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第一解:摩天楼に落ちた比翼(一)
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神話は消えない。
ただ、時代に合わなくなっただけだ。
***
立森神社の朝は、木の匂いから始まる。
冬の冷気を含んだ梁がわずかに軋み、縁側の障子越しに白い光が差し込む。
境内の奥に建てられた平屋は、幾度もの増築で廊下が折れ曲がり、角を曲がるたびに空気の質が変わっていた。廊下の板はまだ冷たく、素足で踏むと、体温がじわりと奪われる。
その静けさを削るように、廊下の奥からは、低い駆動音が絶え間なく続いていた。
一定の回転音。断続的な打鍵音。電子機器が吐き出す熱の匂いが、わずかに廊下まで流れ出てきている。
瑛は掃除機を片手に、足を止めた。
じわじわと、眉間に皺が寄っていく。
音の出所は、廊下の突き当たり、平屋の最奥――朔夜の私室だ。
「……っ、抜き打ち検査をします!!」
襖の前で瑛が叫ぶ。
使い込まれたエプロンの裾を揺らしながら、ドン、と掃除機のノズルで廊下を叩く。
立森神社の司令塔、立森 瑛(たちもり てる)。
高校生ながらも家事全般を回す“おかん担当”は、今まさに、限界を迎える寸前だった。
瑛が襖を、勢いよく開ける。
中からじわりとした熱が押し出された。
続くのは、電子機器の排気の匂い。古書の埃。甘いミルクティーの残り香。
空気が重い。
閉ざされた窓。停滞していた空気。厚手の遮光カーテンの、ごくわずかな細い隙間から太陽光は頼りなく、宙を舞う埃だけを照らしていた。
畳の奥には、青白い光を脈打たせるサーバーラック。ファンの回転が一定の唸りを続けている。
部屋一面に広がるのは、膝の高さまである本の山たち。量子力学、古神道、都市伝承、電子工学。それらがテトリスの失敗例のように積み上がり、鎮座していた。
思考のコクピットのような低い文机の上には、複数のモニターが固定されている。
そしてその左側には、空になったミルクティーの紙パックが、高く高く積み上げられていた。ねじれ、支え合い、不安定な均衡で天井に迫る。
甘い香りのする歪な塔が、三つ。
「……ねえ朔夜。先週の『リセット』のとき約束したよね? 飲み終わったらすぐ台所に持ってくるって!」
瑛は掃除機のノズルを塔へ向け、腹の奥から声を張り上げた。
「なんで、たった三日で、俺の身長を超えるバベルの塔が三つも建ってるわけ!?」
部屋全体に、きぃんと細かな振動が響く。
しかし、メインの大型モニターと左右のサブモニターの冷光の中、神代 朔夜(かみしろ さくや)は微動だにしない。
耳元では瑠璃色の勾玉イヤホン『観測(みづち)』が、瑛の声に反応するようにぼんやりと青白い光を放つ。
しかし朔夜の指先は、規則正しくキーボードを叩き続けていた。
「……瑛、騒ぐな」
視線は画面のまま、激しい滝のように高速で流れる数式やログを追っている。
「……それは、俺の思考の残滓……いわば、外部メモリだ。……捨てるな」
「は? 紙パックが?」
「……配置が変われば、今この瞬間も構築し続けている論理の糸が、……絡まり、消える可能性がある」
「……ゴミだよ!! 電子ゴミよりタチの悪い資源ゴミ!!」
瑛はさらに声を上げ、ミルクティーの塔の下段を掃除機のノズルで突く。
ぐらり、と揺れた。それに合わせて、近くの本の山がわずかに軋む。
「ほら揺れた! 論理の糸より先に文明が崩壊するから! 早く捨ててよ!!」
「……拒絶する」
朔夜の声は、極めて平坦だ。
「……空の状態でも、その配置は気流を制御している。……サーバーの排熱効率を三・二パーセント向上。……合理的なストレージ戦略だ」
「ストレージ戦略じゃない! これはただの放置!」
瑛は、本とノート、そして血管のように張り巡らされた電子ケーブルを避けながら部屋を進み、窓を押し開けた。冷たい外気が流れ込み、カーテンが揺れる。
「はい換気しました! ついでにその“外部メモリ”をゴミ袋にシュートして!」
「……合理性を理解しろ」
「理解したくない!」
目線は朔夜に向けたまま、掃除機のスイッチに親指をかける。
激昂の勢いで「強」に入れようとした瞬間――
