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明かされた真相
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「リリアナ。」
元マティが私の方を向いて呼びかける。
ソファの前のカーペットに座り込んだままの私にも、ハルとこの人の話から何となく想像はついた。
たぶんこの人は...。
「あなたは、精霊王マティウス様?」
「まあ、そう呼ばれている。でも、リリアナにはマティと呼ばれたいね。」そう言って、私に手を差し出した。
優しい涼やかな、ただし有無を言わせぬ声で言われれば、「はい。」と頷くしかない。躊躇しつつもその手を取ると、軽々と引っ張り立ち上がらせてくれる。
不思議、精霊の王様に触れるなんて!
今まで、精霊を見ることも出来なかったのに。
「色々と聞きたいこともあるだろうから、その二人を起こすのは後にしようか。」
アデリーナ様とパトリックはまだぐっすりと眠っていた。
確かに、色々と聞きたいことだらけだ。
マティに手を引かれて、二人が寝ているのとは反対側のソファに並んで腰掛ける。
「でも屋敷の人たちがこの部屋に来て貴方を見たら、驚くのではないでしょうか?」
腰まである長い銀髪に人間離れした中世的な美貌、着ている服は薄いドレープがたっぷり入った布を幅広のベルト状の布で腰のあたりを縛っただけの古風な恰好。確かに神殿の天井画に描かれた精霊たちはこんな服を着ていたから、あの絵の描写は正しかったのね。
「大丈夫。今は、この家中の人間が眠りについている。」
なるほど、だから誰も来なかったのか。
とりあえず、後できちんと起こしてもらえるなら先に色々と話を聞かせえもらうことにしよう。
「私には精霊が見えないはずなのになぜマティウス様、じゃなくて…マティが見えるのですか?」
この神々しい精霊王をマティと呼び捨てにするのはかなり勇気がいる。
「それは、私の力が強いからだね。姿を視えなくすることもできるよ。」
そう言って眩い笑顔でにっこりと笑うと、一瞬姿が透けて消えてしまいそうになって、またはっきりとした姿で私の隣に座っていた。
なるほど、精霊王ともなればこんな風に自由自在に消えたりもできるのね。
「では先程のハルも力の強い精霊なのですか?」
果たして精霊なのかどうか、シエルと同じような魔法使いという可能性もあるけれど。
「ああ、南方の精霊だ。私よりだいぶ若いがあの地方では一番力がある精霊だろう。特に彼の場合は人間の姿をとっていたから誰にでも見えた。猫のマティも皆に見えるだろう?」
確かに猫のマティは私だけではなく皆にも見えた。
「まあ、潮時だろう。最初から説明しよう。」
そう言ってマティが私の隣に腰かけて語った事実は驚きの連続だった。
「まず、リリアナ、君がシエルの奥方の生まれ変わりだということはシエルも分かっている。なぜなら、君を生まれ変わらせたのは他でもないシエルだからね。」
なんと、私が前世で死ぬだいぶ前からシエルは私を生まれ変わらせようと計画を練っていたらしい。
普通、人間が同じ人間を生まれ変わらせるなんてできるはずはない。だけど、大魔法使いシエルはそれをやり遂げてしまった。
計画には膨大な魔力と精霊王の力が必要だった。
前世でも精霊たちに好かれていたらしい私がこの世から居なくなることを良しとしない精霊達を使って、精霊王であるマティに懇願させた。
「まあ、私もリリアナにもう一度会いたかったしね。」
私が死んだ時、既に生まれ変わらせる準備は整っていたらしい。
「ちなみに今のリリアナの髪の色が違うのは、前世でリリアナが金髪に憧れていたからだよ。それ以外はそっくりに出来たと思うんだ。」
マティはまるで工作が上手くできたと満足する子供のようにちょっと誇らしげに言った。なるほど、確かに黒髪だった私は金髪に憧れていたかも。思わず自分の髪の毛をひと房掴むとまじまじと見てしまう。
とにかく、大魔法使いと精霊王、この二人によって人をひとり赤ん坊に生まれ変わらせることに成功したけど、これによって魔力を使いきってしまったマティには休息が必要になった。私の側やシエルの近くに居るのが良いだろうと言うことで、力が戻るまで猫の姿で我が家の一員として居ることなったらしい。
「ほら、リリアナの側は精霊にとって居心地が良くて力が戻るのも早かったからね。」
居心地が良い。リカルドにも言われたけど、それは精霊王でも一緒なのね…。
「でも、ご自分の神殿があるのですからそちらの方が寛げるのではないのでしょうか?」
直ぐそこに自分を奉っている神殿があるのだから。
「まあ、神殿と言っても私たちが暮らす森の入口になっているだけだがね。」
「森?神殿の奥は森になっているのですか?」
普通の人間は神殿の奥には入ることができない。
中がどうなっているのかは分からない。
「ああ、そうだよ。だから時々、森へ帰ってもいたよ。」
なるほど、だから神殿の辺りに出没していたわけだ。
「それで、リリアナはいつから前世の記憶があったんだい?私が気付いたのはつい最近なのだがね。」
確かに、猫のマティの前ではまさか誰かに聞かれているとは思わなかったので、独り言を言っていたかも。きっとそれを聞かれたのだろう。
まあ、今さら隠してもしょうがない。
「朧気ではありますが、恐らく3歳ぐらいからだと思います。」
「そんなに幼いころから?それは、全く気が付かなかった。」
よく、隠し通したものだと感心した声でマティがつぶやいた。
「最初は夢の中の出来事だと思っていました。」
「なるほど、でも夢の話を誰にも話さなかったのかい?シエルは夢の話を聞きたがっていただろう?」
「乳母には話したかもしれませんけど、そのうち前世の記憶だと分かったので。さすがに誰にも話しませんでした。」
頭がおかしい子だと思われてこの家を追い出されても困る。まあ、前世を思い出すにつれてシエルにはばれない方が良いと思うようになったから、気を付けるようにしていたけど。
それにしても、シエルがこの生まれ変わりの張本人だったとは。
「でも、なぜシエルは私に教えてくれなかったのでしょうか?」
私に隠す理由は何だったのだろう?
