長瀬萬請負 其の二 祈れる乙女達

岡倉弘毅

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学生 二

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 「睦月会は、タイピングやミシン、看護婦の勉強を希望する人には、如月に通わせているらしい。どうしても機械や道具、教師が必要だと、歴史の浅い睦月には難しいからね。

 その点如月は、会で学んだ人が看護婦として働きながら基礎の勉強を教えたり、賛同し、協力してくれる医師がいるから。

 一方で睦月は、広い農地を持っているらしくて、農業で身を立てることを考えているらしいね。

 収穫した物を使ってお菓子を作って、行商したり、カフェーに卸したりしているから、その内、会社を興すんじゃないかと私は考えているよ。その際には協力させてもらうこともできるだろうね」

「農場か」

「当たり前だが、子供は女の子ばかりじゃないからね。男の子でも、睦月会に属したまま仕事ができるように。との配慮もあるらしい。

 こう言ってはなんだが、如月会に行くと、空気がピリピリしているように感じられる。

どうしても、自分達を苦しめた男って奴を、許せないってのはわかるのだが」

 それは隼人も同意見だが、睦月会では静子にしか会っていないので、比較はできなかった。

「つまり、睦月会では、農場と言う仕事場をこしらえて、母親と共に子供も一緒に働けるようにしているってこと?」

「そうだ。

 如月会は基本、仕事を見つけたら自立するようになっている。住み込みだったり、仲間同士一緒に家を借りたりしてね。

 仕方ないと言えば仕方ない。如月会は睦月会では手に負えないような、精神的に傷を持った人を引き取ってもいる。療養所も兼ねているから、余計な刺激を与えてはいけないし、幾らでも人を増やせるわけではない。

 睦月会は睦月会で、農業や菓子作りや料理を仕事にしたい人を、如月会から受け入れているらしいし、良い関係を築いているようだね。

 この前、睦月会から学生さんが出て行くのを見たよ。中学生らしかったが、あんな大きな男の子が一緒に住めるってのは、如月会では考えられないだろうな」
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