廊下の奥から、柔らかい足音が近づいてきた。
パタ、パタ、と気の抜けた歩幅。板張りが軽く鳴り、襖の前で止まる。
「……おやおや、今日も朔夜くんの部屋は『宇宙』だねえ。銀河系が爆発する前兆かな?」
のんびりとした、それでいて場を中和する落ち着いた声。着流しの袖をゆらりと揺らしながら現れたのは、二人の保護者代わりである神主、立森 暁月(たちもり あかつき)だった。
彼はゆったりと部屋を見回し、本の山とサーバーラックを順に、視線でなぞる。その手にある『日月監視鏡』の鏡面が、青白い光を受けていた。
「あ、暁月さん! ちょうどいいところに。あんたからも言ってよ。このままだと朔夜の部屋のせいで、立森神社の平均寿命が下がるよ!?」
瑛が掃除機のノズルで塔を示すと、紙パックが擦れ合い、乾いた音が鳴る。
「ははは、それは困ったねえ」
暁月は一歩踏み込み、足元のケーブルをひょいと避けた。ところどころに転がっている基盤の位置を確認し、慎重に進んでいく。
「……でも瑛、カオスの中には往々にして、古い神々が遺した新しい理(ことわり)が潜んでいるものだよ」
目を細めたまま首を傾げ、暁月が穏やかな声で言う。
「暁月さん、朔夜を甘やかさないで!」
しかし瑛は眉を吊り上げ、今度は暁月に向かってノズルを向けた。そして、すぐに視線を鏡へ移す。
「――っていうか、あんたの手にあるそれ、何? またパチンコの当たり台でも探して回ってるんじゃないでしょうね?」
暁月は「おやおや」と言い、苦笑しながら鏡を持ち上げる。
「……いや。残念ながら、今日は趣味の時間はなさそうだよ、瑛。……見てごらん」
暁月の持つ鏡面が大きく揺れ始める。
水面の中心が黒く沈み、周囲に波紋が広がっていく。やがて室内の青い光を吸い込み、鏡の中に映像が映し出された。
都心の空を貫く五重塔型の超高層ビル。その外周をなぞるように、どす黒い霧が絡みついていた。霧は一定の形を持たず、外壁に沿って流れ、締め付け、また広がる。高層部から中層へ、さらに下層へと滲む影が、鏡面の中でわずかに脈打っていた。
「……っ」
瑛が不快そうに首を押さえる。
鏡を覗く前から、身体は反応していた。首筋が焼けるように熱を帯び、こめかみの奥で鈍い痛みが跳ねる。喉の奥に、金属を舐めたような味が広がっていた。
瑛は、あらゆる情念に共感・ダイブする体質 ――“神の落とし子”としての感覚が、この綻び(ほころび)の発生を先に拾っていた。室内の甘い匂いが、一瞬にして濁って感じられた。
「……最悪。暁月さんの言う通りだ」
すると、キーボードを叩いていた音が止まる。
それまでぴくりとも動かなかった朔夜が短く息を吐きながら、静かに立ち上がった。
耳元の『観測(みづち)』が青く光り、勾玉の表面に細い紋様を走らせる。彼の視線が暁月の鏡へ向くと同時に、次は呼吸がわずかに浅くなる。外界の音を遮断するように、意識を一点へ収束させていく。
「……解析、開始」
短く告げる。
数拍の沈黙。サーバーラックのファンの回転音だけが部屋を満たす。
「…………座標、確定。北北西、三・五キロ」
静かな声を、低く部屋へ落とす。
「……かつて『比翼の鳥』と呼ばれた古い理(ことわり)が、現代のビル管理システムと衝突している。……大規模な空間エラーだ」
そこまで聞いて、瑛が朔夜の方へ顔を上げた。
「どうなるの?」
「……ビル内部の人間は全員、神隠し――システムへの強制同化に、呑み込まれる」
部屋の空気が、ずしりと沈んだ。
瑛は掃除機を放り投げた。ノズルが畳に当たり、硬い音が一つ鳴る。
視線を鏡の中のビルへ一瞬だけ向けたが、すぐに廊下に待機させてある白と黒の法被と鉄鍋へ手を伸ばす。
エプロンを外し、手際よく法被に袖を通していく。暁月が施した「護りの要」である。
そして黒光りする『護神の鉄鍋』を力強く掴むと、その振動で金属がかすかに震えた。
「……ここの掃除は帰ってからだね」
瑛が朔夜に振り返る。
「……朔夜、行くよ。晩ご飯までには終わらせるからね!」
瑛の声を聞き、朔夜は当然だと言うように頷く。ベッドの傍らに脱ぎ捨ててあった紺色の法被を掴み、瑛を追うように部屋を出た。
「いってらっしゃい」
依然として波打つ鏡面から目を逸らさず、暁月が呟いた。
