606 / 1,122
70章
元魔王様とリュシエルのダンジョン探索 3
しおりを挟む
ボス部屋は暗く、ジル達が中に入って少しすると壁際の松明に明かりが灯って徐々に部屋を照らしていく。
そして奥に魔法陣が浮かべ上がり、そこからアーマードベアが姿を表す。
それと同時にリュシエルが突っ込んで斬り掛かる。
「ガアアア!」
「くっ、硬いですね。」
剣が硬い体毛に阻まれて苦戦している。
ジルの様に石ころで楽々撃破とはいかない。
「ストーンバレット!」
「ガアアア!」
リュシエルの放った石の礫をアーマードベアが腕を振るって薙ぎ払う。
「おっ、いつの間にか詠唱破棄出来る様になったか。初級魔法とは言っても成長だな。」
自分が訓練して育てた者の成長とは嬉しいものだ。
リュシエルも確実に日々強くなっている。
「そうは言ってもアーマードベアには全く効いていませんけどね!」
「硬い毛に阻まれている様だな。もう少し攻撃力のあるものに切り替えろ。」
「それならばこちらで!」
リュシエルが剣を持つ腕を魔装する。
魔装の訓練は日が浅いが部分的な魔装だけなら出来る様になっていた。
戦闘の才能は同じ弟子であるルルネットにも負けていない。
「魔装ならいけるか?」
「はっ!」
腕力を上げて剣をアーマードベアに思い切り振るう。
「ガアッ!?」
「やりました!」
体毛を突破して剣が身体に食い込む。
傷口から血が流れ出ている。
「油断するな、まだ倒せてはいないぞ。」
「分かっています!」
魔装した攻撃なら効果があると分かったので、相手の攻撃に気を付けながらタイミングを見計らって攻撃を続けていく。
「ガ…ア。」
既に何十回の攻撃を加えたか分からないところで、全身傷だらけのアーマードベアがついに倒れた。
「ふぅ、強かったですね。」
戦いを終えたリュシエルが額の汗を拭って呟く。
ジルの手助け無く一人でボスを討伐出来た。
「それは今だけだ。その内これくらい軽々と倒せる様になる。」
「そうなれる様に頑張ります。それでは進みましょう。」
アーマードベアのドロップアイテムを収納して次の階層への階段を降りる。
そこに広がっていたのはこれまでと同じ草原だった。
「また草原ですか。」
「だが魔物の種類は変わっているぞ。ランク的にはそれ程変わらないが。」
種類が違うだけで上の階層と殆ど魔物の強さが変わっていない。
初心者向けのダンジョンの可能性がある。
「これでは訓練になりませんね。アーマードベアの様な魔物とずっと戦えれば経験にもなるのですが。」
「ならばそうしてやろう。」
「えっ?」
ジルは拳大の黒鋼岩を無限倉庫から取り出す。
「少し離れていろ。」
「何をするつもりですか?」
言われた通りにジルから少し離れてリュシエルが首を傾げる。
「真下に行けば近道だろう?」
「まさかダンジョンに穴を?直ぐに修復されてしまうので無意味ですよ?」
「穴が小さければな。レールガン!」
ジルの両手が凄まじい電気を帯びて、包む様に持っていた黒鋼岩を射出する。
目を覆いたくなる様な眩しさと耳を塞ぎたくなる様な轟音が辺りに轟く。
「なっ!?」
ジルの真下には人が余裕で通れそうな大穴が空いていて、それを見たリュシエルが驚いている。
「これで階下に降りられる。」
「ど、どんな威力をしているんですか。」
ダンジョンの壁や床は破壊しても直ぐに塞がるので通り抜けられない事で有名だ。
しかしこれだけの大穴ならば修復にも時間が掛かる。
「雷霆魔法なんだからこんなものだろう?」
「いえ、これ程の威力は見た事がありません。しかしジルなのですから今更ですか。」
元Sランク冒険者を圧倒する様な実力者なので、これくらい出来てもおかしくはない。
「ほら行くぞ。」
「えっ?まさかこの大穴に飛び降り込むんですか?怖いのですけど。」
