は指名依頼をCランク以上の者が受ける様にして、Dランク以下の者には断れる権利を設けて実力不足による失敗を排除する事とした。
そしてジルのランクはDなので断る事が可能なのだ。
「ならば納得する報酬を出すまでだ。」
「そこまでするか。まあ、金次第では受けても構わない。たっぷり貰う予定ではいるけどな。だが直ぐに依頼で遠征と言うのは遠慮したいな。」
「分かっている。王都から戻ってきたばかりなのだから、暫くはセダンでゆっくりしたいのだろう?わしも急かすつもりは無い。」
ジルが護衛の件を前向きに検討してくれるだけでダナンとしては有り難い。
安全が確約されるだけで自分は採掘にのみ集中出来る。
「我の都合の良い時まで待つと言う事か。」
「さすがに数年後と言うのは勘弁してもらいたいが、数ヶ月くらいならば全然構わん。落ち着いたタイミングで連れていってもらえればいい。」
見つかったばかりの鉱山なので多少出遅れて向かっても鉱石が枯れる事は無い。
それに種族柄採掘は得意なので出だしが遅れても成果を上げる自信がダナンにはあった。
「そこまでして鉱脈を見にいきたいのか。危険な場所と言いながらドワーフの性質も厄介なものだな。」
「鍛治師も楽しいのだが、久々に現場で採掘作業もしてみたくてな。」
採掘は故郷の国にいた時以来だ。
久しぶりに現場作業を出来るので腕がなる。
「採掘した鉱石はどうなるんだ?」
「シャルルメルトの鉱脈だから採掘しても買い取る形にはなるだろうな。」
所有権はシャルルメルト公爵領にあるので、採掘した鉱石をこちらで買い取る形で入手する。
自分達で採掘する分、通常よりも安く手に入れられるので採掘するメリットもある。
「珍しい鉱石があったら我も買い取っていいのか?」
「勿論構わんぞ。何か目当ての鉱石があるのか?」
「結晶石や希少鉱石には興味があるな。あまり在庫を所持していない。」
またドメスに武具作製の依頼をする可能性もある。
結晶石はスキルの付加素材として優秀そうなので所持しておいて損は無い。
「そうか、ならばその時に大量に採掘してやろう。気に入った物はわしらで全て買い取って帰ればいい。」
「そうだな。暇になったら連絡するから気長に待っていてくれ。」
「分かった。」
ダナンとの話しを終えてジルは店を後にした。
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