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その壱.幼少期編
おかん、熊に遭遇
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今の時代はとても便利です、何のことかと言えば
例えばお風呂を沸かすのでさえ
室内からスイッチひとつで給湯出来る。
それが昭和の時代ともなると
給湯器のガスのスイッチを入れるのに
わざわざ外に行かなければならなかった。
これも私がまだ幼少期の話、なのでやはり
昭和50年代の終わり頃
当時暮らしていたH県北部の山沿いの街
ここは豪雪地帯で冬になると一面は雪で覆われてしまう。
お風呂を沸かす時はその雪を掻き分け掻き分け、
給湯器のスイッチを押しに行かなければならない
その役目は何故かうちのおかんだった。
その日も雪の中を家の裏にあるガス給湯器へ
向かっていたおかん、
真っ暗な中、懐中電灯で照らしながら
スイッチの場所を確認していると
少し向こうに何かの気配を感じた。
給湯器の前には扉が常に開いている地下倉庫があり、
入口付近には電灯用のボタンがある。
そこで地下倉庫の電灯をつけて
その"何か"を確認すると、そこには…
小柄な、とは言え人間の子供よりも大きな
真っ黒い熊の姿が…!
冬場の熊は常に腹を減らしている
下手すれば有無を言わさず襲われる可能性もある
驚きに言葉を失ったおかんだったが
ここで逃げては危険だと悟ったのか
「ちょっと待っててや、お風呂つけなあかんからな」
臆することなく熊にそう話しかけ
ボッ!とガスの青白い炎が浮かび上がった瞬間
火に驚いたのだろうか、熊はそのまま身を翻して
逃げていったのだそうだ。
何が凄いかと言うと熊と対峙して平静を装ったことより
これほどの危険な遭遇の直後であるにも関わらず
「さっき外に熊がおってん、火、灯けたら逃げたけどな」
笑顔でそう話していたおかん。
あの頃は子供ながらに豪放磊落だと
笑い話で終わらせたが
今思い出すと何て命知らずな人なんだ、と
呆れるやら恐ろしいやら
母は偉大なり、とでも言うべきか?
例えばお風呂を沸かすのでさえ
室内からスイッチひとつで給湯出来る。
それが昭和の時代ともなると
給湯器のガスのスイッチを入れるのに
わざわざ外に行かなければならなかった。
これも私がまだ幼少期の話、なのでやはり
昭和50年代の終わり頃
当時暮らしていたH県北部の山沿いの街
ここは豪雪地帯で冬になると一面は雪で覆われてしまう。
お風呂を沸かす時はその雪を掻き分け掻き分け、
給湯器のスイッチを押しに行かなければならない
その役目は何故かうちのおかんだった。
その日も雪の中を家の裏にあるガス給湯器へ
向かっていたおかん、
真っ暗な中、懐中電灯で照らしながら
スイッチの場所を確認していると
少し向こうに何かの気配を感じた。
給湯器の前には扉が常に開いている地下倉庫があり、
入口付近には電灯用のボタンがある。
そこで地下倉庫の電灯をつけて
その"何か"を確認すると、そこには…
小柄な、とは言え人間の子供よりも大きな
真っ黒い熊の姿が…!
冬場の熊は常に腹を減らしている
下手すれば有無を言わさず襲われる可能性もある
驚きに言葉を失ったおかんだったが
ここで逃げては危険だと悟ったのか
「ちょっと待っててや、お風呂つけなあかんからな」
臆することなく熊にそう話しかけ
ボッ!とガスの青白い炎が浮かび上がった瞬間
火に驚いたのだろうか、熊はそのまま身を翻して
逃げていったのだそうだ。
何が凄いかと言うと熊と対峙して平静を装ったことより
これほどの危険な遭遇の直後であるにも関わらず
「さっき外に熊がおってん、火、灯けたら逃げたけどな」
笑顔でそう話していたおかん。
あの頃は子供ながらに豪放磊落だと
笑い話で終わらせたが
今思い出すと何て命知らずな人なんだ、と
呆れるやら恐ろしいやら
母は偉大なり、とでも言うべきか?
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