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その壱.幼少期編
【あの日の帽子は…】
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小学生の頃に被っていたお気に入りの帽子
何処に行く時も手元から離さないくらい。
それはデザインはもちろんだが
家族で出掛けた旅行か何かの時
外出先のお店で買ってもらった思い出の一品でもあった。
それはある週末のこと、前回の話でも書いたように
私の通っていた小学校には家族遠足なる行事があった。
この時の遠足では水族館に行った後、
近くのレストランで食事をしたのだが
こともあろうに私はそのお店に
帽子を置き忘れて帰ってしまった。
気付いたのは帰りのバスの中、
帽子を無くしたこと、帽子を買ってもらったと言う
思い出が消えてしまうこと
二つの罪の意識から私は我を忘れて号泣していた。
「また同じのを買ってあげるから」
母親に説得されても
その時買ったその時の思い出は消せない
新しい帽子を見たらきっと無くした日のことを
思い出してしまう、
そう言って泣き崩れたらしい。
それでも無くした物はもう返ってはこない、
私は罪悪感と失望にさいなまれながら
昔使っていた帽子を被って翌日学校へ行った。
それから数日が過ぎ
私が帰宅してランドセルを置こうとした
その時だった。
見間違えるはずがない…!
あの帽子が私の机の上に置かれていたのだ。
「え?」
それは新品で新しく買い替えたものではなく、
帽子の裏側に名前が記名された
あの日、私が忘れて帰った帽子だった。
「帽子があった!」
私が狂喜乱舞で母親に伝えに行くと
穏やかな表情で事の成り行きを教えてくれた。
自営業をしていた我が家、
あの水族館の近くは父親の販売ルートだった
憔悴した私を見て心配になったのだろうか?
父はレストランに連絡をして
忘れ物が無かったかを確認して
めぼしい帽子を見つけたと父の部下が聞きつけ
引き取りに行かせたのだと。
ただそれが私本人の物か定かではないので
持ち帰って暫く母親に預け確認させたらしい。
当時、多忙だった父は私と会話する機会も少なく
持ち物に関しても情報が疎かった。
なので帽子を確認した母親が
私の名前が書かれていることに気付き
無事手元に帰ってきた、と言うことだ。
こうして思い出が上書きされた帽子は
ボロボロになるまで被っていた。
仕事に追われ
私のことなど気にもかけていない風であった父が
帽子を探してくれたことが意外だった。
今でも私が家族と出かけると帰り際に
忘れ物が無いか入念にチェックするのは
その時のトラウマが名残りなのかも知れない。
何処に行く時も手元から離さないくらい。
それはデザインはもちろんだが
家族で出掛けた旅行か何かの時
外出先のお店で買ってもらった思い出の一品でもあった。
それはある週末のこと、前回の話でも書いたように
私の通っていた小学校には家族遠足なる行事があった。
この時の遠足では水族館に行った後、
近くのレストランで食事をしたのだが
こともあろうに私はそのお店に
帽子を置き忘れて帰ってしまった。
気付いたのは帰りのバスの中、
帽子を無くしたこと、帽子を買ってもらったと言う
思い出が消えてしまうこと
二つの罪の意識から私は我を忘れて号泣していた。
「また同じのを買ってあげるから」
母親に説得されても
その時買ったその時の思い出は消せない
新しい帽子を見たらきっと無くした日のことを
思い出してしまう、
そう言って泣き崩れたらしい。
それでも無くした物はもう返ってはこない、
私は罪悪感と失望にさいなまれながら
昔使っていた帽子を被って翌日学校へ行った。
それから数日が過ぎ
私が帰宅してランドセルを置こうとした
その時だった。
見間違えるはずがない…!
あの帽子が私の机の上に置かれていたのだ。
「え?」
それは新品で新しく買い替えたものではなく、
帽子の裏側に名前が記名された
あの日、私が忘れて帰った帽子だった。
「帽子があった!」
私が狂喜乱舞で母親に伝えに行くと
穏やかな表情で事の成り行きを教えてくれた。
自営業をしていた我が家、
あの水族館の近くは父親の販売ルートだった
憔悴した私を見て心配になったのだろうか?
父はレストランに連絡をして
忘れ物が無かったかを確認して
めぼしい帽子を見つけたと父の部下が聞きつけ
引き取りに行かせたのだと。
ただそれが私本人の物か定かではないので
持ち帰って暫く母親に預け確認させたらしい。
当時、多忙だった父は私と会話する機会も少なく
持ち物に関しても情報が疎かった。
なので帽子を確認した母親が
私の名前が書かれていることに気付き
無事手元に帰ってきた、と言うことだ。
こうして思い出が上書きされた帽子は
ボロボロになるまで被っていた。
仕事に追われ
私のことなど気にもかけていない風であった父が
帽子を探してくれたことが意外だった。
今でも私が家族と出かけると帰り際に
忘れ物が無いか入念にチェックするのは
その時のトラウマが名残りなのかも知れない。
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