"彼女"の場合・・・【僕の彼女はアイツの親友 スピンオフ】

みつ光男

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Act 4. 邂逅の始まりと圧倒的艱難辛苦の前触れ

【アタシのリクエスト】

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 ここにきて煌子とこっこは少しずつ、
ゆっくりとではあるが
一体化し始めているのではないだろうか?

そんな錯覚にすら陥りながら私は会場を後にした。

そしてもうひとつ不思議に思ったこと

2日間ゆっくり話せたから、と言うのも
その大きな理由かも知れないが

前回、1年以上前のたった一度の握手など
覚えているはずがないだろうに

こっこはまるで旧知の関係のように
私に話しかけてくれた。

 アイドルだからこその社交辞令と言えばそれまでだが
それ以上にいつしか私の間では

こっこは煌子そのものであると言う認識が
揺るがぬものになりつつあった。

そして私は、数ヶ月ぶりに現れた煌子に
ひとつ確認したいことがあった。

ー 俺に何か聞きたいこと、あるんじゃない?

私が煌子、ではなく美月との恋愛ストーリーに
路線を変えようとしたことに対して

物申したいことがあるのでは?
と、常に心の中で引っ掛かっていたのだ。

「別に…何にもないよ」

そんなはずはない、

ならばなぜあの日現れた煌子のシルエットは
あんなに薄かったのに今日は元に戻ってるんだ?

そして何故、今日現れた?

「アタシはあんたの妄想から生まれた架空のキャラ、そこにたまたま感情が宿っただけだよ」

たまたま感情が宿る、そんなことがあるだろうか?

「ま、煌子が笑顔ならそれでいいけどね」

「ぷっ!」

「な、何だよ、そんな変なこと言ったか俺?」

「あはは、そうじゃなくって!アタシもさ小説の中でそんなの言われてみたいな、て思ってさ」

「じゃあ、どこかに付け加えとくから」

「ほんとに?約束よ!」

「もちろん!その代わり・・・」

「何?」

「また遊びに来てくれるかな?」

「バカ…アタシは人間じゃないのに」

煌子は笑顔だったがその表情はどこか寂しそうだった。

「それじゃ帰るから」

「うん、またね」

「次は10月だよね?」

「え?」

「皓子ちゃんと会うのは」

「あ、そうだね、今度は日帰りだけど」


なぜ?

次が10月だと煌子は知っている?

そう疑問に思ったが
敢えてそこを問いただすことはしなかった

今思うと、何かを知ってしまうことが
怖かったのかも知れない。


「それまでに…どこまで進んでるかな?話が」

「そうだな、今は下書きも入れて7割くらいってとこだね」

「アタシ、もっと活躍してる?」

「そりゃあ、もう・・・」

煌子は私の返事を遮るようにこう言った

「あ!そうだ、それまでに・・・」

「何?」

「あの娘に大変な試練があるかもだけど、応援してあげてね」

「こっこのこと?」

煌子は黙って頷いた。
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