殺された人形

岡倉弘毅

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珈琲 二

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 腹一杯だと言っていたのに、まだ余裕はあったらしい。さっきと同じウエイターが恭しい態度で平助の前にシベリアを置いた。横目で見ると、三月は暇そうにしている。

「三月君、なにかあったのでしょうか?」

 ん? と、平助はさほど関心無さそうな様子であった。

「さっき、有紀に自分の事を何か聞いていないかと言われまして」

「なんだなんだ? あの二人、とうとう男と女になったのか?」

「まさか」

「どうしてそう言い切れる? 俺は前から思っていたが、有紀には三月のような年下の男の方が合っているんじゃないかとね。

 有紀は男の言う通りになる女じゃなかろう? 年下の男を尻に敷いた方が楽だろうし」

 平助の言葉は基本、聞き流すようにしている。

 芸術に関する話ならともかく、男女に関して平助は世間一般と同じ考えで、洋史は気が合うとは思っていない。

「それよりも、蝋人形はどうして始めたのですか? 陶芸だけでも大変でしょうに」

「土から生み出す女神も美しいとは思うのだが、やはり、蠟の持つ透明感は人間に近く、俺の理想の女を作り出す事ができるのでは無いかと思ってな」

「理想の女?」
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