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104章
元魔王様と王子の忙しい休日 3
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馬車を走らせる事数十分、目的地である死の谷付近の街道に到着する。
「この辺りか?」
「はい、今朝もオークが目撃されたらしいですよ。」
「今のところは見えないか。」
「いや、いるな。」
辺りを見回しても一見オークの姿は確認出来無い。
しかしジルには周囲の情報を得られる空間把握の魔法がある。
軽く周囲の状況を探ろうかと使ってみると街道横の森に潜んでいたので石ころを放り投げる。
「ブモッ!」
ジルの投げた石ころに反応して森から魔物が現れる。
「オークジェネラル!?」
「統率個体か、いきなり大物だな。」
「エトワール殿下、お下がり下さい。ここは私が。」
ソートが腰から剣を抜きつつ前に出る。
「おいおい、それでは私が戦えないではないか。」
「オークジェネラルは危険ですよ。」
「大丈夫だ。私の実力も上がってきている。もし危なくなったら助けてくれればいい。」
「うー。」
統率個体は通常種よりも遥かに強い。
あまり強い相手と戦ってほしくないソートはオークジェネラルを警戒しながら悩む。
「まあ、やらせてやれ。実力的にオークジェネラルくらいなら普通に倒せるだろう。」
「危ないと感じたら直ぐに介入しますからね。」
「分かった。」
エトワールが頷くのを確認してから譲る様に後ろへ下がる。
ジルとソートに見守られながらエトワールが剣を抜く。
「過保護な副団長だな。」
「この国の未来を背負う方なのですよ?エトワール殿下の身に何かあれば私の首が飛ぶ程度では許されません。」
「そんなに心配しているなら周りを少し片付けてきたらどうだ?」
「周り?」
ジルがそう言いながら別の方向に視線を向けるのでソートもそれに倣う。
しかし一見すると何もいない。
「他にもオークが何体か潜んでいる様だ。急に襲われればエトが怪我をするかもしれんぞ。」
「なっ!?ど、どこです!?」
エトワールの近くに他のオークが潜んでいると聞かされて焦った様に辺りを見回すソート。
戦闘中に他のオークが介入してくるのは危険だ。
統率個体は個の強さだけで無く同種の強化が最も厄介なのである。
「それくらい自分で探せ。素人でもあるまいし。」
「ジル殿は戦わないのですか?」
「我はエトの事を見ていよう。別にオークが潜んでいても我には関係無い事だからな。」
既にオーク達の潜んでいる場所は空間把握で全て分かっている。
エトワールを襲おうと出てきても瞬殺出来るだろう。
「分かりました、不安の種は私が取り除いてきましょう。エトワール殿下の事はお願いしますね。」
ソートは他のオークを狩りに向かった。
この間も戦い続けていたエトワールもそろそろ倒しそうだ。
統率個体を単独で倒せる力があれば他のオークが襲ってきても簡単に殺される事は無さそうだ。
「はっ!」
「ブモオッ!?」
「これで終わりだ!」
オークジェネラルの胸をエトワールの剣が貫く。
それが致命傷となり地面に倒れて動かなくなる。
「久々の実戦、悪くないな。」
布で剣の血を拭いながら満足そうに頷いている。
事前にジルとの模擬戦で激しく動いていたからか、実戦でも思う様に動く事が出来た。
「中々よかったじゃないか。」
「そうだろうそうだろう。ん?ソートはどうした?」
ジル一人しかいない事に気付いて辺りを見回す。
「まだ周りに潜んでいるオークが多くてな。エトが襲われる事を危惧して先に倒しているところだ。」
「そうだったか。それにしてもやはり数が多いな。集落は殆ど確実か。」
難しい表情をしながらエトワールが呟く。
「街道付近にこれだけいるくらいだからな。」
「ああ、街道を利用する一般の者達の安全の為にも今日中に片を付けたいところだな。」
街道の直ぐ近くにこれだけ潜んでいては安心して利用する事も出来無い。
オークの被害がこれ以上増える前に殲滅してしまいたい。
「お待たせ致しました。付近の殲滅は完了です。」
「ご苦労。」
数分でソートが戻ってくる。
実力は確かなので苦戦する事も無く全て倒せた様だ。
「エトワール殿下が倒したオークジェネラルも収納しますね。」
「魔法道具の鞄か?」
「はい、騎士団の物を借りてきました。遠征訓練時に魔物と戦う事も多いので容量の多い物を用意してあるんです。」
ジャミール王国を守る騎士団として装備や道具類は充実している。
貴重な収納系魔法道具もしっかり取り揃えているらしく、今回の狩りの為に持ってきたらしい。
「今回の狩りで得る魔石は無駄にしたくないからな。」
「何かに使うのか?」
「先程の件だ。我々の命も危険かもしれないと言う事で王城には防衛用の魔法道具が幾つも配備されている。それらを動かす原動力が魔石と言う訳だ。」
魔法道具の起動に必要な魔石。
王城を守る様な大規模な物となると幾らあっても困らない。
「常時発動させるとなると魔石の消費量も多いですからね。騎士団が得た魔石も全て王城に保管されているんです。」
「そう言う事ならこれから我が倒す分も譲ってやろう。」
ラブリートが護衛に付いてくれると言っても備えは多い方がいいだろう。
魔石は使い道が多いので沢山買い取っても無駄になる事もない。
「そうだな、買い取らせてもらえると有り難い。」
「では進むか?」
「ああ、死の谷へ向かうぞ。」
