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第021話 入手したスキルをお試し
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翌日。
『ウォーム・カーネーション』の宿舎の裏手に、今や枯れ木だらけになった森がある。
ここなら人目もないし、多少荒っぽいことをしてもいいだろう。
◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇
[ステータス]
〈名前〉倉野幸太郎
〈職業〉Fランク冒険者
〈称号〉なし
体力:31252
筋力:33973
耐久:22684(+30000)
俊敏:35342
魔力:99999999999
〈魔法〉:《魔核人形師》・《転移魔法陣》
〈スキル〉:《無限複製》・《完全覚醒》・《叡智》・《天啓》・《不老》・《全状態異常耐性》・《剣豪》・《超級鍛冶》・《空間製図》・《精密創造》・《超速再生》・《神の舌》・《拳王》・《投擲制御》・《起爆雷》・《電光一閃》・《飛雷針》・《雷滅撃》・《神格調合》・《火事場の馬鹿力》
〈新スキル詳細〉
《拳王》:最高峰の体術が扱える。
《投擲制御》:正確な投擲が行える。
《起爆雷》:自分が所持している武器に爆発性の電気を纏わせることができる。
一日五回まで使用可能。
《電光一閃》:瞬間的に自分の速度を上昇させることができる。
《飛雷針》:肉体に電気を纏わせることができる。
《雷滅撃》:体に纏っている電気を一点集中させ、爆発を引き起こすことができる。
《火事場の馬鹿力》:重傷を負っている際に、瞬間的に筋力を増加させることができる。
一度使用すると、一週間のインターバルが必要になる。
◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇
「うわっ! ステータス値がめちゃくちゃ上がってる! 多分チグサに触れた時だな……」
あと、職業が『無職』から『Fランク冒険者』に変わってるのが地味に嬉しい……。
よし。じゃあとりあえず、新しく覚えたスキルを試しておくか。
《拳王》は相手がいないし、どうせ熟練度が上がらないと使いこなせないやつだろうから、まずは《投擲制御》からやってみるか。
えーっと……何か投げる物……。
これでいいか。
そこら辺に落ちていた石を拾い、遠くの枯れ木に向かって放り投げてみると、石は弧を描かず、まっすぐ飛んでいき、正確に狙った枯れ木にぶつかった。
ほぉ。このスキル、投擲の速度自体もそれなりに上昇するみたいだな。
じゃあ次は、武器に爆発性の電気を纏わせる《起爆雷》を……。
これはたしか、チグサがクナイで使っているところを見たな。
あの時はクナイが敵に刺さった直後にスキル名を詠唱してたけど……。
腰にさげていた剣を抜き、
「《起爆雷》」
すると、手にしていた剣の刀身に、バチバチと青白い電気が走り始めた。
「なるほど。電気を纏わせた状態でキープすることもできるのか。でもこれ、どのくらいの威力なんだろう……。ロロ、ちょっと離れてろ」
「はーいっ」
右手で剣を持ち、左手で顔を庇いながら、恐る恐る枯れ木に刀身をぶつけてみると、ボンッ、と凄まじい音が響き、赤い炎がはじけると、刀身と共に枯れ木は粉々に吹き飛んだ。
「びっくりしたぁ……。でも、強いな。さすがチグサのスキル。複製ができない貴重な武器には使えないけど……」
右手を突き出して、
「《無限複製》、小型ナイフ」
突き出した右手の前方に出現した小型ナイフをそのまま掴み取り、適当に狙いを定める。
今度はあらかじめ武器にスキルを付与するんじゃなくて、武器を遠くに投げたあとにスキルを使用してみるか。
「よっ!」
できるだけ遠くにナイフを投げると、ナイフはポテンと軽い音を伴って地面に転がった。
「《起爆雷》」
直後、地面に転がっていたナイフから青白い電気が走ると、さっきと同じように小さな爆発を起こして粉々に砕け散った。
あとづけでスキルを発動できるのは使い勝手がいいな。使用制限のある《起爆雷》を外した時、無駄に消費しなくて済む。
どの程度の距離離れてもスキルが発動するのかは、また今度検証しておこう。
次は《電光一閃》か。
瞬間的に速度を上昇させるスキル。
チグサのを見てたけど、あれ、めちゃくちゃかっこよかったんだよなぁ。
「《無限複製》、剣」
さっき吹き飛ばしたものと同じ剣を複製し、その柄をがっちりと握り、
「よし。しっかり見てろよ、ロロ。これからめちゃくちゃかっこいいことするぞ」
「幸太郎はいつもかっこいいよ?」
「え? あ、ありがとう……。って、違う違う。いいから見とけ」
少し先にある枯れ木に向かって剣を構え、
「《電光一閃》!」
体内を凄まじい威力の電気が走り抜ける感覚が襲い、たった一脚で枯れ木の前まで距離を詰め、そのまま勢いをのせて剣を横に振ったが、狙いは逸れ、剣は枯れ木のやや手前をかすっただけだった。
後方から、ロロの興奮した声が聞こえてくる。
「すごいすごい! 幸太郎はやぁい! 外れたけどとってもはやかったよ!」
「…………」
「……幸太郎? どうしたの?」
「……う……動けない」
「動けない?」
「体が痛くて……動けない……」
「……つんつんしていい?」
「絶対だめ!」
◇ ◇ ◇
結局、いくら待っても体から痛みが抜けなかったので、《超速再生》を使用して元に戻した。
「なんで《全状態異常耐性》が発動しないんだ……。今のは明らかに《麻痺》の状態異常だろ……」
すると、頭の中でメーティスの声が響き、
『《全状態異常耐性》は、体外からの攻撃に対しては効果を発揮しますが、スキル発動のデメリットなどに対してはほとんど効果はありません。わかりやすく言うと、睡眠薬を経口摂取すれば《全状態異常耐性》は発動しますが、普段生活をしていて感じる眠気にまで効果がないのと同じです』
「あぁ、そう……。じゃあ、《電光一閃》を使いこなすには時間がかかりそうだな……。一度使っただけで動けなくなるくらい体が痛くなるし、速すぎて制御しきれず、結局的を外してる。……こうなってくると、次のスキル、《飛雷針》も不安だなぁ。これ、体中に電気を纏わせるって書いてるんだけど……」
『警告します。現時点では《飛雷針》の熟練度が低すぎるため、使用を誤れば幸太郎様の命を奪いかねません』
命奪う系のやつかぁ……。
『《飛雷針》を使いこなしたいのなら、極力微弱な電気を長期間体に纏い、熟練度を上げる必要があります』
先は長そうだな……。
だったら《飛雷針》とセットになってる《雷滅撃》も使えないなぁ。
あれもかっこよかったのに……。
『では、《火事場の馬鹿力》を試してみますか?』
それはいいや。うん。
だってそれ、重傷を負ってる時にしか使えないって書いてあるし。
『そうですか……』
なんでちょっと残念そうなんだよ……。
「とりあえず俺の方は全部試し終わったから、あとはロロの《消滅弾》の威力でも確かめるか」
「ロロ、あれ撃っていいの!?」
「おう。いいぞ。あそこにある岩に向かって思いっきりやってみろ」
「わーいっ!」
ロロは楽しそうに岩に向き直ると、ぱっくりと口を開いた。
すると、口のすぐ前方に黒い球体が出現し、それがチカチカと点滅を繰り返しながら渦巻き始めた。
その状態のまま五秒ほど経過すると、突然、ボォォォンと、まるで船の汽笛のような音が轟いたと思うと、球体から真っ黒い光線が前方に向かって放たれた。
しかし、その光線の威力に、ロロの体は回転しながら後方へ吹き飛ばされてしまい、発射した光線はすぐに途切れてしまった。
「うわっ! ロロ! 大丈夫か!」
慌てて吹き飛ばされたロロの頭を抱えると、「ふわぁ……。なにがおこったのぉ?」と目を回していた。
「ロロの体が軽すぎて、《消滅弾》の反動に耐えられないのか……。しかも、的にしていた岩にはかすってもいないし……。これもまだ実践では使えないな……」
今後はどうやって《消滅弾》を撃てるように改造するかが重要になってきそうだな。
ロロは俺の中で、具合が悪そうにぐったりしながら涎を垂らしている。
「……ロロ、ほんとに大丈夫か?」
「だ……だいじょうぶだよぉ……。でも……なんか……ちょっと……目が回って……それから……」
「それから?」
「はきそう……」
「えっ?」
「うぷ……。おえぇぇ」
ロロの口からそれはそれはもういろいろなものが飛び出し、俺の服をじんわりと染めていった。
「…………今日はもう、家に帰るか」
「……うん。……あと、おふろはいりたい」
「奇遇だな……。俺もだよ……」
結論。《消滅弾》を撃つと他にもいろいろ出てくる。
『ウォーム・カーネーション』の宿舎の裏手に、今や枯れ木だらけになった森がある。
ここなら人目もないし、多少荒っぽいことをしてもいいだろう。
◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇
[ステータス]
〈名前〉倉野幸太郎
〈職業〉Fランク冒険者
〈称号〉なし
体力:31252
筋力:33973
耐久:22684(+30000)
俊敏:35342
魔力:99999999999
〈魔法〉:《魔核人形師》・《転移魔法陣》
〈スキル〉:《無限複製》・《完全覚醒》・《叡智》・《天啓》・《不老》・《全状態異常耐性》・《剣豪》・《超級鍛冶》・《空間製図》・《精密創造》・《超速再生》・《神の舌》・《拳王》・《投擲制御》・《起爆雷》・《電光一閃》・《飛雷針》・《雷滅撃》・《神格調合》・《火事場の馬鹿力》
〈新スキル詳細〉
《拳王》:最高峰の体術が扱える。
《投擲制御》:正確な投擲が行える。
《起爆雷》:自分が所持している武器に爆発性の電気を纏わせることができる。
一日五回まで使用可能。
《電光一閃》:瞬間的に自分の速度を上昇させることができる。
《飛雷針》:肉体に電気を纏わせることができる。
《雷滅撃》:体に纏っている電気を一点集中させ、爆発を引き起こすことができる。
《火事場の馬鹿力》:重傷を負っている際に、瞬間的に筋力を増加させることができる。
一度使用すると、一週間のインターバルが必要になる。
◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇
「うわっ! ステータス値がめちゃくちゃ上がってる! 多分チグサに触れた時だな……」
あと、職業が『無職』から『Fランク冒険者』に変わってるのが地味に嬉しい……。
よし。じゃあとりあえず、新しく覚えたスキルを試しておくか。
《拳王》は相手がいないし、どうせ熟練度が上がらないと使いこなせないやつだろうから、まずは《投擲制御》からやってみるか。
えーっと……何か投げる物……。
これでいいか。
そこら辺に落ちていた石を拾い、遠くの枯れ木に向かって放り投げてみると、石は弧を描かず、まっすぐ飛んでいき、正確に狙った枯れ木にぶつかった。
ほぉ。このスキル、投擲の速度自体もそれなりに上昇するみたいだな。
じゃあ次は、武器に爆発性の電気を纏わせる《起爆雷》を……。
これはたしか、チグサがクナイで使っているところを見たな。
あの時はクナイが敵に刺さった直後にスキル名を詠唱してたけど……。
腰にさげていた剣を抜き、
「《起爆雷》」
すると、手にしていた剣の刀身に、バチバチと青白い電気が走り始めた。
「なるほど。電気を纏わせた状態でキープすることもできるのか。でもこれ、どのくらいの威力なんだろう……。ロロ、ちょっと離れてろ」
「はーいっ」
右手で剣を持ち、左手で顔を庇いながら、恐る恐る枯れ木に刀身をぶつけてみると、ボンッ、と凄まじい音が響き、赤い炎がはじけると、刀身と共に枯れ木は粉々に吹き飛んだ。
「びっくりしたぁ……。でも、強いな。さすがチグサのスキル。複製ができない貴重な武器には使えないけど……」
右手を突き出して、
「《無限複製》、小型ナイフ」
突き出した右手の前方に出現した小型ナイフをそのまま掴み取り、適当に狙いを定める。
今度はあらかじめ武器にスキルを付与するんじゃなくて、武器を遠くに投げたあとにスキルを使用してみるか。
「よっ!」
できるだけ遠くにナイフを投げると、ナイフはポテンと軽い音を伴って地面に転がった。
「《起爆雷》」
直後、地面に転がっていたナイフから青白い電気が走ると、さっきと同じように小さな爆発を起こして粉々に砕け散った。
あとづけでスキルを発動できるのは使い勝手がいいな。使用制限のある《起爆雷》を外した時、無駄に消費しなくて済む。
どの程度の距離離れてもスキルが発動するのかは、また今度検証しておこう。
次は《電光一閃》か。
瞬間的に速度を上昇させるスキル。
チグサのを見てたけど、あれ、めちゃくちゃかっこよかったんだよなぁ。
「《無限複製》、剣」
さっき吹き飛ばしたものと同じ剣を複製し、その柄をがっちりと握り、