「一番の理由は、君が記憶を取り戻しているか確信が持てなかったからだ。いきなり記憶がない君にそんなことを言っても混乱させるだけだろうし、信じてもらえないからね。」
まあ確かに、記憶がなかったら、いきなり「君は生まれ変わりなんだ。」と言われても、普通はこの人頭がおかしいんじゃない?と思われるのがおちだろう。
「シエルは君が記憶を取り戻すのを待っていたんだ。よく夢の話を聞きたがっていただろう?」
なるほど、前世の記憶を夢で見ていないか知りたかったのね。
でも私は隠し通した。つもりだったのに。
「私が記憶を取り戻していることをシエルに話すのですか?」
たぶん、まだ彼はシエルに話していないような気がする。
「そうだね。黙っている理由は特にないような気がするけど?」
「黙っていていただけませんか?」
「なぜ?シエルは君が記憶を取り戻すのをずっと待っていたのに?」
「...。私は生まれ変わりたくなんかなかったと言ったら?」
私はそんなことは頼んでいない。寿命を全うして満足していた。
それはシエルだって分かっていると思っていたけど。
「リリアナ?」
だいたい、私に一言の相談もせずに私を生まれ変わらせる計画を立て実行した時点で私に反対されるであろうと予想していたのは明らかだ。
本人に断りもなく、無理やり生まれ変わらせるなんて!
なんか沸々と怒りが湧きあがってきた。
元マティが私の方を向いて呼びかける。
ソファの前のカーペットに座り込んだままの私にも、ハルとこの人の話から何となく想像はついた。
たぶんこの人は...。
「あなたは、精霊王マティウス様?」
「まあ、そう呼ばれている。でも、リリアナにはマティと呼ばれたいね。」そう言って、私に手を差し出した。
優しい涼やかな、ただし有無を言わせぬ声で言われれば、「はい。」と頷くしかない。躊躇しつつもその手を取ると、軽々と引っ張り立ち上がらせてくれる。
不思議、精霊の王様に触れるなんて!
今まで、精霊を見ることも出来なかったのに。
「色々と聞きたいこともあるだろうから、その二人を起こすのは後にしようか。」
アデリーナ様とパトリックはまだぐっすりと眠っていた。
確かに、色々と聞きたいことだらけだ。
マティに手を引かれて、二人が寝ているのとは反対側のソファに並んで腰掛ける。
「でも屋敷の人たちがこの部屋に来て貴方を見たら、驚くのではないでしょうか?」
腰まである長い銀髪に人間離れした中世的な美貌、着ている服は薄いドレープがたっぷり入った布を幅広のベルト状の布で腰のあたりを縛っただけの古風な恰好。確かに神殿の天井画に描かれた精霊たちはこんな服を着ていたから、あの絵の描写は正しかったのね。
「大丈夫。今は、この家中の人間が眠りについている。」
なるほど、だから誰も来なかったのか。
とりあえず、後できちんと起こしてもらえるなら先に色々と話を聞かせえもらうことにしよう。
「私には精霊が見えないはずなのになぜマティウス様、じゃなくて…マティが見えるのですか?」
この神々しい精霊王をマティと呼び捨てにするのはかなり勇気がいる。
「それは、私の力が強いからだね。姿を視えなくすることもできるよ。」
そう言って眩い笑顔でにっこりと笑うと、一瞬姿が透けて消えてしまいそうになって、またはっきりとした姿で私の隣に座っていた。
なるほど、精霊王ともなればこんな風に自由自在に消えたりもできるのね。
「では先程のハルも力の強い精霊なのですか?」
果たして精霊なのかどうか、シエルと同じような魔法使いという可能性もあるけれど。
「ああ、南方の精霊だ。私よりだいぶ若いがあの地方では一番力がある精霊だろう。特に彼の場合は人間の姿をとっていたから誰にでも見えた。猫のマティも皆に見えるだろう?」
確かに猫のマティは私だけではなく皆にも見えた。
「まあ、潮時だろう。最初から説明しよう。」
そう言ってマティが私の隣に腰かけて語った事実は驚きの連続だった。
「まず、リリアナ、君がシエルの奥方の生まれ変わりだということはシエルも分かっている。なぜなら、君を生まれ変わらせたのは他でもないシエルだからね。」
なんと、私が前世で死ぬだいぶ前からシエルは私を生まれ変わらせようと計画を練っていたらしい。
普通、人間が同じ人間を生まれ変わらせるなんてできるはずはない。だけど、大魔法使いシエルはそれをやり遂げてしまった。
