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散歩
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翌日、圭も連れて行って欲しいと抗議したが、何かあったら大変だから。と、置いていかれた。
珈琲寒天の分析はまだ、済んでいない。
毒の専門家の元に持って行くと、興味を示し、さっそく寒天を口に放り込んだのだとか。
仰天したが、ようは、飲み込みさえしなければ、さほど問題はないのだそうだ。
しかし、物によっては粘膜から吸収する可能性もあるから、真似はするなと、勇一郎に言われた。
頼まれても真似などしない。と応えると、心底安心した顔をされた。どれだけ無鉄砲な好奇心を持っていると思われているのだろうか。
今日は、如月会と睦月会に、正子から頼まれた物を届けるという名目で訪ね、探りを入れた後、富山の説得に行く予定らしい。そちらも蚊帳の外に追いやられてしまった。どうやら、性的な問題も関わっているからか、大人三人が神経質になっているらしい。
勉強をしようと思いながらも、じっとしていられず、散歩をしようと考え、外に出た。
鍵を閉めて振り向くと、向いの家の縁側で、ひとりの紳士が日向ぼっこをしているのが見えた。いつも通り、銀座に出かけるようなお洒落な姿。
ニコニコ顔で圭に向かって、おいでおいでをしている。
「おはようございます、渡辺さん」
「おはよう。今日は一人かね?」
「はい。勉強をするように言われました」
本当のことを言うわけにもいかず、適当な嘘を吐くが、渡辺は目を細めて、うんうん、勉強は大事だ。と、納得している。
「君は、学校へは行っていないの?」
圭は視線を逸らして、はぁ。と、曖昧な返事をした。
「ここ二三日の間に二度ほど学生服姿の少年を見たが、君の友達じゃないのかね?」
圭は瞬時に、視線を戻した。
「学生? どんな人でしたか?」
「背丈は君と同じくらいだろうかね。細身の、品のある少年だったよ」
「どこでご覧に?」
「ここで本を読んでいたのだが、昨日と、一昨日、いや、一昨昨日だったかな?
君の家の玄関の前で二度とも、歩く速度を落としたから、君を訪ねようとしているのかと思ってね。
しかし、通り過ぎてしまったので、どうしたのかな? とは思ったのだが」
「顔はご覧になられましたか?」
渡辺は仰向くと、うぅん。と唸りだした。
「どうだったかな?
あぁ、そうだ。帽子を深く被っていたよ」
珈琲寒天の分析はまだ、済んでいない。
毒の専門家の元に持って行くと、興味を示し、さっそく寒天を口に放り込んだのだとか。
仰天したが、ようは、飲み込みさえしなければ、さほど問題はないのだそうだ。
しかし、物によっては粘膜から吸収する可能性もあるから、真似はするなと、勇一郎に言われた。
頼まれても真似などしない。と応えると、心底安心した顔をされた。どれだけ無鉄砲な好奇心を持っていると思われているのだろうか。
今日は、如月会と睦月会に、正子から頼まれた物を届けるという名目で訪ね、探りを入れた後、富山の説得に行く予定らしい。そちらも蚊帳の外に追いやられてしまった。どうやら、性的な問題も関わっているからか、大人三人が神経質になっているらしい。
勉強をしようと思いながらも、じっとしていられず、散歩をしようと考え、外に出た。
鍵を閉めて振り向くと、向いの家の縁側で、ひとりの紳士が日向ぼっこをしているのが見えた。いつも通り、銀座に出かけるようなお洒落な姿。
ニコニコ顔で圭に向かって、おいでおいでをしている。
「おはようございます、渡辺さん」
「おはよう。今日は一人かね?」
「はい。勉強をするように言われました」
本当のことを言うわけにもいかず、適当な嘘を吐くが、渡辺は目を細めて、うんうん、勉強は大事だ。と、納得している。
「君は、学校へは行っていないの?」
圭は視線を逸らして、はぁ。と、曖昧な返事をした。
「ここ二三日の間に二度ほど学生服姿の少年を見たが、君の友達じゃないのかね?」
圭は瞬時に、視線を戻した。
「学生? どんな人でしたか?」
「背丈は君と同じくらいだろうかね。細身の、品のある少年だったよ」
「どこでご覧に?」
「ここで本を読んでいたのだが、昨日と、一昨日、いや、一昨昨日だったかな?
君の家の玄関の前で二度とも、歩く速度を落としたから、君を訪ねようとしているのかと思ってね。
しかし、通り過ぎてしまったので、どうしたのかな? とは思ったのだが」
「顔はご覧になられましたか?」
渡辺は仰向くと、うぅん。と唸りだした。
「どうだったかな?
あぁ、そうだ。帽子を深く被っていたよ」
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