二人分の足音が、廊下へ流れ出る。板が鳴り、外気が一気に部屋へ入り込む。掃除機のコードが床を擦り、塔の一番上の紙パックが小さく揺れていた。
ただ、時代に合わなくなっただけだ。
***
立森神社の朝は、木の匂いから始まる。
冬の冷気を含んだ梁がわずかに軋み、縁側の障子越しに白い光が差し込む。
境内の奥に建てられた平屋は、幾度もの増築で廊下が折れ曲がり、角を曲がるたびに空気の質が変わっていた。廊下の板はまだ冷たく、素足で踏むと、体温がじわりと奪われる。
その静けさを削るように、廊下の奥からは、低い駆動音が絶え間なく続いていた。
一定の回転音。断続的な打鍵音。電子機器が吐き出す熱の匂いが、わずかに廊下まで流れ出てきている。
瑛は掃除機を片手に、足を止めた。
じわじわと、眉間に皺が寄っていく。
音の出所は、廊下の突き当たり、平屋の最奥――朔夜の私室だ。
「……っ、抜き打ち検査をします!!」
襖の前で瑛が叫ぶ。
使い込まれたエプロンの裾を揺らしながら、ドン、と掃除機のノズルで廊下を叩く。
立森神社の司令塔、立森 瑛(たちもり てる)。
高校生ながらも家事全般を回す“おかん担当”は、今まさに、限界を迎える寸前だった。
瑛が襖を、勢いよく開ける。
中からじわりとした熱が押し出された。
続くのは、電子機器の排気の匂い。古書の埃。甘いミルクティーの残り香。
空気が重い。
閉ざされた窓。停滞していた空気。厚手の遮光カーテンの、ごくわずかな細い隙間から太陽光は頼りなく、宙を舞う埃だけを照らしていた。
畳の奥には、青白い光を脈打たせるサーバーラック。ファンの回転が一定の唸りを続けている。
部屋一面に広がるのは、膝の高さまである本の山たち。量子力学、古神道、都市伝承、電子工学。それらがテトリスの失敗例のように積み上がり、鎮座していた。
思考のコクピットのような低い文机の上には、複数のモニターが固定されている。
そしてその左側には、空になったミルクティーの紙パックが、高く高く積み上げられていた。ねじれ、支え合い、不安定な均衡で天井に迫る。
甘い香りのする歪な塔が、三つ。
「……ねえ朔夜。先週の『リセット』のとき約束したよね? 飲み終わったらすぐ台所に持ってくるって!」
瑛は掃除機のノズルを塔へ向け、腹の奥から声を張り上げた。
「なんで、たった三日で、俺の身長を超えるバベルの塔が三つも建ってるわけ!?」
部屋全体に、きぃんと細かな振動が響く。
しかし、メインの大型モニターと左右のサブモニターの冷光の中、神代 朔夜(かみしろ さくや)は微動だにしない。
耳元では瑠璃色の勾玉イヤホン『観測(みづち)』が、瑛の声に反応するようにぼんやりと青白い光を放つ。
しかし朔夜の指先は、規則正しくキーボードを叩き続けていた。
「……瑛、騒ぐな」
視線は画面のまま、激しい滝のように高速で流れる数式やログを追っている。
「……それは、俺の思考の残滓……いわば、外部メモリだ。……捨てるな」
「は? 紙パックが?」
「……配置が変われば、今この瞬間も構築し続けている論理の糸が、……絡まり、消える可能性がある」
「……ゴミだよ!! 電子ゴミよりタチの悪い資源ゴミ!!」
瑛はさらに声を上げ、ミルクティーの塔の下段を掃除機のノズルで突く。
ぐらり、と揺れた。それに合わせて、近くの本の山がわずかに軋む。
「ほら揺れた! 論理の糸より先に文明が崩壊するから! 早く捨ててよ!!」
「……拒絶する」
朔夜の声は、極めて平坦だ。
「……空の状態でも、その配置は気流を制御している。……サーバーの排熱効率を三・二パーセント向上。……合理的なストレージ戦略だ」
「ストレージ戦略じゃない! これはただの放置!」
瑛は、本とノート、そして血管のように張り巡らされた電子ケーブルを避けながら部屋を進み、窓を押し開けた。冷たい外気が流れ込み、カーテンが揺れる。
「はい換気しました! ついでにその“外部メモリ”をゴミ袋にシュートして!」
「……合理性を理解しろ」
「理解したくない!」
目線は朔夜に向けたまま、掃除機のスイッチに親指をかける。
激昂の勢いで「強」に入れようとした瞬間――
廊下の奥から、柔らかい足音が近づいてきた。
パタ、パタ、と気の抜けた歩幅。板張りが軽く鳴り、襖の前で止まる。
「……おやおや、今日も朔夜くんの部屋は『宇宙』だねえ。銀河系が爆発する前兆かな?」
