【毎日更新】元魔王様の2度目の人生

ゆーとちん

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98章

元魔王様と新たなる刺客 6

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「龍の羽だと?」

「はい、あの姿を見て見間違える筈もありません。」

 大きな羽が丁重に床に置かれる。
ジルはこの羽の持ち主が誰か調べる為に万能鑑定を使用する。
すると嵐龍レテルシエルの羽と言う文字が視えた。

「どうやら本物の様だな。そして我らの聞きたい事とも合致している。」

 ジルは羽の持ち主の名前を見て確信する。
レーテルがずっと探しているレテルシエルが過去に村の上空を飛んでいったのは確定した。

「ジル殿達が何かを聞く為に村に立ち寄ったと言う件ですか?」

「ああ、嵐龍レテルシエルと言うドラゴンが過去にこの村の上空付近を通過したと思うのだが、その件に付いて尋ねたいと思っていてな。だがこの羽がそれを証明してくれた様だ。」

「成る程、あの龍は原初でしたか。思わず見惚れてしまう程の圧倒的な存在感でしたからね。」

 村長が当時の事を思い出しながら頷いている。
直接原初の龍を目にする機会なんて滅多に無い。
そんな存在が村の上空を優雅に飛んでいったのだ。
村人の誰もがその姿に目を奪われたと言う。

「では村の上を通っていったのは間違い無いんだな?」

「はい、確かにこの目で目撃しています。私以外にも多くの村人が見ていたので間違いありません。」

 そう言って羽を運んでくれた村人達を村長が見ると頷いている。
当時の目撃者は村長以外にも大勢いたらしい。

「ドラゴンは村の上を通過して北の方へ飛んで行きました。」

「ふむ、方向も合っているな。」

 ナキナのスキルによって視たレテルシエルの進行方向とも合致している。

「そしてドラゴンが村の上空を通過した時にこの羽が空から舞い落ちてきたのです。偶然だったのでしょうが、村にとっては貴重な宝となりました。」

 ドラゴンの素材と言うだけでも貴重なのに、それが原初の龍であった。
その価値は更に何倍何十倍にも跳ね上がるだろう。

「そんな宝を本当に差し出していいのか?」

「偶然もたらされた物ですから。それに今の我々に必要なのはお宝よりもポーションです。」

 原因不明の感染症は光魔法により全員完治したが、またいつ侵されるか分からない。
今度もジル達の様にタイミング良く誰かが助けてくれるとは限らないので、その時に備えてポーションを確保しておく必要があるのだ。

「ならば村長、この羽は貰っていくとしよう。そしてこれが対価のポーションだ。」

 そう言ってジルは無限倉庫から取り出した大量のポーション類を床に並べていく。
店でも開くのかと言う量である。

「こ、こんなに!?」

 村長だけで無く控えていた村人もポーションの量に驚愕している。

「原初の龍の素材と言うのは村長が思っているよりもずっと高価なのだ。これくらいのポーションでは間違い無く等価交換にはならないだろうな。」

「これだけのポーションがあってもですか。凄まじい価値なのですね。」

 ジルが持つポーション類は回復効果も高いのでそれなりに高価だ。
それでも原初の龍の羽でこれらを買おうとすれば金貨の山がお釣りで返ってくるだろう。

「故に他にも色々と提供してやろう。少なくても対価に見合う程の量をな。」

「宜しいのですか?ジル殿が話さなければ我々は価値に気付かなかったと言うのに。」

 ドラゴンの素材は価値が高い。
村人の認識としてはそれくらいだ。
原初の龍の素材と言うのもジルが万能鑑定を使用して教えたからこそ分かった事だ。

 正確な素材の価値をジルに教えられるまで知らなかったので大量のポーションだけでも村人達は喜んで交換しただろう。
ジルが羽を安く手に入れられるチャンスだったのに、そうしなかった事に村長は不思議そうにしていた。

「我は別に騙し取りたい訳では無いからな。それに村を訪れた本来の目的は達成している。気にせず受け取るといい。」

 今はレテルシエルの情報が何よりも嬉しい。
それに関して知れただけでも報酬を渡したいくらいだ。

「それではジル殿の好意、有り難く貰い受けます。」

「何か欲する物はあるか?特に希望が無ければこちらで適当に出していくが。」

「物と言う訳ではありませんが、今回の病気の原因を解決してもらうと言うのは可能でしょうか?」

 村長は物資では無く感染症の原因の解決を求めてきた。
何か原因があるのであれば光魔法の使い手が揃っている今の内に解決しておきたいのだろう。

「確か原因が分かっていないんだったな?」

「はい、また発生する可能性も高いです。暫くはジル殿に頂いたポーションがあるので問題無いと思いますが、アピトしか光魔法を扱えないと言うのも不安でして。」

 アピトが病気で倒れてしまったら光魔法を使える者がいなくなってしまう。
そうなる前に原因があるなら解決しておきたい。

「解決出来るかは分からんが、少し調べてみよう。」

「ありがとうございます。」

 ジルの言葉に村長は深々と頭を下げて感謝を伝えてくれた。
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