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第5章:ハッピーエンドはすぐそこに。
67.理由はわからないけど、楽しみます。
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ラファイエットのドレスは一流だけありどれも素敵です。
女性の好みと流行を取り入れただけでなく、デザイナーはどうやってこのデザインを思いついたのかしらと感心するほどにおしゃれなのです。
ま、当然お値段も素晴らしいのですけど。
それを自らの分だけでなく、五人の侍女全員分あつらえるなんて。我が主人はどれだけ太っ腹なのでしょう!
(でも)
心に引っかからなくもないのです。
だって一着が私のお給金の一年分もある高価な品物です。
ラファイエットの扱う商品は上流貴族にこそ相応しいもの。なぜ使用人まで買い与えるのでしょうか。
貴族……この場合は上流貴族……からすれば使用人など“自分たちとは違う人種“の認識です。
例え私とイーディス様に友情に近い感情があろうとも、それは変わりません。
(なにか意図があるのかしら)
いいえ、ないはずはないのです。
イーディス様は賢いお方なのだから、無条件でこのようなことをなさるお方ではないのです。
なにか思惑があるはずです。
「ダイナさん、なに難しい顔してるんですか? ほら見てください。これも可愛いですよ。ダイナさんの髪色に似合うんじゃないですか?」
新人侍女さんがドレスのデザインカタログを持ってきて、スケッチを指差します。
流行りのエンパイアスタイル(イーディス様が披露宴と舞踏会で身につけられて大評判からの大流行です)にレースを多用した花のように愛らしいデザインです。
「ほんとだ。かわいいね。でも私には甘すぎかな。似合わないと思うな」
完全にドレスに負けてしまいます。
平凡な茶色の髪ではなく、イーディス様のような金髪だったら、ドレスと相乗効果でより華やかになるでしょうが。
残念。
「うーん。そうですか?……あぁ、うん。ダ、ダイナさん、無難なデザインばっかりだから、たまには冒険してもいいと思ったんですが、落ち着いたデザインの方がしっくりくるかもしれないですね」
新人さんはしどろもどろに応えます。自分で言いながら、何かに気づいたようです。
ほら似合わないでしょう?
いいんです。
わかっていますから。
私は気にしていない素振りで笑顔を作ります。
「私にぴったりなのがあるかもしれないわ。カタログ見せてくれる?」
「あ、はい! どうぞ」
新人侍女さんはカタログを私の前に置き、採寸に行ってきますと店の奥に向かいました。
私は高級感しかない“どれだけお金かけて作らせたんだ“なカタログを手に取り、ページをめくります。
(うん。どれも素敵なデザインばかりね……)
街の仕立て屋では思いつかない個性的でいて女性らしさの際立つものばかり。
さすが王侯貴族御用達は違います。
(イーディス様が何をお考えになっておられるかなんて分からないけれど、気にしていても仕方ないわ。悪いようにはなさらないはずよ。イーディス様の人柄はよく知ってるじゃない)
イーディス様には良きにつけ悪しきにつけ、関心があるのはカイル殿下のことだけです。
今回はカイル殿下が関わっているようには思えません。だとしたら、きっと好意しかないはずです。
(開き直ってしまうのが楽かも)
大体、ラファイエットでドレスを仕立てる機会なんてなかなかありません(初めてです!)
このチャンス、楽しんでしまうのがいいんじゃないでしょうか。
後は野となれ山となれ!です。
結局。
私もイーディス様が作りだした今年の流行に乗り、エンパイアスタイルの淡い空色のドレスに決めました。
色は最後まで悩んだんですよね。
ターコイズにするか淡い空色にするか……。
でもターコイズはあからさますぎかなと、淡い青にしたのです。いい選択だったと思います。
仕上がりは1週間後とのこと。
とっても楽しみです。
女性の好みと流行を取り入れただけでなく、デザイナーはどうやってこのデザインを思いついたのかしらと感心するほどにおしゃれなのです。
ま、当然お値段も素晴らしいのですけど。
それを自らの分だけでなく、五人の侍女全員分あつらえるなんて。我が主人はどれだけ太っ腹なのでしょう!
(でも)
心に引っかからなくもないのです。
だって一着が私のお給金の一年分もある高価な品物です。
ラファイエットの扱う商品は上流貴族にこそ相応しいもの。なぜ使用人まで買い与えるのでしょうか。
貴族……この場合は上流貴族……からすれば使用人など“自分たちとは違う人種“の認識です。
例え私とイーディス様に友情に近い感情があろうとも、それは変わりません。
(なにか意図があるのかしら)
いいえ、ないはずはないのです。
イーディス様は賢いお方なのだから、無条件でこのようなことをなさるお方ではないのです。
なにか思惑があるはずです。
「ダイナさん、なに難しい顔してるんですか? ほら見てください。これも可愛いですよ。ダイナさんの髪色に似合うんじゃないですか?」
新人侍女さんがドレスのデザインカタログを持ってきて、スケッチを指差します。
流行りのエンパイアスタイル(イーディス様が披露宴と舞踏会で身につけられて大評判からの大流行です)にレースを多用した花のように愛らしいデザインです。
「ほんとだ。かわいいね。でも私には甘すぎかな。似合わないと思うな」
完全にドレスに負けてしまいます。
平凡な茶色の髪ではなく、イーディス様のような金髪だったら、ドレスと相乗効果でより華やかになるでしょうが。
残念。
「うーん。そうですか?……あぁ、うん。ダ、ダイナさん、無難なデザインばっかりだから、たまには冒険してもいいと思ったんですが、落ち着いたデザインの方がしっくりくるかもしれないですね」
新人さんはしどろもどろに応えます。自分で言いながら、何かに気づいたようです。
ほら似合わないでしょう?
いいんです。
わかっていますから。
私は気にしていない素振りで笑顔を作ります。
「私にぴったりなのがあるかもしれないわ。カタログ見せてくれる?」
「あ、はい! どうぞ」
新人侍女さんはカタログを私の前に置き、採寸に行ってきますと店の奥に向かいました。
私は高級感しかない“どれだけお金かけて作らせたんだ“なカタログを手に取り、ページをめくります。
(うん。どれも素敵なデザインばかりね……)
街の仕立て屋では思いつかない個性的でいて女性らしさの際立つものばかり。
さすが王侯貴族御用達は違います。
(イーディス様が何をお考えになっておられるかなんて分からないけれど、気にしていても仕方ないわ。悪いようにはなさらないはずよ。イーディス様の人柄はよく知ってるじゃない)
イーディス様には良きにつけ悪しきにつけ、関心があるのはカイル殿下のことだけです。
今回はカイル殿下が関わっているようには思えません。だとしたら、きっと好意しかないはずです。
(開き直ってしまうのが楽かも)
大体、ラファイエットでドレスを仕立てる機会なんてなかなかありません(初めてです!)
このチャンス、楽しんでしまうのがいいんじゃないでしょうか。
後は野となれ山となれ!です。
結局。
私もイーディス様が作りだした今年の流行に乗り、エンパイアスタイルの淡い空色のドレスに決めました。
色は最後まで悩んだんですよね。
ターコイズにするか淡い空色にするか……。
でもターコイズはあからさますぎかなと、淡い青にしたのです。いい選択だったと思います。
仕上がりは1週間後とのこと。
とっても楽しみです。
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