街道付近のオークを殲滅させたジル達は死の谷へと向かう為に立ち入り禁止区域である森の中に入って行った。
「この辺りか?」
「はい、今朝もオークが目撃されたらしいですよ。」
「今のところは見えないか。」
「いや、いるな。」
辺りを見回しても一見オークの姿は確認出来無い。
しかしジルには周囲の情報を得られる空間把握の魔法がある。
軽く周囲の状況を探ろうかと使ってみると街道横の森に潜んでいたので石ころを放り投げる。
「ブモッ!」
ジルの投げた石ころに反応して森から魔物が現れる。
「オークジェネラル!?」
「統率個体か、いきなり大物だな。」
「エトワール殿下、お下がり下さい。ここは私が。」
ソートが腰から剣を抜きつつ前に出る。
「おいおい、それでは私が戦えないではないか。」
「オークジェネラルは危険ですよ。」
「大丈夫だ。私の実力も上がってきている。もし危なくなったら助けてくれればいい。」
「うー。」
統率個体は通常種よりも遥かに強い。
あまり強い相手と戦ってほしくないソートはオークジェネラルを警戒しながら悩む。
「まあ、やらせてやれ。実力的にオークジェネラルくらいなら普通に倒せるだろう。」
「危ないと感じたら直ぐに介入しますからね。」
「分かった。」
エトワールが頷くのを確認してから譲る様に後ろへ下がる。
ジルとソートに見守られながらエトワールが剣を抜く。
「過保護な副団長だな。」
「この国の未来を背負う方なのですよ?エトワール殿下の身に何かあれば私の首が飛ぶ程度では許されません。」
「そんなに心配しているなら周りを少し片付けてきたらどうだ?」
「周り?」
ジルがそう言いながら別の方向に視線を向けるのでソートもそれに倣う。
しかし一見すると何もいない。
「他にもオークが何体か潜んでいる様だ。急に襲われればエトが怪我をするかもしれんぞ。」
「なっ!?ど、どこです!?」
エトワールの近くに他のオークが潜んでいると聞かされて焦った様に辺りを見回すソート。
戦闘中に他のオークが介入してくるのは危険だ。
統率個体は個の強さだけで無く同種の強化が最も厄介なのである。
「それくらい自分で探せ。素人でもあるまいし。」
「ジル殿は戦わないのですか?」
「我はエトの事を見ていよう。別にオークが潜んでいても我には関係無い事だからな。」
既にオーク達の潜んでいる場所は空間把握で全て分かっている。
エトワールを襲おうと出てきても瞬殺出来るだろう。
「分かりました、不安の種は私が取り除いてきましょう。エトワール殿下の事はお願いしますね。」
ソートは他のオークを狩りに向かった。
この間も戦い続けていたエトワールもそろそろ倒しそうだ。
統率個体を単独で倒せる力があれば他のオークが襲ってきても簡単に殺される事は無さそうだ。
「はっ!」
「ブモオッ!?」
「これで終わりだ!」
オークジェネラルの胸をエトワールの剣が貫く。
それが致命傷となり地面に倒れて動かなくなる。
「久々の実戦、悪くないな。」
布で剣の血を拭いながら満足そうに頷いている。
事前にジルとの模擬戦で激しく動いていたからか、実戦でも思う様に動く事が出来た。
「中々よかったじゃないか。」
「そうだろうそうだろう。ん?ソートはどうした?」
ジル一人しかいない事に気付いて辺りを見回す。
「まだ周りに潜んでいるオークが多くてな。エトが襲われる事を危惧して先に倒しているところだ。」
「そうだったか。それにしてもやはり数が多いな。集落は殆ど確実か。」
難しい表情をしながらエトワールが呟く。
「街道付近にこれだけいるくらいだからな。」
「ああ、街道を利用する一般の者達の安全の為にも今日中に片を付けたいところだな。」
街道の直ぐ近くにこれだけ潜んでいては安心して利用する事も出来無い。
オークの被害がこれ以上増える前に殲滅してしまいたい。
「お待たせ致しました。付近の殲滅は完了です。」
「ご苦労。」
数分でソートが戻ってくる。
実力は確かなので苦戦する事も無く全て倒せた様だ。
「エトワール殿下が倒したオークジェネラルも収納しますね。」
「魔法道具の鞄か?」
「はい、騎士団の物を借りてきました。遠征訓練時に魔物と戦う事も多いので容量の多い物を用意してあるんです。」
ジャミール王国を守る騎士団として装備や道具類は充実している。
貴重な収納系魔法道具もしっかり取り揃えているらしく、今回の狩りの為に持ってきたらしい。
「今回の狩りで得る魔石は無駄にしたくないからな。」
「何かに使うのか?」
「先程の件だ。我々の命も危険かもしれないと言う事で王城には防衛用の魔法道具が幾つも配備されている。それらを動かす原動力が魔石と言う訳だ。」
魔法道具の起動に必要な魔石。
王城を守る様な大規模な物となると幾らあっても困らない。
「常時発動させるとなると魔石の消費量も多いですからね。騎士団が得た魔石も全て王城に保管されているんです。」
「そう言う事ならこれから我が倒す分も譲ってやろう。」
ラブリートが護衛に付いてくれると言っても備えは多い方がいいだろう。
魔石は使い道が多いので沢山買い取っても無駄になる事もない。
「そうだな、買い取らせてもらえると有り難い。」
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「ああ、死の谷へ向かうぞ。」
街道付近のオークを殲滅させたジル達は死の谷へと向かう為に立ち入り禁止区域である森の中に入って行った。
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