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Act 6. ふたりでひとり
【失恋物語】
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「ねぇ、覚えてる?」
そう問いかけて私にもたれかかってきた煌子は
珍しく甘えたような声でこう尋ねた。
思わぬ展開に鼓動が高鳴り
平静を装うのが精一杯だったが
「何を?」
何とかいつもの調子で答えた。
「アタシと初めて会った時のこと」
「そりゃあ、ね、衝撃だったから…確か8年くらい前に突然スマホから・・・」
「じゃなくてさ、ホントのアタシと・・・」
「え?」
「あ、何でもない、今の忘れてー、ふふっ」
「何言ってんだか」
「・・・あの日もあんな雪の日だったよね」
煌子は一体、いつの話をしてるんだろう?
記憶が曖昧になってるのかな?
そう口にしようとして、私は思い出した
「あ!そう言うことか!!」
煌子と出会うより、もっともっと前に体験した
高校2年の冬、自分の失恋のことを。
「あ!だから、それで煌子がオレのとこに初めて来たのが2月26日だったんだ?」
「よく覚えてるのね、自分がフラれた日なんて忘れちゃいなよ」
「そりゃ忘れたいよ、でも忘れたくても忘れられない、苦い思い出だからね」
「そんなもんなの?」
「そうだよ、人生初の告白だったから、そう言えば煌子だって・・・」
「でもアタシ、ホントはまんざらでもなかった」
「え?」
「…と、思うよ」
「何で煌子が、そんなことわかるんだ?」
「あ、え、っとね、めんどくさいヤツと付き合ってたんだよ、あんたがフラれたその娘はきっと…」
「それってオレの小説の中の話だろ?」
それを聞いた煌子は小さく呟いた。
「あ…やっぱり知らなかったんだ、あの話」
「え?何か言った?」
「ん…何でもない」
「でもそんな嫌なヤツと付き合ってたんなら、今なら全力で助けるけどな」
「アタシを?ホントに?」
「そりゃ、そうだろ」
「そ、ありがと」
私は煌子には聞きたいことがもっとあった。
「で、さ、煌子、あの話なんだけど…」
返事がない…
その代わりに隣で小さな寝息が聞こえ始めた。
「何だよ、寝ちゃったのか」
煌子に釣られるように
私も船の揺れに任せていつしか眠りに落ちた
二人は身を寄せ合ったまま眠り続け
いつしかフェリーは港に着岸しようとしていた。
午後10時過ぎ、船の揺れで目覚めた。
フェリーが桟橋に停まる頃
ふっと身が軽くなったと思って目を開けると
既に煌子は消えていた。
もっともっと話したいことがあったのに
寝落ちしてしまうなんて…
それでも今日はこれまでで一番
落ち着いてゆっくりと話せたかも知れない。
本来ならあり得るはずのない
煌子の体温の余韻を右肩に感じながら私は下船した。
次はいつ現れるのだろう?
もしかしたら今日で最後かも?
そんなことを考えながら
フェリー乗り場から自宅へと車を飛ばした。
そう問いかけて私にもたれかかってきた煌子は
珍しく甘えたような声でこう尋ねた。
思わぬ展開に鼓動が高鳴り
平静を装うのが精一杯だったが
「何を?」
何とかいつもの調子で答えた。
「アタシと初めて会った時のこと」
「そりゃあ、ね、衝撃だったから…確か8年くらい前に突然スマホから・・・」
「じゃなくてさ、ホントのアタシと・・・」
「え?」
「あ、何でもない、今の忘れてー、ふふっ」
「何言ってんだか」
「・・・あの日もあんな雪の日だったよね」
煌子は一体、いつの話をしてるんだろう?
記憶が曖昧になってるのかな?
そう口にしようとして、私は思い出した
「あ!そう言うことか!!」
煌子と出会うより、もっともっと前に体験した
高校2年の冬、自分の失恋のことを。
「あ!だから、それで煌子がオレのとこに初めて来たのが2月26日だったんだ?」
「よく覚えてるのね、自分がフラれた日なんて忘れちゃいなよ」
「そりゃ忘れたいよ、でも忘れたくても忘れられない、苦い思い出だからね」
「そんなもんなの?」
「そうだよ、人生初の告白だったから、そう言えば煌子だって・・・」
「でもアタシ、ホントはまんざらでもなかった」
「え?」
「…と、思うよ」
「何で煌子が、そんなことわかるんだ?」
「あ、え、っとね、めんどくさいヤツと付き合ってたんだよ、あんたがフラれたその娘はきっと…」
「それってオレの小説の中の話だろ?」
それを聞いた煌子は小さく呟いた。
「あ…やっぱり知らなかったんだ、あの話」
「え?何か言った?」
「ん…何でもない」
「でもそんな嫌なヤツと付き合ってたんなら、今なら全力で助けるけどな」
「アタシを?ホントに?」
「そりゃ、そうだろ」
「そ、ありがと」
私は煌子には聞きたいことがもっとあった。
「で、さ、煌子、あの話なんだけど…」
返事がない…
その代わりに隣で小さな寝息が聞こえ始めた。
「何だよ、寝ちゃったのか」
煌子に釣られるように
私も船の揺れに任せていつしか眠りに落ちた
二人は身を寄せ合ったまま眠り続け
いつしかフェリーは港に着岸しようとしていた。
午後10時過ぎ、船の揺れで目覚めた。
フェリーが桟橋に停まる頃
ふっと身が軽くなったと思って目を開けると
既に煌子は消えていた。
もっともっと話したいことがあったのに
寝落ちしてしまうなんて…
それでも今日はこれまでで一番
落ち着いてゆっくりと話せたかも知れない。
本来ならあり得るはずのない
煌子の体温の余韻を右肩に感じながら私は下船した。
次はいつ現れるのだろう?
もしかしたら今日で最後かも?
そんなことを考えながら
フェリー乗り場から自宅へと車を飛ばした。
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