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67章
元魔王様とリュシエルに迫る魔の手 2
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数分程待っているとリュシエルが戻ってきたが、その表情は一変していた。
明らかに疲労を感じているのが分かる。
「では休憩をしてから再会としよう。」
「ジル様、それは無いでしょう。」
「我は面倒事に首を突っ込みたく無い。」
ジルの発言にアンレローゼがジト目を向けてくるが明らかに何かあると分かっているので聞けば後戻り出来無い。
可能なら聞かないでおきたい。
「ジル、御免なさい。今日の午後はお休みでもいいでしょうか?」
「…はぁ、何があったのだ?」
リュシエルが無理矢理笑ってそう言ってくれば、さすがに聞かない訳にはいかない。
「聞いてくれるのですか?」
「我の訓練に支障が出る様な内容みたいだからな。」
このままでは訓練に影響が出そうだ。
一応ギルドを通した公爵からの指名依頼なので蔑ろには出来無い。
「隣国の名前は知っていますか?ベイルと言うのですが。」
「ベイルと言うと侵略国家ベイルの事か?」
ジルが魔王だった頃にもベイルと言う国はあった。
他国へ戦争を仕掛け続ける厄介な国として認識されていた。
「昔はそう呼ばれていましたが、今は国力の低下でその様な行いはしていません。」
戦争ばかりしていて自国が衰退していったらしい。
国のトップが戦闘狂だと国民は苦労する。
「そのベイルがどうした?」
「昔とある貴族のパーティーに出席した時です。私の事を好いて下さった方がいまして。」
「それがベイルの者と言う事か?」
「はい、ベイルの子爵家の当主であるブリオル様です。」
「子爵?当主とは言え随分と爵位に差があるんだな。」
シャルルメルト公爵家とブリオル子爵家、爵位が少し離れている者同士の婚約は珍しい。
それにシャルルメルト公爵家は子供がリュシエルしかいないらしく、婿養子に来てもらう必要がある。
本来であれば公爵家に並ぶ家格が求められる。
「ちなみにですがブリオル様は現在四十を過ぎておられます。そして側室を含め十以上も妻を持つ好色として知られています。」
付け加える様にアンレローゼが教えてくれる。
露骨に表情に出ている訳では無いが心良くは思っていなさそうだ。
「お嬢はどう考えているのだ?」
「私としては何度もお断りしています。お父様も国も違えば爵位も違い、歳も親子程も離れていて、更に好色の男になんて嫁がせたくはないと。」
一人娘を心配する親としてはそう思うのも納得だ。
そんな者に嫁がせても幸せにしてくれるかは分からない。
「ではそれで話しは終わりではないか?」
「ですが私を良く思わない方々はそれを受け入れさせたいのですよ。厄介なスキル持ちを隣国に引き渡せるのですから。」
「成る程な。」
万が一の脅威を恐れて危険なスキルを持つリュシエルを他国に追いやりたい。
そう思う者達はこの婚約を成功させたいと思うだろう。
「忌々しい事です。お嬢様をその様に扱う者達が。」
「あの様な好色子爵に嫁いでも良い未来は絶対に訪れません。」
騎士達が不愉快そうな表情を隠そうともせずに言う。
幼い頃から見守ってきたリュシエルにこれ以上不幸せな未来が訪れるのは納得出来無い。
「だが結局はお嬢と公爵家の判断だろう?公爵も否定的なら良かったではないか。」
親が味方なのであれば問題無さそうだ。
成功させたい者達に唆されて勝手に話しを進められる心配も無い。
「それがそうとも言えないのです。今日来た使いの方がブリオル様が色良い返事を待っている。返事次第では実力行使も辞さないと。」
「脅しではないか。隣国の一子爵がそんな事を言って国同士の争いに発展でもしたらどうするのだ?」
「そうはならないのですよ。対象が私なのですからね。」
そう自嘲気味にリュシエルが呟く。
誰も自分の為に力を貸してくれたりはしないと思っている様だ。
「王家に助けを求めればいいのではないか?我としては印象が良い方なのだが。」
実際に会ってみて中々話せる王族だと感じた。
エトワールなんて二度会っただけなのに随分と気安い関係を築けている。
「ただでさえ私のスキルのせいでご迷惑をお掛けしているのです。結婚の相談なんてとても出来ません。」
王家にもスキルの件で何度か迷惑を掛けているらしい。
この程度の事で王家を煩わせたくは無い。
「結局お嬢はどうしたいんだ?」
「私は…。」
「受ける必要なんてありません!私達が必ずお守りします!」
「そうです!国力の低下した今、子爵が保有する戦力なんてたかが知れています!」
騎士達がリュシエルは自分達が守ると宣言する。
好色子爵になんて渡す気は無い。
「「ジル様…。」」
「シキ、お前の言いたい事は分かっているから安心しろ。そしてアンレローゼ、お前は我の部下か何かか?同じ様に頼る視線を向けてくるな。我を巻き込んでおいて。」
シキの気持ちには応えるつもりだが同じ様な視線を向けてくるアンレローゼにはジト目をお返ししておく。
このメイドが巻き込んできたと言っても過言では無いのだ。
「一先ずお嬢がしたい様にしろ。一晩考えてみるといい。」
