僕の彼女はアイツの親友

みつ光男

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Act 03. 悲夏こもごも

【チャンス到来】

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 由里や美月とはこのように二人とも
1年の頃から気さくに話せる間柄だった

見た目が明らかに優等生とは言えない
茶髪で校則違反の制服を着ている僕にも

臆することなく話しかけてくれる。

僕も二人には少なからず親近感を抱いていた。

 ならば由里や美月と同じ中学出身で
友人の煌子はどうだろう?

相変わらず今も口ひとつ聞いてくれることはない。

こんなにも社交的な由里と美月は何故、
あの無愛想な煌子と仲が良いのだろうか?

 いや、この3人は2年になってからは
常に行動を共にしているし

3人の時は普段無表情な煌子が笑顔に変わる、
よほど仲がいいのだろう。

修学旅行で僕たちが
1年の頃のノリで楽しむ様子を見たら
煌子はどう思うだろうか?

破目を外してバカ騒ぎしていると
それこそ呆れ果てるかも知れない。

 予想される煌子のリアクションは
さほど気にはならなかったが

探りを入れるつもりで
由里には一言だけ聞いてみた。

「1年の時みたいに盛り上がるかな?」

「大丈夫だよ、あの時のメンバーたくさんいるじゃん」

これは絶好の機会だった、
このクラスにはまだそれほど話していない女子もいる。

名刺代わりに歌を披露すれば
何かしらのアピールになる可能性はある、

もちろんあの無愛想な煌子も含めて。

 せっかくのチャンスなので前回の反省も踏まえて
ついでとばかりに僕は由里に伝えた。

「何かさ、歌ってほしい曲とかリクエストあったら聞いとくよ。みんなが知ってる曲の方が盛り上がるだろうし」

「うん、わかった、聞いとくね!」
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