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責任
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今日は忙しい一日である。
二人は話を続けながら今度は、富山男爵邸に向かった。
富山男爵邸は、相変わらず美しい庭と、屋敷を有してはいるが、普段とは違い、静まり返っていた。
いつも通り下男が出て来たものの、その顔は憂鬱そうで、顔色も良くない。主人の気持ちが屋敷を取り巻いているかのように思われた。
「男爵はおそらく、出てはおいでにならんでしょう。園子嬢様が亡くなられてからはまるで、別人のようにおなりですから」
下男は沈み込んだ声で、溜息を交えながら喋る。
「わしらも、どうすりゃ良いのかわからんのですよ。あれ以来男爵の姿を見てもおりませんからね」
「あの精力的な人が、一室に閉じ籠っているそうですね。
気持ちはわからないでもないですが、男爵を慕う人の為にも、早く元に戻って貰わないと」
「そうなんですよ。奥様や勝司様が説得しようとしても、耳を貸さないらしいし、使用人の中にも、辞めようとしている者もおります。
先行きの不安もありますがなにより、あの明るかった男爵とはまるきり違ってしまった、今の男爵を見ているのが、辛いんです。
先の奥様を亡くされた時も、ひどく落ち込んでおいででしたが、そん時は、二人の嬢さんを育てなきゃってんで、立ち直ってくれましたけんど」
我慢できなくなったのか、下男は涙を流し始めた。
「しかし、むごい話ですよな。親よりも子が先に死ぬなんざ。園子さんも辛かろうが、残された者はもっと辛い」
懐から取り出した手拭いで涙を拭きとりながら、申し訳ないと謝る姿は、亡き令嬢を悼む気持ちと、男爵への思いが溢れていた。
久子の言った通り、富山は使用人を大事にしているのだ。
久子に取り次いでもらって、下男とは別れた。
ずっと引き籠ったままの部屋に招かれた。外国を真似た客間で、便所も併設されているという。
扉を叩く。予想した通り、返事はない。また、叩く。
「男爵、長瀬です。開けてください」
名乗ってみるが、全く反応はない。仕方なく、久子から鍵を受け取る。
あまり乱暴な真似はしたくないが、いつまでも食事も摂らずに籠っていれば、健康が損なわれてしまう。その前にどうにかしなければならない。と、自分自身に言い訳しながら、扉を開いた。
二人は話を続けながら今度は、富山男爵邸に向かった。
富山男爵邸は、相変わらず美しい庭と、屋敷を有してはいるが、普段とは違い、静まり返っていた。
いつも通り下男が出て来たものの、その顔は憂鬱そうで、顔色も良くない。主人の気持ちが屋敷を取り巻いているかのように思われた。
「男爵はおそらく、出てはおいでにならんでしょう。園子嬢様が亡くなられてからはまるで、別人のようにおなりですから」
下男は沈み込んだ声で、溜息を交えながら喋る。
「わしらも、どうすりゃ良いのかわからんのですよ。あれ以来男爵の姿を見てもおりませんからね」
「あの精力的な人が、一室に閉じ籠っているそうですね。
気持ちはわからないでもないですが、男爵を慕う人の為にも、早く元に戻って貰わないと」
「そうなんですよ。奥様や勝司様が説得しようとしても、耳を貸さないらしいし、使用人の中にも、辞めようとしている者もおります。
先行きの不安もありますがなにより、あの明るかった男爵とはまるきり違ってしまった、今の男爵を見ているのが、辛いんです。
先の奥様を亡くされた時も、ひどく落ち込んでおいででしたが、そん時は、二人の嬢さんを育てなきゃってんで、立ち直ってくれましたけんど」
我慢できなくなったのか、下男は涙を流し始めた。
「しかし、むごい話ですよな。親よりも子が先に死ぬなんざ。園子さんも辛かろうが、残された者はもっと辛い」
懐から取り出した手拭いで涙を拭きとりながら、申し訳ないと謝る姿は、亡き令嬢を悼む気持ちと、男爵への思いが溢れていた。
久子の言った通り、富山は使用人を大事にしているのだ。
久子に取り次いでもらって、下男とは別れた。
ずっと引き籠ったままの部屋に招かれた。外国を真似た客間で、便所も併設されているという。
扉を叩く。予想した通り、返事はない。また、叩く。
「男爵、長瀬です。開けてください」
名乗ってみるが、全く反応はない。仕方なく、久子から鍵を受け取る。
あまり乱暴な真似はしたくないが、いつまでも食事も摂らずに籠っていれば、健康が損なわれてしまう。その前にどうにかしなければならない。と、自分自身に言い訳しながら、扉を開いた。
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