のんびりとした、それでいて場を中和する落ち着いた声。着流しの袖をゆらりと揺らしながら現れたのは、二人の保護者代わりである神主、立森 暁月(たちもり あかつき)だった。
彼はゆったりと部屋を見回し、本の山とサーバーラックを順に、視線でなぞる。その手にある『日月監視鏡』の鏡面が、青白い光を受けていた。
「あ、暁月さん! ちょうどいいところに。あんたからも言ってよ。このままだと朔夜の部屋のせいで、立森神社の平均寿命が下がるよ!?」
瑛が掃除機のノズルで塔を示すと、紙パックが擦れ合い、乾いた音が鳴る。
「ははは、それは困ったねえ」
暁月は一歩踏み込み、足元のケーブルをひょいと避けた。ところどころに転がっている基盤の位置を確認し、慎重に進んでいく。
「……でも瑛、カオスの中には往々にして、古い神々が遺した新しい理(ことわり)が潜んでいるものだよ」
目を細めたまま首を傾げ、暁月が穏やかな声で言う。
「暁月さん、朔夜を甘やかさないで!」
しかし瑛は眉を吊り上げ、今度は暁月に向かってノズルを向けた。そして、すぐに視線を鏡へ移す。
「――っていうか、あんたの手にあるそれ、何? またパチンコの当たり台でも探して回ってるんじゃないでしょうね?」
暁月は「おやおや」と言い、苦笑しながら鏡を持ち上げる。
「……いや。残念ながら、今日は趣味の時間はなさそうだよ、瑛。……見てごらん」
暁月の持つ鏡面が大きく揺れ始める。
水面の中心が黒く沈み、周囲に波紋が広がっていく。やがて室内の青い光を吸い込み、鏡の中に映像が映し出された。
都心の空を貫く五重塔型の超高層ビル。その外周をなぞるように、どす黒い霧が絡みついていた。霧は一定の形を持たず、外壁に沿って流れ、締め付け、また広がる。高層部から中層へ、さらに下層へと滲む影が、鏡面の中でわずかに脈打っていた。
「……っ」
瑛が不快そうに首を押さえる。
鏡を覗く前から、身体は反応していた。首筋が焼けるように熱を帯び、こめかみの奥で鈍い痛みが跳ねる。喉の奥に、金属を舐めたような味が広がっていた。
瑛は、あらゆる情念に共感・ダイブする体質 ――“神の落とし子”としての感覚が、この綻び(ほころび)の発生を先に拾っていた。室内の甘い匂いが、一瞬にして濁って感じられた。
「……最悪。暁月さんの言う通りだ」
すると、キーボードを叩いていた音が止まる。
それまでぴくりとも動かなかった朔夜が短く息を吐きながら、静かに立ち上がった。
耳元の『観測(みづち)』が青く光り、勾玉の表面に細い紋様を走らせる。彼の視線が暁月の鏡へ向くと同時に、次は呼吸がわずかに浅くなる。外界の音を遮断するように、意識を一点へ収束させていく。
「……解析、開始」
短く告げる。
数拍の沈黙。サーバーラックのファンの回転音だけが部屋を満たす。
「…………座標、確定。北北西、三・五キロ」
静かな声を、低く部屋へ落とす。
「……かつて『比翼の鳥』と呼ばれた古い理(ことわり)が、現代のビル管理システムと衝突している。……大規模な空間エラーだ」
そこまで聞いて、瑛が朔夜の方へ顔を上げた。
「どうなるの?」
「……ビル内部の人間は全員、神隠し――システムへの強制同化に、呑み込まれる」
部屋の空気が、ずしりと沈んだ。
瑛は掃除機を放り投げた。ノズルが畳に当たり、硬い音が一つ鳴る。
視線を鏡の中のビルへ一瞬だけ向けたが、すぐに廊下に待機させてある白と黒の法被と鉄鍋へ手を伸ばす。
エプロンを外し、手際よく法被に袖を通していく。暁月が施した「護りの要」である。
そして黒光りする『護神の鉄鍋』を力強く掴むと、その振動で金属がかすかに震えた。
「……ここの掃除は帰ってからだね」
瑛が朔夜に振り返る。
「……朔夜、行くよ。晩ご飯までには終わらせるからね!」
瑛の声を聞き、朔夜は当然だと言うように頷く。ベッドの傍らに脱ぎ捨ててあった紺色の法被を掴み、瑛を追うように部屋を出た。
「いってらっしゃい」
依然として波打つ鏡面から目を逸らさず、暁月が呟いた。
二人分の足音が、廊下へ流れ出る。板が鳴り、外気が一気に部屋へ入り込む。掃除機のコードが床を擦り、塔の一番上の紙パックが小さく揺れていた。
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