「その方が手っ取り早いからな。」
「ひゃあっ!?」
ジルが抱えてやるとリュシエルが恥ずかしそうな声を出す。
「準備はいいな?」
「え?あの、まだ心の準備が。」
「目を瞑っていればいい。」
ジルがそう言って大穴に飛び込む。
一つ下の階層は遠くに見えているが、大穴の底は真っ暗で見えない。
「きゃああああ!?」
大穴に強制的に飛び込む事になったリュシエルの悲鳴が辺りに響き渡る。
その悲鳴はジルが地面に着地するまで鳴り響いていた。
「と言う事であっという間に二十階層だな。」
「はぁはぁ、死ぬかと思いました。」
ジルの雷霆魔法で次のボス部屋まで階層を撃ち抜けた。
そんな十階層分の落下を体験してリュシエルは地面に四つん這いになって息を整えている。
「大袈裟だな。ただ穴の中に飛び降りただけだぞ?」
「その穴の底が見えないから怖いのではないですか!スキルが発動したらどうしてくれるんですか!」
リュシエルの魔誘のスキルは感情の激しい起伏によって発動するらしい。
それには当然恐怖と言う感情も含まれる。
「笑えない冗談は止めろ。それにスキルは発動しない様になっているのだろう?」
「一応魔法道具の首輪は付けていますからね。」
自分の首元にそっと触れる。
衣服で見えなくなっているが、そこにはスキルを封じる為の魔法道具の首輪が付けられている。
昔はこの首輪を酷く嫌っていたらしいが、今は自分の厄介なスキルを封じてくれているので感謝していると言う。
「なら安全ではないか。それに我が近くにいて恐怖を感じる必要は無い。それはフラムの時に証明しているだろう?」
「確かにジルは頼りになりますよ。それでも私は箱入り娘のお嬢様なんですから、もう少し丁重に扱ってくれると嬉しいのです。」
「やれやれ、お嬢様とは面倒なものだ。」
普段から主人の事を一番に気にして行動している貴族の家に仕えている執事やメイドを素直に尊敬するジルだった。
そして奥に魔法陣が浮かべ上がり、そこからアーマードベアが姿を表す。
それと同時にリュシエルが突っ込んで斬り掛かる。
「ガアアア!」
「くっ、硬いですね。」
剣が硬い体毛に阻まれて苦戦している。
ジルの様に石ころで楽々撃破とはいかない。
「ストーンバレット!」
「ガアアア!」
リュシエルの放った石の礫をアーマードベアが腕を振るって薙ぎ払う。
「おっ、いつの間にか詠唱破棄出来る様になったか。初級魔法とは言っても成長だな。」
自分が訓練して育てた者の成長とは嬉しいものだ。
リュシエルも確実に日々強くなっている。
「そうは言ってもアーマードベアには全く効いていませんけどね!」
「硬い毛に阻まれている様だな。もう少し攻撃力のあるものに切り替えろ。」
「それならばこちらで!」
リュシエルが剣を持つ腕を魔装する。
魔装の訓練は日が浅いが部分的な魔装だけなら出来る様になっていた。
戦闘の才能は同じ弟子であるルルネットにも負けていない。
「魔装ならいけるか?」
「はっ!」
腕力を上げて剣をアーマードベアに思い切り振るう。
「ガアッ!?」
「やりました!」
体毛を突破して剣が身体に食い込む。
傷口から血が流れ出ている。
「油断するな、まだ倒せてはいないぞ。」
「分かっています!」
魔装した攻撃なら効果があると分かったので、相手の攻撃に気を付けながらタイミングを見計らって攻撃を続けていく。
「ガ…ア。」
既に何十回の攻撃を加えたか分からないところで、全身傷だらけのアーマードベアがついに倒れた。
「ふぅ、強かったですね。」
戦いを終えたリュシエルが額の汗を拭って呟く。
ジルの手助け無く一人でボスを討伐出来た。
「それは今だけだ。その内これくらい軽々と倒せる様になる。」
「そうなれる様に頑張ります。それでは進みましょう。」
アーマードベアのドロップアイテムを収納して次の階層への階段を降りる。