計画には膨大な魔力と精霊王の力が必要だった。
前世でも精霊たちに好かれていたらしい私がこの世から居なくなることを良しとしない精霊達を使って、精霊王であるマティに懇願させた。
「まあ、私もリリアナにもう一度会いたかったしね。」
私が死んだ時、既に生まれ変わらせる準備は整っていたらしい。
「ちなみに今のリリアナの髪の色が違うのは、前世でリリアナが金髪に憧れていたからだよ。それ以外はそっくりに出来たと思うんだ。」
マティはまるで工作が上手くできたと満足する子供のようにちょっと誇らしげに言った。なるほど、確かに黒髪だった私は金髪に憧れていたかも。思わず自分の髪の毛をひと房掴むとまじまじと見てしまう。
とにかく、大魔法使いと精霊王、この二人によって人をひとり赤ん坊に生まれ変わらせることに成功したけど、これによって魔力を使いきってしまったマティには休息が必要になった。私の側やシエルの近くに居るのが良いだろうと言うことで、力が戻るまで猫の姿で我が家の一員として居ることなったらしい。
「ほら、リリアナの側は精霊にとって居心地が良くて力が戻るのも早かったからね。」
居心地が良い。リカルドにも言われたけど、それは精霊王でも一緒なのね…。
「でも、ご自分の神殿があるのですからそちらの方が寛げるのではないのでしょうか?」
直ぐそこに自分を奉っている神殿があるのだから。
「まあ、神殿と言っても私たちが暮らす森の入口になっているだけだがね。」
「森?神殿の奥は森になっているのですか?」
普通の人間は神殿の奥には入ることができない。
中がどうなっているのかは分からない。
「ああ、そうだよ。だから時々、森へ帰ってもいたよ。」
なるほど、だから神殿の辺りに出没していたわけだ。
「それで、リリアナはいつから前世の記憶があったんだい?私が気付いたのはつい最近なのだがね。」
確かに、猫のマティの前ではまさか誰かに聞かれているとは思わなかったので、独り言を言っていたかも。きっとそれを聞かれたのだろう。
まあ、今さら隠してもしょうがない。
「朧気ではありますが、恐らく3歳ぐらいからだと思います。」
「そんなに幼いころから?それは、全く気が付かなかった。」
よく、隠し通したものだと感心した声でマティがつぶやいた。
「最初は夢の中の出来事だと思っていました。」
「なるほど、でも夢の話を誰にも話さなかったのかい?シエルは夢の話を聞きたがっていただろう?」
「乳母には話したかもしれませんけど、そのうち前世の記憶だと分かったので。さすがに誰にも話しませんでした。」
頭がおかしい子だと思われてこの家を追い出されても困る。まあ、前世を思い出すにつれてシエルにはばれない方が良いと思うようになったから、気を付けるようにしていたけど。
それにしても、シエルがこの生まれ変わりの張本人だったとは。
「でも、なぜシエルは私に教えてくれなかったのでしょうか?」
私に隠す理由は何だったのだろう?
「一番の理由は、君が記憶を取り戻しているか確信が持てなかったからだ。いきなり記憶がない君にそんなことを言っても混乱させるだけだろうし、信じてもらえないからね。」
まあ確かに、記憶がなかったら、いきなり「君は生まれ変わりなんだ。」と言われても、普通はこの人頭がおかしいんじゃない?と思われるのがおちだろう。
「シエルは君が記憶を取り戻すのを待っていたんだ。よく夢の話を聞きたがっていただろう?」
なるほど、前世の記憶を夢で見ていないか知りたかったのね。
でも私は隠し通した。つもりだったのに。
「私が記憶を取り戻していることをシエルに話すのですか?」
たぶん、まだ彼はシエルに話していないような気がする。
「そうだね。黙っている理由は特にないような気がするけど?」
「黙っていていただけませんか?」
「なぜ?シエルは君が記憶を取り戻すのをずっと待っていたのに?」
「...。私は生まれ変わりたくなんかなかったと言ったら?」
私はそんなことは頼んでいない。寿命を全うして満足していた。
それはシエルだって分かっていると思っていたけど。
「リリアナ?」
だいたい、私に一言の相談もせずに私を生まれ変わらせる計画を立て実行した時点で私に反対されるであろうと予想していたのは明らかだ。
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