47 / 126
珈琲
しおりを挟む
下町を後にし、事務所に向かった。最近、事務所に近寄っていないので、今日こそは、風を通さなければ。と考えていた。湿度も温度も低くはない、黴が生えたら大変だ。圭をあちらこちらに振り回すのは可愛そうで、諦めていたのである。
圭はどうしているだろうか。危険を回避する為に、高林に預けようと考えたのであって、内部を探るよう言ったのは、圭を納得させる方便だった。収穫はほとんど期待していない。少しでも下手に出て、愛想良くすれば、話してくれる者もいるだろうが、人見知りの性格が邪魔していそうな気もする。
それにしても、有朋の過去には何かがあるとは思っていたが、強盗殺人に加え、放火とは、想像を超えている。そんな目に遭っていたなら、記憶を失ったのは、理解できる。
いや、記憶を失っていた。の間違いだろう。
母親が不貞を働いていたという噂は本当だろうか?
火事の前に屋敷から飛び出した男は、間男なのか?
弟は、不貞の末にできた子なのか?
有朋は?
有朋の父親、相馬満、旧姓西野満が学んでいた大学は分かった。同じ大学で学んでいた仲間に、義礼がいるのだろう。義礼が嘘を吐いていなければ。
有朋の顔を思い出し、義礼の面影を探す。短絡的かもしれないが、不貞の相手として義礼を考える。もし、義礼が実の父親なのだとしたら、引き取った理由もわかるというものだ。過剰な気遣いも。
事務所に辿り着き、硝子扉から中を見て叫びそうになった。鍵を開き、中に入る。窓は全開で、風通しは良かった。
しかし、隼人は開けた記憶はなく、片付いていた部屋に、本が散乱している。
「あの帳面を探しているのか?」
素っ気ないほど物が無いので、盗まれた物は無いと、確認できた。
早足で自宅に戻ると、向かいの家の主人が、手招きしているのが見えた。
「こんにちは」
最近、経営していた洋装店を息子に譲り、暇を持て余しているモダンな初老の紳士は、直ぐに銀座に出掛けられる洒落た装いで、日向ぼっこをしていたらしかった。
「品の無い顔をした大男に、恨みを買ったのではないかね?」
ニコリともせず、紳士は真っ直ぐ隼人を見る。
「はい」
「原因はご婦人かね?」
「とんでもない!
奴は、異人が嫌いらしくて」
紳士は、外國人の様に、大きく肩を竦めて見せた。
「品が無いのは、顔だけではないようだね」
圭はどうしているだろうか。危険を回避する為に、高林に預けようと考えたのであって、内部を探るよう言ったのは、圭を納得させる方便だった。収穫はほとんど期待していない。少しでも下手に出て、愛想良くすれば、話してくれる者もいるだろうが、人見知りの性格が邪魔していそうな気もする。
それにしても、有朋の過去には何かがあるとは思っていたが、強盗殺人に加え、放火とは、想像を超えている。そんな目に遭っていたなら、記憶を失ったのは、理解できる。
いや、記憶を失っていた。の間違いだろう。
母親が不貞を働いていたという噂は本当だろうか?
火事の前に屋敷から飛び出した男は、間男なのか?
弟は、不貞の末にできた子なのか?
有朋は?
有朋の父親、相馬満、旧姓西野満が学んでいた大学は分かった。同じ大学で学んでいた仲間に、義礼がいるのだろう。義礼が嘘を吐いていなければ。
有朋の顔を思い出し、義礼の面影を探す。短絡的かもしれないが、不貞の相手として義礼を考える。もし、義礼が実の父親なのだとしたら、引き取った理由もわかるというものだ。過剰な気遣いも。
事務所に辿り着き、硝子扉から中を見て叫びそうになった。鍵を開き、中に入る。窓は全開で、風通しは良かった。
しかし、隼人は開けた記憶はなく、片付いていた部屋に、本が散乱している。
「あの帳面を探しているのか?」
素っ気ないほど物が無いので、盗まれた物は無いと、確認できた。
早足で自宅に戻ると、向かいの家の主人が、手招きしているのが見えた。
「こんにちは」
最近、経営していた洋装店を息子に譲り、暇を持て余しているモダンな初老の紳士は、直ぐに銀座に出掛けられる洒落た装いで、日向ぼっこをしていたらしかった。
「品の無い顔をした大男に、恨みを買ったのではないかね?」
ニコリともせず、紳士は真っ直ぐ隼人を見る。
「はい」
「原因はご婦人かね?」
「とんでもない!
奴は、異人が嫌いらしくて」
紳士は、外國人の様に、大きく肩を竦めて見せた。
「品が無いのは、顔だけではないようだね」
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる