【毎日更新】元魔王様の2度目の人生

ゆーとちん

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99章

元魔王様と龍人族の里 13

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 ジルの発言に驚愕する二人。

「ど、どう言う事ですか?何故レテルシエル様の子供を貴方方が。」

「まさかとは思うが拐った人族と繋がりが。」

「いや、旅先で偶然見つけただけだ。」

 変な誤解をされない為に先に言っておく。
しかしレーテルは首を横に振る。

「ジル、私は隠し事をしたく無いからはっきり言うわ。私だけは違うの。その拐った実行犯かは分からないけど、大元の奴とは知り合いだった。」

 龍人族達の里を襲った人族達の中にデザイアゴーストがいたかは分からない。
それでも幼龍がテルイゾラにいたと言う事は無関係とはいかないだろう。

「何だと?」

 レーテルの発言によりグルーシスの目が鋭くなる。

「でもこれだけは信じてほしいの。レテルシエルの子供を拐ったと知っていたら私がそいつを真っ先に殺す様に動いていたわ。ジル達の手を借りる前にね。」

 レーテルが真剣な表情でグルーシスに言う。
まさか自分の探し求めていたレテルシエルの子供を拐っていたなんて知らなかった。
早めに知っていれば違った未来もあっただろう。

「手を借りる前と言う事は既にその首謀者は死んでいると言う事か?」

「ああ、お前達の見た人族かは分からないけどな。そいつは人族の身体に憑依して支配していた魔物だった。」

 ジルやフォルトゥナが倒したデザイアゴースト。
放置していれば色々と厄介な事になっていただろう。

「憑依型の魔物ですか。それでは私達の戦った人族達も操られていた可能性が高いですね。」

「そうだな、あの強さは普通じゃ無かった。」

 デザイアゴーストは呪詛魔法を得意としていた。
それで無理矢理操られ、無茶な強化をされていたのかもしれない。

「それでジル達は魔物から幼龍を取り返してくれたって事でいいんだな?」

「ええ、場所はテルイゾラ。デスザードと言う国にあるオークション島よ。」

「ちっ、そんな遠くまで運ばれてたか。近辺を捜索しても見つからない筈だ。」

 龍人族の里であるこことは国が違う。
どれだけ探しても見つからない筈である。

「幼龍は無事だったのですか?」

 リーが緊張した様子で尋ねる。
連れ去られた幼龍がどんな扱いを受けていたかは分からない。
ただずっと無事である事だけを願っていた。

「ああ、特に怪我らしいものも無かった。最初は警戒されたがレーテルが説得して心を開いてくれた。今では元気に走り回って遊んでいるぞ。」

「そ、そうですか。」

「無事ってのを聞けて安心したぞ。」

 二人は安堵の息を吐く。
幼龍が無事でいると言うのが最も知りたかった事だ。
レテルシエルをこれ以上悲しませずに済む。

「グルーシス、こうしてはいられません。早くレテルシエル様に連絡して安心して頂かなければ。」

「そうだな。里の皆も守れなかった自分達を責め続けていたが、これでようやく気持ちが軽くなるだろう。」

 二人が早速報せなければと立ち上がる。
今も落ち込んでいるレテルシエルを早く元気にさせてあげたい。

「ねえ、レテルシエルの下に私も行っていい?」

「もちろんだ。お前達が救ってくれたんだから報告もお前達からするといい。手柄を取る様な真似はしない。」

「ありがとう。」

 レーテルが嬉しそうに微笑む。
ついにレテルシエルとのご対面だ。

「良かったですねレーテルさん。これで長年の夢が叶います。」

「ええ、フォルトゥナにも色々と迷惑を掛けたわね。」

「いえいえ、レーテルさんと常に行動出来て僕は嬉しかったですよ。」

「相変わらずね。」

 フォルトゥナの言動にレーテルが笑っている。
監視役ではあったが美人なレーテルと常に共に行動出来てフォルトゥナは大満足の様子だ。

「では早速移動する。付いて来てくれ。」

 グルーシスの案内で里の中を移動する。
これから原初の龍であるレテルシエルに会うと言う事で何人かは緊張している様子だ。

「里はそれなりに広いがドラゴンが居座れる様な場所があるのか?」

 辺りを見回すがレテルシエルらしき姿は見えない。
その巨体を隠せる様な場所も里内には見当たらない。

「レテルシエル様に限らず我ら龍人族に好意的な原初の龍は何らかの事情がある時に里に立ち寄って下さる。故に窮屈無く滞在出来る様に専用の場所を設けているんだ。」

 原初の龍専用の場所と言う物があるらしい。
その場所へと案内されて行くと岩壁の前だった。

「この階段を登った先に龍のお社があります。」

 視界いっぱいに広がる高く聳え立つ岩の壁。
その壁を削って作られた階段が見上げる程上へと続いている。

「長い階段じゃのう。」

「先が見えないの。」

 ナキナとホッコが階段の先を見ているが奥までは見えない。
途方も無い長さである。

「体力的に厳しい者はリーの重力魔法で運んでもらうといい。」

「ルルネット、大丈夫そうか?」

「自分の弟子をあまり侮らないでほしいわね。これくらいでバテる様な鍛え方はしていないわ。」

「それもそうか。」

 ルルネットは先の見えないこの階段でも登る気満々だ。
さすがはジルの弟子である。

「それじゃあ僕は…。」

「フォルトゥナ、まさかルルネットが歩くと言ってるのに情け無く頼ったりしないわよね?当然だけど私も歩くわよ?」

「そ、そんなまさか。しっかり歩きますよ。」

 何か言い掛けていたフォルトゥナだったがレーテルのジト目にブンブン首を横に振っているのだった。
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