「そうします。失礼しますね。」
騎士達を引き連れてリュシエルは屋敷へと戻っていった。
明らかに疲労を感じているのが分かる。
「では休憩をしてから再会としよう。」
「ジル様、それは無いでしょう。」
「我は面倒事に首を突っ込みたく無い。」
ジルの発言にアンレローゼがジト目を向けてくるが明らかに何かあると分かっているので聞けば後戻り出来無い。
可能なら聞かないでおきたい。
「ジル、御免なさい。今日の午後はお休みでもいいでしょうか?」
「…はぁ、何があったのだ?」
リュシエルが無理矢理笑ってそう言ってくれば、さすがに聞かない訳にはいかない。
「聞いてくれるのですか?」
「我の訓練に支障が出る様な内容みたいだからな。」
このままでは訓練に影響が出そうだ。
一応ギルドを通した公爵からの指名依頼なので蔑ろには出来無い。
「隣国の名前は知っていますか?ベイルと言うのですが。」
「ベイルと言うと侵略国家ベイルの事か?」
ジルが魔王だった頃にもベイルと言う国はあった。
他国へ戦争を仕掛け続ける厄介な国として認識されていた。
「昔はそう呼ばれていましたが、今は国力の低下でその様な行いはしていません。」
戦争ばかりしていて自国が衰退していったらしい。
国のトップが戦闘狂だと国民は苦労する。
「そのベイルがどうした?」
「昔とある貴族のパーティーに出席した時です。私の事を好いて下さった方がいまして。」
「それがベイルの者と言う事か?」
「はい、ベイルの子爵家の当主であるブリオル様です。」
「子爵?当主とは言え随分と爵位に差があるんだな。」
シャルルメルト公爵家とブリオル子爵家、爵位が少し離れている者同士の婚約は珍しい。
それにシャルルメルト公爵家は子供がリュシエルしかいないらしく、婿養子に来てもらう必要がある。
本来であれば公爵家に並ぶ家格が求められる。
「ちなみにですがブリオル様は現在四十を過ぎておられます。そして側室を含め十以上も妻を持つ好色として知られています。」
付け加える様にアンレローゼが教えてくれる。
露骨に表情に出ている訳では無いが心良くは思っていなさそうだ。
「お嬢はどう考えているのだ?」
「私としては何度もお断りしています。お父様も国も違えば爵位も違い、歳も親子程も離れていて、更に好色の男になんて嫁がせたくはないと。」
一人娘を心配する親としてはそう思うのも納得だ。
そんな者に嫁がせても幸せにしてくれるかは分からない。
「ではそれで話しは終わりではないか?」
「ですが私を良く思わない方々はそれを受け入れさせたいのですよ。厄介なスキル持ちを隣国に引き渡せるのですから。」
「成る程な。」
万が一の脅威を恐れて危険なスキルを持つリュシエルを他国に追いやりたい。
そう思う者達はこの婚約を成功させたいと思うだろう。
「忌々しい事です。お嬢様をその様に扱う者達が。」
「あの様な好色子爵に嫁いでも良い未来は絶対に訪れません。」
騎士達が不愉快そうな表情を隠そうともせずに言う。
幼い頃から見守ってきたリュシエルにこれ以上不幸せな未来が訪れるのは納得出来無い。
「だが結局はお嬢と公爵家の判断だろう?公爵も否定的なら良かったではないか。」
親が味方なのであれば問題無さそうだ。
成功させたい者達に唆されて勝手に話しを進められる心配も無い。
「それがそうとも言えないのです。今日来た使いの方がブリオル様が色良い返事を待っている。返事次第では実力行使も辞さないと。」
「脅しではないか。隣国の一子爵がそんな事を言って国同士の争いに発展でもしたらどうするのだ?」
「そうはならないのですよ。対象が私なのですからね。」
そう自嘲気味にリュシエルが呟く。
誰も自分の為に力を貸してくれたりはしないと思っている様だ。
「王家に助けを求めればいいのではないか?我としては印象が良い方なのだが。」
実際に会ってみて中々話せる王族だと感じた。
エトワールなんて二度会っただけなのに随分と気安い関係を築けている。
「ただでさえ私のスキルのせいでご迷惑をお掛けしているのです。結婚の相談なんてとても出来ません。」
王家にもスキルの件で何度か迷惑を掛けているらしい。
この程度の事で王家を煩わせたくは無い。
「結局お嬢はどうしたいんだ?」
「私は…。」
「受ける必要なんてありません!私達が必ずお守りします!」
「そうです!国力の低下した今、子爵が保有する戦力なんてたかが知れています!」
騎士達がリュシエルは自分達が守ると宣言する。
好色子爵になんて渡す気は無い。
「「ジル様…。」」
「シキ、お前の言いたい事は分かっているから安心しろ。そしてアンレローゼ、お前は我の部下か何かか?同じ様に頼る視線を向けてくるな。我を巻き込んでおいて。」
シキの気持ちには応えるつもりだが同じ様な視線を向けてくるアンレローゼにはジト目をお返ししておく。
このメイドが巻き込んできたと言っても過言では無いのだ。
「一先ずお嬢がしたい様にしろ。一晩考えてみるといい。」
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騎士達を引き連れてリュシエルは屋敷へと戻っていった。
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