そこに広がっていたのはこれまでと同じ草原だった。
「また草原ですか。」
「だが魔物の種類は変わっているぞ。ランク的にはそれ程変わらないが。」
種類が違うだけで上の階層と殆ど魔物の強さが変わっていない。
初心者向けのダンジョンの可能性がある。
「これでは訓練になりませんね。アーマードベアの様な魔物とずっと戦えれば経験にもなるのですが。」
「ならばそうしてやろう。」
「えっ?」
ジルは拳大の黒鋼岩を無限倉庫から取り出す。
「少し離れていろ。」
「何をするつもりですか?」
言われた通りにジルから少し離れてリュシエルが首を傾げる。
「真下に行けば近道だろう?」
「まさかダンジョンに穴を?直ぐに修復されてしまうので無意味ですよ?」
「穴が小さければな。レールガン!」
ジルの両手が凄まじい電気を帯びて、包む様に持っていた黒鋼岩を射出する。
目を覆いたくなる様な眩しさと耳を塞ぎたくなる様な轟音が辺りに轟く。
「なっ!?」
ジルの真下には人が余裕で通れそうな大穴が空いていて、それを見たリュシエルが驚いている。
「これで階下に降りられる。」
「ど、どんな威力をしているんですか。」
ダンジョンの壁や床は破壊しても直ぐに塞がるので通り抜けられない事で有名だ。
しかしこれだけの大穴ならば修復にも時間が掛かる。
「雷霆魔法なんだからこんなものだろう?」
「いえ、これ程の威力は見た事がありません。しかしジルなのですから今更ですか。」
元Sランク冒険者を圧倒する様な実力者なので、これくらい出来てもおかしくはない。
「ほら行くぞ。」
「えっ?まさかこの大穴に飛び降り込むんですか?怖いのですけど。」
「その方が手っ取り早いからな。」
「ひゃあっ!?」
ジルが抱えてやるとリュシエルが恥ずかしそうな声を出す。
「準備はいいな?」
「え?あの、まだ心の準備が。」
「目を瞑っていればいい。」
ジルがそう言って大穴に飛び込む。
一つ下の階層は遠くに見えているが、大穴の底は真っ暗で見えない。
「きゃああああ!?」
大穴に強制的に飛び込む事になったリュシエルの悲鳴が辺りに響き渡る。
その悲鳴はジルが地面に着地するまで鳴り響いていた。
「と言う事であっという間に二十階層だな。」
「はぁはぁ、死ぬかと思いました。」
ジルの雷霆魔法で次のボス部屋まで階層を撃ち抜けた。
そんな十階層分の落下を体験してリュシエルは地面に四つん這いになって息を整えている。
「大袈裟だな。ただ穴の中に飛び降りただけだぞ?」
「その穴の底が見えないから怖いのではないですか!スキルが発動したらどうしてくれるんですか!」
リュシエルの魔誘のスキルは感情の激しい起伏によって発動するらしい。
それには当然恐怖と言う感情も含まれる。
「笑えない冗談は止めろ。それにスキルは発動しない様になっているのだろう?」
「一応魔法道具の首輪は付けていますからね。」
自分の首元にそっと触れる。
衣服で見えなくなっているが、そこにはスキルを封じる為の魔法道具の首輪が付けられている。
昔はこの首輪を酷く嫌っていたらしいが、今は自分の厄介なスキルを封じてくれているので感謝していると言う。
「なら安全ではないか。それに我が近くにいて恐怖を感じる必要は無い。それはフラムの時に証明しているだろう?」
「確かにジルは頼りになりますよ。それでも私は箱入り娘のお嬢様なんですから、もう少し丁重に扱ってくれると嬉しいのです。」
「やれやれ、お嬢様とは面倒なものだ。」
普段から主人の事を一番に気にして行動している貴族の家に仕えている執事やメイドを素直に尊敬するジルだった。
21
あなたにおすすめの小説
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる