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#2. 8月
【シチュエーション】
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帰り道で志帆と二人きり…
ずっと待ち望んだシチュエーションなのに
こんな時に限って何も話せない。
何とも言えない気まずい沈黙の中、
パンクした志帆の自転車の後輪だけが
真夏の熱を帯びた舗道の上で
ガタンガタンと音を立てていた。
しかし、こんなことって…あるのか?
2ヶ月待ち続けた、あの日と同じタイミングで、
あの駐輪場で…やっと会えた。
そして駄目だと諦めかけた帰り道、目の前には志帆がいた
これ以上のお膳立てがあるだろうか?
なのに、何なんだ
このぎこちない空気と言ったら・・・
このチャンスを逃したら次はいつ?
正に恋い焦がれる誰かと遂に再会できたような高揚感が
同居していると言うのに。
僕は考えた、この想いって何なんだろう?
まさか、まさか…恋…だなんて?
僕は志帆のこと…やっぱり好きなのか?
「…くん」
志帆の呼び掛けにも気づかないほど
僕の妄想は歯止めが利かなくなっていた
「ちょっと、原田くんったら!」
「え…何?何だったっけ?」
「ここ…だよね?バイク屋さん」
「あ、あ、そうそう、ここだここだ」
そして僕たちは
「オートショップ宮田」
そんな看板の見えるお店のドアを開けた。
「こんちはー!」
「あれ?清志?今日は彼女と一緒か?」
顔馴染みの店員、富田さんに冷やかされる。
「あ、いや、そぉ、そうなんすよ」
隣には真っ赤になって俯く志帆の姿があった。
あれ?まんざらでもなさそうだな…
そう思って志帆に視線を送る。
― バカっ!
声には出さなかったが
確かに志帆の口はそう動いていた。
だがその表情はいつも僕が驚かせた時のような
怒った顔ではなかったことに
ほんの少しだけ安堵の気持ちが押し寄せてきた。
「かわいい娘じゃないか、清志にはもったいないくらいの」
富田さんは自転車を受け取る時、
志帆に視線を送りながら僕にこう囁いた。
― 当たり前だろ、志帆ちゃんはかわいいんだよ
何故か妙な反抗心が僕の中で頭をもたげていた、
まるで僕の背中を押すかのように。
ずっと待ち望んだシチュエーションなのに
こんな時に限って何も話せない。
何とも言えない気まずい沈黙の中、
パンクした志帆の自転車の後輪だけが
真夏の熱を帯びた舗道の上で
ガタンガタンと音を立てていた。
しかし、こんなことって…あるのか?
2ヶ月待ち続けた、あの日と同じタイミングで、
あの駐輪場で…やっと会えた。
そして駄目だと諦めかけた帰り道、目の前には志帆がいた
これ以上のお膳立てがあるだろうか?
なのに、何なんだ
このぎこちない空気と言ったら・・・
このチャンスを逃したら次はいつ?
正に恋い焦がれる誰かと遂に再会できたような高揚感が
同居していると言うのに。
僕は考えた、この想いって何なんだろう?
まさか、まさか…恋…だなんて?
僕は志帆のこと…やっぱり好きなのか?
「…くん」
志帆の呼び掛けにも気づかないほど
僕の妄想は歯止めが利かなくなっていた
「ちょっと、原田くんったら!」
「え…何?何だったっけ?」
「ここ…だよね?バイク屋さん」
「あ、あ、そうそう、ここだここだ」
そして僕たちは
「オートショップ宮田」
そんな看板の見えるお店のドアを開けた。
「こんちはー!」
「あれ?清志?今日は彼女と一緒か?」
顔馴染みの店員、富田さんに冷やかされる。
「あ、いや、そぉ、そうなんすよ」
隣には真っ赤になって俯く志帆の姿があった。
あれ?まんざらでもなさそうだな…
そう思って志帆に視線を送る。
― バカっ!
声には出さなかったが
確かに志帆の口はそう動いていた。
だがその表情はいつも僕が驚かせた時のような
怒った顔ではなかったことに
ほんの少しだけ安堵の気持ちが押し寄せてきた。
「かわいい娘じゃないか、清志にはもったいないくらいの」
富田さんは自転車を受け取る時、
志帆に視線を送りながら僕にこう囁いた。
― 当たり前だろ、志帆ちゃんはかわいいんだよ
何故か妙な反抗心が僕の中で頭をもたげていた、
まるで僕の背中を押すかのように。
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