異世界給食伝説!〜チート能力は具材生成〜

あいざわみつき

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(第20話:甘い魔力の国「スイートニア」とプリンセス)

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(第20話:甘い魔力の国「スイートニア」とプリンセス)
ポテト男爵を「ひじきの煮物」の重みで改心させ、バーガー・シティに別れを告げたアキラ。
 「栄養バランスも大事だけど、やっぱり給食の楽しみといえば……最後のお楽しみ、デザートだよね!」 
そんなことを考えながら、アキラが気球に乗りたどり着いたのは雲の上に広がる、今までとは全く違う、甘~い香りに包まれた世界でした。
「うわぁ! なんだここ! まるでおとぎ話の世界だ!」 
アキラが降り立ったのは、地面がサクサクのクッキー、木々が巨大なペロペロキャンディ、そして空にはふわふわの綿あめ(コットンキャンディ)の雲が浮かぶ、夢のような国「スイートニア」でした。川にはチョコレートが流れ、遠くにはプリンでできたプルプルの山が見えます。 
「ここなら、戦いで疲れた体も癒やされそうだな~」 
アキラはウキウキしながら、チョコレートの川にかかるウエハースの橋を渡り、街の中へ入っていきました。
しかし、街の様子がおかしいことにすぐに気がつきました。 本来なら甘くて幸せなはずのこの国に、なぜか鼻にツンとくるような、すっぱい刺激臭が漂っていたのです。 
「……ん? 甘い匂いに混じって、なんだかお酢みたいな匂いがするぞ?」 
アキラが不思議に思っていると、道端で、金平糖(こんぺいとう)の精霊のような姿をした子供が泣いているのを見つけました。 
「うえーん! 痛いよぉ、すっぱいよぉ……」 
「大丈夫!? どうしたの?」
 アキラが駆け寄ると、その子の体は、本来のキラキラした砂糖の結晶ではなく、カサカサに乾いてひび割れていました。そして、その子が手に持っていたドーナツは、見るからに固そうで、表面からシューシューと酸っぱい煙を出しています。 
「おやつを食べようとしたら……急にドーナツがレモンよりも酸っぱくなって……口の中がビリビリするの……」 
「ええっ!? ドーナツが酸っぱいなんて変だろ!」 
アキラが周りを見渡すと、他のお菓子でできた家々も、ドロドロと溶け出したり、カチカチに固まったりしています。街を歩く人々――魔法使いたちや、お菓子の妖精たち――はみんな、顔色が真っ青で、地面に座り込んでいました。
 「魔力が……出ない……。糖分が足りない……」 
この国の人々は、お菓子の「甘い魔力」をエネルギーにして生きているのです。それが失われた今、国全体が深刻なエネルギー不足に陥っていました。
「これはいったい誰の仕業なんだ……」 
その時、街の中心にある、巨大なショートケーキの形をしたお城から、ファンファーレ……ではなく、悲しげな鐘の音が響きました。
 「異世界から来た勇気ある旅人よ。どうか、わらわを助けてたもれ……」
 アキラの前に、イチゴの馬車が迎えに来ました。アキラが連れて行かれたお城の玉座には、純白のホイップクリームのドレスを着た、とても可愛らしい少女が座っていました。彼女こそが、この国を治める「プリンセス・シュガー」です。 しかし、彼女のドレスも少し溶けかかっていて、元気がない様子です。 
「ようこそ、給食冒険者アキラ様。この国は今、滅びの危機にあります」 プリンセスは涙を浮かべて説明しました。 
「この国の力の源である『甘味の源(スイート・クリスタル)』を、悪い魔女に奪われてしまったのです。その魔女の名は……『サッパリ大魔女』」 
「サッパリ大魔女?」 
「はい。彼女は『甘いものはベタベタしてダラしない! 世の中はもっとキリッと引き締まるべきだ!』と言って、国中のお菓子に『超強力クエン酸』と『激辛ビネガー』の呪いをかけたのです」 
なんと、今回の敵は「甘さ」そのものを憎む魔女でした。彼女は、みんなが幸せな顔で甘いものを食べているのが気に入らず、世界中の食べ物を、顔がシワシワになるほど酸っぱくしようとしているのです。 
「そんなのダメだ! 甘いものがあるから、みんな辛いことも頑張れるんだ! 給食だって、カレーの後のフルーツポンチや、冷凍みかんがあるから、午後も勉強を頑張れるんだぞ!」
 アキラは怒りに震えました。バーガー・シティでは「偏った食事」が敵でしたが、ここでは「食事の楽しみ」そのものが奪われているのです。 
「でも、アキラ様……。大魔女の酸っぱい魔法は強力です。近づくだけで、どんな甘いお菓子も瞬時にお酢の味に変えられてしまいます。私たちの魔法も、酸で中和されて効かないのです……」
 プリンセスは諦めかけていました。しかし、アキラはニカっと笑いました。
 「大丈夫! 僕の給食魔法は、ただ甘いだけじゃないんだ。酸っぱいものを優しく包み込んだり、相性を良くして美味しく変えちゃう『給食デザート』の知恵がある!」
アキラは、酸っぱい敵に対抗するためのヒントを、頭の中の給食メニューから必死に探しました。 (酸っぱい攻撃を弾くんじゃなくて、受け止めて美味しくしちゃう……そんな魔法のデザートは……) その時、アキラの頭に、給食で出るとみんなが大喜びした、あの白いプルプルと、ふわふわのデザートが思い浮かびました。 
「プリンセス、僕に任せて! 酸っぱさを『爽やかさ』に変える、最強のデザート魔法を見せてあげるよ!」
 アキラはサッパリ大魔女が住むという、街外れの「レモンキャンディの塔」を見上げ、力強く拳を握りました。
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