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用務員
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「おかしいですな」
「おかしいんですよ。
罪を軽くできるなら、おおいに喋るのも理解できます。しかし、わざわざ罪を重くする莫迦はいません」
「しかし、佐々木という子にしても、自分を苦界に陥れた相手を、庇うはずもない。
どういうこってすか?」
今まで黙っていた圭が、徐に、用務員が……と始めた。
「噓をついているのだと思います。目的は、八田育夫を陥れることなのでは?
今日話した内容は、八田育夫にとって不利な話が多かったのではありませんか?」
「多かったもなんも、八田育夫に不利な情報に終始しましたよ。少女買いの同士だろうに、憎んでいるような態度でした」
「八田育夫に罪を全て押し付けようとしているとの考えも可能ですが、犯していない罪を告白する理由となると、一方的に八田育夫を陥れる思惑があるのでしょう。
お堅い女学校の用務員ですから、素性の知れた人間が雇われていただろうとは思われますが、本当にその人物なのでしょうか? 誰かが成り代わったりしてはいないでしょうか?」
「成り代わり、と仰いますと?」
元男爵と知る大森もやはり、圭に対しては丁寧であった。
「百合子さんの叔父様もまた、どこにいるかはまだ、わかっていません。
もしかしたら、誰かの戸籍を買って成り代わり、逮捕された後に、八田育夫に罪を着せるつもりだったのではないでしょうか?」
大森が手を打った。叔父である男が全てを失って半年は経つ。
その間、どこかで浮浪者として彷徨っているか、日雇いの仕事をしているかなどと考えていたが、なるほど、女学校の用務員は盲点だった。
八田育夫はもちろん、富山をも憎み、愛娘の園子を利用する為にまずは、用務員として潜り込む。その後、学年の切り替わりに百合子が転校し、少女を行方知れずにする。
「つまり、あの娼館は八田育夫の物ではなく、八田百合子の叔父の物であったと」
「その可能性も無きにしも非ずではないかと」
「電話を貸してもらってもいいでしょうか? 当直の奴に調べさせます」
許可すると、慣れた様子で電話に飛びついた。
「叔父の存在をあまり気にしていなかった」
百合子は言った。お母様もお祖母様も叔母さまも大好き。と。
叔父については一言もなかったから、まず、一緒にいることはなかろうと考えていた。
「おかしいんですよ。
罪を軽くできるなら、おおいに喋るのも理解できます。しかし、わざわざ罪を重くする莫迦はいません」
「しかし、佐々木という子にしても、自分を苦界に陥れた相手を、庇うはずもない。
どういうこってすか?」
今まで黙っていた圭が、徐に、用務員が……と始めた。
「噓をついているのだと思います。目的は、八田育夫を陥れることなのでは?
今日話した内容は、八田育夫にとって不利な話が多かったのではありませんか?」
「多かったもなんも、八田育夫に不利な情報に終始しましたよ。少女買いの同士だろうに、憎んでいるような態度でした」
「八田育夫に罪を全て押し付けようとしているとの考えも可能ですが、犯していない罪を告白する理由となると、一方的に八田育夫を陥れる思惑があるのでしょう。
お堅い女学校の用務員ですから、素性の知れた人間が雇われていただろうとは思われますが、本当にその人物なのでしょうか? 誰かが成り代わったりしてはいないでしょうか?」
「成り代わり、と仰いますと?」
元男爵と知る大森もやはり、圭に対しては丁寧であった。
「百合子さんの叔父様もまた、どこにいるかはまだ、わかっていません。
もしかしたら、誰かの戸籍を買って成り代わり、逮捕された後に、八田育夫に罪を着せるつもりだったのではないでしょうか?」
大森が手を打った。叔父である男が全てを失って半年は経つ。
その間、どこかで浮浪者として彷徨っているか、日雇いの仕事をしているかなどと考えていたが、なるほど、女学校の用務員は盲点だった。
八田育夫はもちろん、富山をも憎み、愛娘の園子を利用する為にまずは、用務員として潜り込む。その後、学年の切り替わりに百合子が転校し、少女を行方知れずにする。
「つまり、あの娼館は八田育夫の物ではなく、八田百合子の叔父の物であったと」
「その可能性も無きにしも非ずではないかと」
「電話を貸してもらってもいいでしょうか? 当直の奴に調べさせます」
許可すると、慣れた様子で電話に飛びついた。
「叔父の存在をあまり気にしていなかった」
百合子は言った。お母様もお祖母様も叔母さまも大好き。と。
叔父については一言もなかったから、まず、一緒にいることはなかろうと考えていた。
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