【毎日更新】元魔王様の2度目の人生

ゆーとちん

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68章

元魔王様と結晶石泥棒 9

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 ジルとライムの活躍によりベゼルグルとマニエッテの被害は最小限で済んだ。
現在の魔族の中でも大物と思われる二人を相手にこれだけで済んだのはジルとライムだからこそだ

「魔族が出てきた時は焦りましたがジルとライムがいてくれて助かりました。」

 魔族達がいなくなってリュシエルが大きく息を吐いて言う。
ジル達がいても怖かったのだろう。

「だが結晶石は奪われてしまった様だぞ?どれだけの量になるかは分からないがシャルルメルトにとっては大きな損失だな。」

 ベゼルグルを倒しても集めていた結晶石は戻らなかった。
既に魔国で取り出されてしまった。

「それは仕方ありません。天災と思って諦めましょう。人的被害が無かったのが一番ですから。」

「それもそうだな。」

 魔族が領地に入り込んでいたのに被害は結晶石だけで済んだ。
ベゼルグルが地上で暴れていたらもっと被害は拡大していただろう。

「そろそろ皆さんの採掘も終わっているでしょうか?」

「我の結界に守られながらずっと採掘していたから終わっているだろう。遮音結界も一緒に張っておいたから、こちらには気付いてすらいないと思うぞ。」

 魔族達との戦いや会話は一切聴こえていない筈だ。
快適に採掘を出来た事だろう。

「そうでしたか。ではそのまま魔族については内緒でお願いします。余計な心配事を抱かせたくありませんから。」

「分かった。」

 ジル達が戻ると採掘を終えて休憩していた。
ミナト達も満足そうにしているので採掘の成果は良さそうだ。

「ジル、戻ったか。こいつを収納してくれ。」

「大結晶石が二つか。」

「この辺りにある大結晶石はこれで全部だからな。」

 追加でダナンが採掘した大結晶石を収納する。
希少な鉱石が今回でこれだけ手に入れば充分だろう。

「ミナト達の方も集まり終わったか?」

「はい!ダナンさんのおかげで結晶石の場所が直ぐに分かったので取り放題でした!これで村の皆に楽させてあげられます。」

「良かったですね。」

 リュシエルが自分の事の様に喜んでいる。

「シャルルメルト公爵家のおかげです。リュシエル様、感謝します。」

「「ありがとうございます。」」

 最初警戒されていたとは思えない程の変わりようだ。
同行させたリュシエルの判断は正しかった様である。

「採掘をして下さった方々に還元するのは当然の事ですから気にしないで下さい。」

「それにしても還元し過ぎだとは思うがな。」

「そうなのか?」

 ダナンの呟きに対してジルが尋ねる。
鉱石の相場なんて全く知らない。
高純度のミスリル鉱石も相場は未だに知らず、石ころ感覚で大量に拾っていた物なので、お金に変わるだけでジルとしては有り難かった。

「ジルは売買に関わっていないから知らないか。他の貴族ならば採掘させた上でもっと安値で買い取るだろうな。シャルルメルトが良政と言われる理由が良く分かる。」

「お父様も喜ぶと思いますよ。それに私達も相当な利益を見込んでの値段なので本当に気にしなくて大丈夫ですよ。」

 ダナンに言わせると高く買い取り過ぎなのだが、シャルルメルトとしても利益はしっかり出ているので問題無い。
領地を持つ貴族だけで無く、領民にも良い思いをしてほしいのだ。

「それじゃあ引き上げるか。」

「もう大結晶石はいいのか?」

「もうこの周辺には無い。後はずっと下の方だ。」

 次の大結晶石を採掘するにはかなり掘り進める必要があるらしい。
既に三個も確保しているので充分との事だ。

「ならば帰るか。お嬢も構わないか?」

「はい、帰りましょう。」

 大結晶石も確保出来たし魔物との戦いも経験出来た。
魔族と出会うと言うイレギュラーな事もあったが無事に帰れそうだ。

「あっ!」

「どうかしたのミナト?」

 突然ミナトが慌てた様な声を上げる。
パーティーメンバーのミルルとギャンが首を傾げている。

「俺達どうやって戻るんだ?」

「「あっ。」」

 ミナトの呟きで二人も気付いた。
崖を飛び降りてきたので登る手段が無い。

「上に戻る事を考えずに降りてきたのか?やれやれ、結晶石に目が眩んで後先考えずに行動するとは。」

「「「…すみません。」」」

 ジルの呆れた様な視線に三人が縮こまる。
村の事を第一に考えていた結果、後先を考えていなかった。
冒険者としては致命的なミスである。

「ジル、反省はしている様だし今回は助けてやったらどうだ?」

「仕方が無いな、一緒に運んでやるか。ライム、任せたぞ。」

 ジルがそう言ってライムの方を見る。
実際にはライムは何もしない。
そう言う体で魔法を使う為だ。
重力魔法を使用して全員の身体を浮かび上がらせる。

「うおっ!?」

「浮いてる!?」

「これは重力魔法のウエイトフィールド…。こんなに大人数を同時に操るなんて…。」

 三人が重力魔法に驚いている。

「この子は特殊個体で重力魔法が使えるんですよ。」

「スライムが!?凄いですね!」

 リュシエルの言葉を信じてミナトが興味深そうな視線を向ける。
二人もライムに感謝している。
段々と浮かび上がって崖の上に到着したら魔法を解除する。

「すみません、助かりました。」

「今後は後先の事を考えて行動するんだな。」

「肝に銘じておきます。それでは失礼します。」

「「ありがとうございました。」」

 三人は先に走って帰っていった。
一刻も早く村の皆に吉報を持って帰りたいのだろう。

「それでは我らも帰るか。」

「そうしましょう。思ったよりも疲れてしまいました。」

 魔物との連戦は中々大変だった。
やはり訓練と実戦は大きく違う。

「上に出たら早速大結晶石の売買について公爵と話さねばな。」

「三つも手に入ったし、かなりの金額になりそうだな?」

「運搬の報酬はしっかり払うから安心しておけ。」

 ジルとダナンは上々の成果に大満足と言った様子だ。

「ダナン殿、お父様と交渉の時には私も同席して宜しいですか?」

「ん?別に構わないが何故だ?」

「それはその時に。」

 突然の魔族との戦闘と言うハプニングは起きたが全員無事に地上に出る事が出来た。
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