「よし。しっかり見てろよ、ロロ。これからめちゃくちゃかっこいいことするぞ」
「幸太郎はいつもかっこいいよ?」
「え? あ、ありがとう……。って、違う違う。いいから見とけ」
少し先にある枯れ木に向かって剣を構え、
「《電光一閃》!」
体内を凄まじい威力の電気が走り抜ける感覚が襲い、たった一脚で枯れ木の前まで距離を詰め、そのまま勢いをのせて剣を横に振ったが、狙いは逸れ、剣は枯れ木のやや手前をかすっただけだった。
後方から、ロロの興奮した声が聞こえてくる。
「すごいすごい! 幸太郎はやぁい! 外れたけどとってもはやかったよ!」
「…………」
「……幸太郎? どうしたの?」
「……う……動けない」
「動けない?」
「体が痛くて……動けない……」
「……つんつんしていい?」
「絶対だめ!」
◇ ◇ ◇
結局、いくら待っても体から痛みが抜けなかったので、《超速再生》を使用して元に戻した。
「なんで《全状態異常耐性》が発動しないんだ……。今のは明らかに《麻痺》の状態異常だろ……」
すると、頭の中でメーティスの声が響き、
『《全状態異常耐性》は、体外からの攻撃に対しては効果を発揮しますが、スキル発動のデメリットなどに対してはほとんど効果はありません。わかりやすく言うと、睡眠薬を経口摂取すれば《全状態異常耐性》は発動しますが、普段生活をしていて感じる眠気にまで効果がないのと同じです』
「あぁ、そう……。じゃあ、《電光一閃》を使いこなすには時間がかかりそうだな……。一度使っただけで動けなくなるくらい体が痛くなるし、速すぎて制御しきれず、結局的を外してる。……こうなってくると、次のスキル、《飛雷針》も不安だなぁ。これ、体中に電気を纏わせるって書いてるんだけど……」
『警告します。現時点では《飛雷針》の熟練度が低すぎるため、使用を誤れば幸太郎様の命を奪いかねません』
命奪う系のやつかぁ……。
『《飛雷針》を使いこなしたいのなら、極力微弱な電気を長期間体に纏い、熟練度を上げる必要があります』
先は長そうだな……。
だったら《飛雷針》とセットになってる《雷滅撃》も使えないなぁ。
あれもかっこよかったのに……。
『では、《火事場の馬鹿力》を試してみますか?』
それはいいや。うん。
だってそれ、重傷を負ってる時にしか使えないって書いてあるし。
『そうですか……』
なんでちょっと残念そうなんだよ……。
「とりあえず俺の方は全部試し終わったから、あとはロロの《消滅弾》の威力でも確かめるか」
「ロロ、あれ撃っていいの!?」
「おう。いいぞ。あそこにある岩に向かって思いっきりやってみろ」
「わーいっ!」
ロロは楽しそうに岩に向き直ると、ぱっくりと口を開いた。
すると、口のすぐ前方に黒い球体が出現し、それがチカチカと点滅を繰り返しながら渦巻き始めた。
その状態のまま五秒ほど経過すると、突然、ボォォォンと、まるで船の汽笛のような音が轟いたと思うと、球体から真っ黒い光線が前方に向かって放たれた。
しかし、その光線の威力に、ロロの体は回転しながら後方へ吹き飛ばされてしまい、発射した光線はすぐに途切れてしまった。
「うわっ! ロロ! 大丈夫か!」
慌てて吹き飛ばされたロロの頭を抱えると、「ふわぁ……。なにがおこったのぉ?」と目を回していた。
「ロロの体が軽すぎて、《消滅弾》の反動に耐えられないのか……。しかも、的にしていた岩にはかすってもいないし……。これもまだ実践では使えないな……」
今後はどうやって《消滅弾》を撃てるように改造するかが重要になってきそうだな。
ロロは俺の中で、具合が悪そうにぐったりしながら涎を垂らしている。
「……ロロ、ほんとに大丈夫か?」
「だ……だいじょうぶだよぉ……。でも……なんか……ちょっと……目が回って……それから……」
「それから?」
「はきそう……」
「えっ?」
「うぷ……。おえぇぇ」
ロロの口からそれはそれはもういろいろなものが飛び出し、俺の服をじんわりと染めていった。
「…………今日はもう、家に帰るか」
「……うん。……あと、おふろはいりたい」
「奇遇だな……。俺もだよ……」
結論。《消滅弾》を撃つと他にもいろいろ出てくる。
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