【毎日更新】元魔王様の2度目の人生

ゆーとちん

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90章

元魔王様とルルネットの友達作り 6

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 Eランクの依頼ボードとそれよりも上のランクの依頼ボードを往復する事10分程。
ようやく依頼が決まった。

「これをお願いするわ。」

「はい、承ります。」

「やっと決まったか。どれどれ。」

 ルルネットが受付嬢に渡した依頼書をトトが隣りから覗き込む。

「Eランクの依頼書、発光草の採取ね。」

「頑張って集めてくるわ。」

「はいはい、そう言うのはいいから。君達の話しを聞いていたんだから、これがついでなのは分かっているよ。」

 自分の前で堂々と裏技の話しをしていたのだ。
この依頼が本命で無い事くらい分かっている。

「ついでってどう言う事ですか?」

 トトと違って事情を知らない受付嬢は首を傾げている。
依頼ボードの場所から受付までは話し声が聞こえていなかった様だ。

「この発光草が採取出来る場所と依頼ボードに貼ってある高ランクの依頼書の場所が近いんだよ。高ランクの依頼を直接受ける事は出来無いから、近い場所の依頼を受けて挑むつもりだね。」

「えー!?そんな危険な事をするのは駄目ですよ!」

 トトの話しを聞いた受付嬢が注意してくる。
新人のまだランクの低い冒険者にそんな危ない事はさせられない。

「そんな事しないわよ。発光草を取りに行くだけ。」

「まあ、採取の途中に襲われてしまったら迎撃する事にはなるけどな。」

「そう言う設定で行くんだろ?やれやれ。」

 ルルネットとジルの白々しいやり取りを聞いてトトが溜め息を吐く。

「やれやれって、そんな落ち着いている場合じゃないですよトトさん!まだまだ新人の冒険者が高ランクの依頼と同じ事をしようとしているんですよ?」

「本来なら見過ごせない案件だね。」

 これをされるとランクを定めている意味が無い。
適性よりも上の依頼はそれだけ危険であり、ランクが足りないと言う事はギルド側から受けるにはまだ早いと判断されている事になる。

 しかしそれと同時に依頼を受けている訳では無いので、ギルド側としては危ないからと注意は出来ても無理矢理止める権利までは無い。
結局最終的には自己判断となる。

「でしたら止めないと。」

「でもこの人達に限っては少し悩むところだ。」

「何故ですか?」

「そこの二人の実力は最低でもCランク以上ある。バトルチキンを何体も倒しているのを直接見ているからね。」

 そう言ってトトがジルとルルネットを指差す。
ジルに関しては噂からもっと高いランクだと思っている。

「バトルチキンをですか?確かDランクとEランクの冒険者さんですよね?」

「そうよ、私は登録したばかりね。」

「我はそれなりに冒険者になって長いな。」

 セダンで冒険者登録してから1年以上は経過している。

「それだけの実力があって活動も長いのにランクアップしていないのですか?」

「強制的な指名依頼が面倒なのでな。」

「それが理由でDランク止めって殆ど聞いた事無いけどね。」

 Cランク以上の冒険者は指名依頼を断る事が難しい。
Dランクであれば指名依頼を出されても断る事が出来るので、ジルは敢えてランクを上げない様にしているのだ。

「うーん、しかし領主の一人娘であるセレーナさんもいらっしゃいますし。」

 受付嬢は面子を見て悩んでいる。
アイフ男爵領の一人娘であるセレーナに何かあったら一大事だ。
冒険者の仕事は自己責任だが、今回は危険な事をしようとしていると事前に知ってしまったので悩ましいところだ。

「セレーナちゃんも実力的にはDランク上位ってところだし難易度次第ではいいんじゃないかな?ちなみに本命は何だい?」

「発光草の近くにある湖よ。」

「あそこって事はBランクの依頼の魚の納品かな?」

「そうなるわね。」

 発光草が採取出来る近くで高ランクの依頼を探したら、大量の淡水魚の納品依頼と言うのがあった。
魔物でも無い普通の魚なのにかなり高値だったのだ。

「アイフ領では新鮮な魚ってあまり市場に出回らないらしいわね?あんなに高値で取り引きされるなら最高じゃない。」

 常に市場に魚貝類があるトレンフルとは大違いである。
アイフ領は海から遠いので、新鮮な魚となれば湖や川で獲れるものしか基本的には食べられない。

「簡単に手に入れば苦労はしないよ。水中に潜む魔物は中々厄介だからね。釣りをして手に入れようとしても魔物に簡単に壊されちゃうし。」

 湖は中々大きいので魚も沢山いるらしい。
しかし水の中に潜んでいるのは魚だけでは無い。

「そこは私達の腕の見せ所よ。」

「まあ、この子達は強いし湖の魔物は陸地に上がってもしつこく追い回してはこないしいいんじゃないかな?」

「トトさんが許可するのであれば。」

 湖の魔物は普段の活動場所が水の中なので、動きが制限される地上にはあまり出てこない。
湖から離れる様に逃げれば途中で諦めてくれる事も多い。
それらを考慮して二人も一応納得してくれた様だ。

「やったわねセレーナ。」

「う、うん。本当にいいのかな?」

 少しズルい依頼の受け方をしてしまって多少の罪悪感を覚えるセレーナだった。
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