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番外編

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輪っかの形状から視覚的快楽を得るとはまた高度な、さすがコーリーというべきか。

「輪っかが?完全な円に欲情するタイプなの?変態数学者にでもなれば?」
「ちがうよ!!」

気味が悪そうな気持ちは隠さず、夫に今後の進路について助言すれば、コーリーは不服げに否定した。

「この形、いかにも拘束されてるって感じじゃない?それに円は永遠って感じがするでしょう?つまり、永久に君を拘束したいっていう僕のピュアな恋心だよ!」
「シンプルにものすごく気持ち悪いッ!」
「ひどい」

思わず己の体を抱きしめながら絶叫してしまった。普通に鳥肌がたっている。夫からの愛の言葉のはずなのに、とてつもなく危険で悍ましい気配を感じたのだ。このポンコツ本当に気持ち悪い。

「ひどくないわよこんな趣味の悪いモノどこから買ってきたのよ!返してらっしゃい」
「いや、僕が作った」
「は?…………ちょっと待って」

私の怒号を受けてコーリーがあっさりと返した一言に、思わず思考が停止した。待て、待ってくれ。

全部、コーリーお手製なの!?」

先ほどとは違う恐怖に絶叫する。嘘でしょ、この全然魔力回路が読めない遺跡から発掘される謎の魔法具みたいなヤツ、全部コーリーが作ったの!?……いつの間に!?私に仕事押し付けていたくせに!?こんなものを作ってたの!?は!?重罪では!?

「君の体につけるものを僕がその辺で購入するわけがないだろう?」
「相変わらずコーリーは本当にきもちわるいわね!あらゆる意味で最低よ!!この変態!」

心の底から罵る私に、コーリーはなぜか嬉しそうにはにかんだ。

「変態だなんて……お褒めにあずかり光栄だな!僕は死ぬまで、カミラ専属の変態だよ」
「褒めてない!照れるな!頬染めるな!言動と外見を一致させろ!」

あぁ、失敗した。結婚前に、屑旦那の始末の仕方を殺し屋に習っておくべきだった……。いや、変態旦那の調教術を特殊娼館のお姉様方に師事しておくべきだったのか……。それとも諜報部隊に伝手を作って、危険人物を無害化する洗脳方法を学ぶべきだったのか……。
心の中で激しく過去を後悔していると、コーリーが私の足元に跪き、まるで求婚するかのような恭しさで一つの魔道具を差し出してきた。

「さぁ、分かっただろう、僕の本気が!……頼む!頼むよカミラ、どうかこれだけでも付けてくれ!」

そう言って手渡されたのは、いかにもといった風体の腕輪。

「嫌に決まってんでしょ倫理観狂ってんの!?」

この流れで付けるわけないのに何故そんなに自信満々で差し出せるのか。我が夫ながら本当に理解できない。

「君に狂った哀れな男の頼みだよ!?」

目を潤ませて今にも泣き出さんばかりのコーリーは、あたかも人間の愚かさに悲しみ嘆く宗教画の天使のようである。だが、まるで被害者のような振る舞いはやめろ。どう考えてもお前が加害者だ!

「アンタみたいな男に捕まった私の方が哀れよ!!」

あーー!!
本当に心底、今すぐこのポンコツと離婚したい!!
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