"彼女"の場合・・・【僕の彼女はアイツの親友 スピンオフ】

みつ光男

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Act 4. 邂逅の始まりと圧倒的艱難辛苦の前触れ

【一体化の予兆】

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実に半年ぶりに煌子の幻がスマホから現れた。

「よっ!元気にしてた?」

「・・・煌子!来てくれたんだ!」

前のようにそのシルエットはもう薄くない

私は嬉しくなって握手会の余韻からか
思わずホテルの壁に映る煌子に近づき
おもむろにその手を握ろうとした。

その時…

「きゃっ!」

声を上げたいのはこちらの方だった、

確かにその両手には"人の感触"があったのだから。

「げげっ!煌子が"現実の人"になってる!」

「ちょっと!触っちゃダメでしょ、アタシに触るってことは…」

「え?もしかして・・・?」

「そう言うこと」

「て、ことは俺が今、煌子にあんなことやこんなことしたら…へへへ」

「もしかして…変態なの?」

「違うわ!」

「どうだか…?」

「だ、か、ら!」

「ふふ、冗談だよ」

そんなやり取りはさておき

"意思のみがここにいて本体はこの世界にない"
そう言っていた煌子が

現実の存在になろうとしている過程をこの日、体感した。


ー 多分ね、こうしてアタシは・・・

そう遠くない未来に一体化しちゃうのかな?
皓子ちゃんと。

「え?知らないの、この先の運命を?」

「そ、それがどうなるかもあんたが書く内容次第だから」

「責任重大だなぁ」

「そんなことないよ、あんたはただ書いてくれさえすれば・・・」

「どうなるの?」

「え…それは、アタシにもわかんないんだって」

どうもすっきりしない

煌子はまるで何か大切なことを
話せずに秘密にしているように感じた。

いつもの塩対応な部分に反して
妙にしおらしい笑顔を見せる煌子が

今日のこっこと重なって
何とも言えない不思議な違和感を感じた。

2日にわたって参加した握手会

そのほとんどの時間はこっことのトークで
占められた。

2日目最終部の握手は2ショット撮影会

大抵のファンが手でハートを作ったり
ピースサインで撮影する中、私は

この日浴衣姿で握手会に臨んでいたこっこに
"待ち合わせに遅れて怒られる感じ"で…と

そんなシチュエーションを無茶ぶりしたにも
関わらず

「いいよ」

こっこは快く応じてくれて

その撮影時のやり取りはやはり正に
小説の中における「コウと煌子の会話」さながらだった。

そんな疑似体験は
今後の物語の展開を考えるにあたって

とても貴重なシミュレーションにもなった。

「じゃ、また次もよろしくね」

そう言った私に向けて
帰り際にこっこから言われた一言、

「次は遅れないで来るんだよ…」は

いつまでも私の心の中でリプレイされた。

彼女は去り際まで"待ち合わせに遅れた体"で、
私がそうお願いしたその"シチュエーションの役"を
演じてくれたのだ。
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