長瀬萬請負 其の一 〜紅い髪の探偵〜

岡倉弘毅

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関係

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「何か聞き出せましたか?」

 疲れ切った二人を見て、苦笑気味に有朋が言う。

「彼女は犯人ではないね」

 圭は青い顔で、同感。とばかりに頷いた。

 義史にも話を聞きたかったが、仕事で留守にしていた。

 義礼が動けない今、義史の立場は重くなっている。心配でも、屋敷の中に留まっているわけにはいくまい。

 その後、屋敷中の使用人に色々と問うてみたが、誰一人、怪しい人間も見ていなければ、家人の不審な行動も見ていない。

 全く収穫のないまま、時間は過ぎた。




 「敏さんの顔色、気になりませんか?」

 高林家を出て、半里も歩いた頃、圭が声を潜めるようにして言った。

「君も気になったかい?」

「はい」

 敏は、田舎者の素朴さを失わぬ、好感の持てる娘だったのだが、病的に顔色が悪かった。

 女中らしい仕事は殆どせず、映子のお相手だけをしているらしい。

 映子のことを聞いてみると、優しいお嬢様だ。と、笑って答えた。

「疑うのが癪な気もしますが、彼女は気にした方が良いのではありませんか?

 私は、家人の仕業ではないかと思っています」

「俺も、内部の犯行だと思う」

「相馬さん」

 遠慮勝ちな声だったのは、友人である隼人への気遣いだろう。

「怪しい?」

 圭は小首を傾げた。

「怪しいと言えば怪しく、怪しくないと言えば怪しくない。でしょうか。

 あの状況で養子の話を出すのは、自分には犯行動機が無いと言っているも同然で、逆に怪しい気がします」

「それじゃ、奥方は?」

「奥様は、関係ないと思います」

「どうして? 良人が殺されそうになったとは思えないほど、冷たい態度だったとは思わない?」

「思います。

 だからこそ、疑う必要が無いと思うのです。

 もし、疚しい気持ちがあるならば、隠す為にわざとらしく心配するのではないでしょうか」

 圭は、隼人とほぼ、同じ考えを持っているらしい。

 ただ、有朋に関しては、怪しいと言い切ることができない。

 友人としての立場がそう言わせるのかもしれないから、今は、圭の方がずっと考えは柔軟だろう。

「実は、相馬さんに対する高林さんの態度が、まだ気になっているのですが」

「不義の件なら、もう」

「いいえ、その件なら、もう気にはしていません。相馬さんの仰る通り、推理に枷をつけてはいけないものですし」
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