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アデリーナの願い
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「あの、大変図々しいお願いだとは分かっているのですが…。」
今までにこにこと可愛らしく会話していたアデリーナ様が、急に真剣な顔をして王妃様に向かって話し出した。
「何かしら?」
「先ほど、お話した精霊祭の前夜に告白すると思いがかなうという話なんですけど...。」
「?」
私はピンと来なかったのに王妃様は分かったようでにっこりと微笑むと何故かリカルドに目配せする。
「絵本の通りにやってみたいのね?」
アデリーナ様は俯いていた顔をパッと上げると、必死な表情で王妃様に訴えた。
「ご迷惑だとは分かっているのですが、小さい頃からの憧れなのです。今回を逃すともう機会はないと思いますので、何とか行動に移してみたいのです!」
確かに、精霊祭は20年に一度、今回を逃したらアデリーナもきっと結婚して子供がいる年頃かも。
「いいわよ。」
王妃様は呆気ないほど簡単に了承してくれた。
どうするつもりなのかしら?
アデリーナ様は感激の余り少し涙ぐんでいる。
きっと、今日このお茶会に来た時からいつ言い出そうかと勇気を振り絞っていたのかもしれない。
「大魔法使いは精霊祭の前夜はきっと王宮に泊まり込みよね?」
王妃様がリカルドに確認する。
「そうですね、前夜の内々の行事もありますし、夜は神殿ですね。リリアナも王宮に居るなら家に帰る必要は無いんじゃないですかね。」
リカルドも同調する。
「私はもちろん忙しくて無理だけど、リリアナなら案内してあげられるでしょう?」
「え!わたしですか?」
王妃様は忙しくて無理と言うところを強調して私に振ってくる。
3人の視線が集まる。
「そうよ、前夜祭の夜は王宮に泊まるんでしょ?」
王妃様が遠回しにそれまでいるんでしょう?という目で見る。
「まあ、そうなんですか?」
私が家出中とは知らないアデリーナ様が期待に満ちた目で私を見る。
「ええ…。王妃様が許してくださるのでしたら…。」
家出中ですとは言えず、気まずくなって思わずしどろもどろになる。
「もちろん、私は大歓迎よ?」
そんな私に王妃様はきっぱり明るく言いはなった。
「でも、そんな遅い時間に出歩くなんて危なくないでしょうか?」
仮にも侯爵家のご令嬢が深夜に出歩くなんて。お父様であるドルトン侯爵が許すとは思えないけど。
「それは大丈夫です。護衛の者が数名、お父様には内緒で協力してくれる手筈になっています。それに王宮なのですから着いてしまえば危ないことは無いと思いますわ。」
ドルトン侯爵には内緒なのね。それはそうよね。確かに着いてしまえばここより安全な場所はないかも。
でも、私は絶賛家出中。
「……分かりました。お父様が神殿に居ると分かっているのでしたら、お城の城門から神殿の手前までご案内致します。」
仕方がない。とにかく神殿の手前まで案内するだけなら直接シエルに会わなくてすむと考えを巡らす。
「もちろんですわ!リリアナ様にご迷惑はお掛け致しません。シエル様のいる場所まで案内していただければ充分です。」
アデリーナ様から告白されたらシエルは何て答えるのかしら?
これで再婚が上手くいけば私も結婚相手を探さないと。
王妃様は当分お嫁になんか行かなくても良いわよと言いそうで当てにならなさそうだから、やっぱりお友達を作って夜会で一緒に良い相手を探すのが一番かしら。
そういえば、アデリーナ様は小さい頃から絵本のシエルに憧れていたと言っていたけど。私の初恋って何時だったのだろう?
前世の記憶があるせいか、同い年の子達は皆幼く感じたし。
まあ、年が近い友達なんていなかったけど。
唯一の遊び相手の王子様と王女様方は、友達というかほとんど子守りだったし。
「…シエルが結婚したら、私もあの家を出ていかなくちゃ。」
私以外の3人がどうやって告白するという話で盛り上がっている中、私はひとりで鬱々と考えていた。
次の日も、その次の日もシエルは私に会わせてくれと王妃様を訪ねて来たようだけど、王妃様に追い返されたらしい。
結局、膠着状態は続き精霊祭の前夜になってしまった。
私がずっと王宮に居るので、子様達が浮わついて困るわと王妃様は言いつつも、午前中は王妃様のお茶の席に付き合わされる。
午後からはお勉強が終わったお子様達が仔犬のように遊んで遊んでと纏わりついて来るので、夜は疲れて直ぐにぐっすりと眠ってしまう。ひとりで鬱々と考える暇もなく時間が過ぎていき、余り悩まずに済んだので、御一家には感謝するべきかもしれない。
精霊祭の前夜祭。
前夜祭といっても露店が出せるのは明日から。今日はもともと城下町に店を構えている商店が飾りつけをして、準備をする日という意味合いが強い。神殿では魔法使い様たちが儀式を執り行うらしく、今日はシエルもリカルドも王宮に泊まり込みだけど一般には公開しないらしい。
気の早い大人は町の飲み屋でお祝いの杯を交わしているのかもしれないけれど、子供たちは明日からのお祭りに向けてきっと早くにベッドに入るに違いない。
そんな、皆がウキウキワクワクする夜。
そんな夜に、アデリーナ様もきっとドキドキしながらやって来た。
今までにこにこと可愛らしく会話していたアデリーナ様が、急に真剣な顔をして王妃様に向かって話し出した。
「何かしら?」
「先ほど、お話した精霊祭の前夜に告白すると思いがかなうという話なんですけど...。」
「?」
私はピンと来なかったのに王妃様は分かったようでにっこりと微笑むと何故かリカルドに目配せする。
「絵本の通りにやってみたいのね?」
アデリーナ様は俯いていた顔をパッと上げると、必死な表情で王妃様に訴えた。
「ご迷惑だとは分かっているのですが、小さい頃からの憧れなのです。今回を逃すともう機会はないと思いますので、何とか行動に移してみたいのです!」
確かに、精霊祭は20年に一度、今回を逃したらアデリーナもきっと結婚して子供がいる年頃かも。
「いいわよ。」
王妃様は呆気ないほど簡単に了承してくれた。
どうするつもりなのかしら?
アデリーナ様は感激の余り少し涙ぐんでいる。
きっと、今日このお茶会に来た時からいつ言い出そうかと勇気を振り絞っていたのかもしれない。
「大魔法使いは精霊祭の前夜はきっと王宮に泊まり込みよね?」
王妃様がリカルドに確認する。
「そうですね、前夜の内々の行事もありますし、夜は神殿ですね。リリアナも王宮に居るなら家に帰る必要は無いんじゃないですかね。」
リカルドも同調する。
「私はもちろん忙しくて無理だけど、リリアナなら案内してあげられるでしょう?」
「え!わたしですか?」
王妃様は忙しくて無理と言うところを強調して私に振ってくる。
3人の視線が集まる。
「そうよ、前夜祭の夜は王宮に泊まるんでしょ?」
王妃様が遠回しにそれまでいるんでしょう?という目で見る。
「まあ、そうなんですか?」
私が家出中とは知らないアデリーナ様が期待に満ちた目で私を見る。
「ええ…。王妃様が許してくださるのでしたら…。」
家出中ですとは言えず、気まずくなって思わずしどろもどろになる。
「もちろん、私は大歓迎よ?」
そんな私に王妃様はきっぱり明るく言いはなった。
「でも、そんな遅い時間に出歩くなんて危なくないでしょうか?」
仮にも侯爵家のご令嬢が深夜に出歩くなんて。お父様であるドルトン侯爵が許すとは思えないけど。
「それは大丈夫です。護衛の者が数名、お父様には内緒で協力してくれる手筈になっています。それに王宮なのですから着いてしまえば危ないことは無いと思いますわ。」
ドルトン侯爵には内緒なのね。それはそうよね。確かに着いてしまえばここより安全な場所はないかも。
でも、私は絶賛家出中。
「……分かりました。お父様が神殿に居ると分かっているのでしたら、お城の城門から神殿の手前までご案内致します。」
仕方がない。とにかく神殿の手前まで案内するだけなら直接シエルに会わなくてすむと考えを巡らす。
「もちろんですわ!リリアナ様にご迷惑はお掛け致しません。シエル様のいる場所まで案内していただければ充分です。」
アデリーナ様から告白されたらシエルは何て答えるのかしら?
これで再婚が上手くいけば私も結婚相手を探さないと。
王妃様は当分お嫁になんか行かなくても良いわよと言いそうで当てにならなさそうだから、やっぱりお友達を作って夜会で一緒に良い相手を探すのが一番かしら。
そういえば、アデリーナ様は小さい頃から絵本のシエルに憧れていたと言っていたけど。私の初恋って何時だったのだろう?
前世の記憶があるせいか、同い年の子達は皆幼く感じたし。
まあ、年が近い友達なんていなかったけど。
唯一の遊び相手の王子様と王女様方は、友達というかほとんど子守りだったし。
「…シエルが結婚したら、私もあの家を出ていかなくちゃ。」
私以外の3人がどうやって告白するという話で盛り上がっている中、私はひとりで鬱々と考えていた。
次の日も、その次の日もシエルは私に会わせてくれと王妃様を訪ねて来たようだけど、王妃様に追い返されたらしい。
結局、膠着状態は続き精霊祭の前夜になってしまった。
私がずっと王宮に居るので、子様達が浮わついて困るわと王妃様は言いつつも、午前中は王妃様のお茶の席に付き合わされる。
午後からはお勉強が終わったお子様達が仔犬のように遊んで遊んでと纏わりついて来るので、夜は疲れて直ぐにぐっすりと眠ってしまう。ひとりで鬱々と考える暇もなく時間が過ぎていき、余り悩まずに済んだので、御一家には感謝するべきかもしれない。
精霊祭の前夜祭。
前夜祭といっても露店が出せるのは明日から。今日はもともと城下町に店を構えている商店が飾りつけをして、準備をする日という意味合いが強い。神殿では魔法使い様たちが儀式を執り行うらしく、今日はシエルもリカルドも王宮に泊まり込みだけど一般には公開しないらしい。
気の早い大人は町の飲み屋でお祝いの杯を交わしているのかもしれないけれど、子供たちは明日からのお祭りに向けてきっと早くにベッドに入るに違いない。
そんな、皆がウキウキワクワクする夜。
そんな夜に、アデリーナ様もきっとドキドキしながらやって来た。
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