僕の彼女はアイツの親友

みつ光男

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Act 15. 孤独

【たったひとりだけのBirthday】

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 窓の外が暗くなり始めた夕方5時半過ぎ
"例の店"で煌子はまだコウを待っていた。

― タカムラったら、もう1時間の遅刻だ・・・

 これまで約束に遅れたり
反古にすることなどなかったコウが
まだ来ないのには

きっと、
いかんともしがたい理由があるのだろうと
煌子は思っていた。

「タカムラ…今更のこのこ来たって口、聞いてやらないんだから!」



 ー これは今から2時間前、
午後3時半過ぎの出来事・・・

煌子はコウとの約束の場所に行く前に
校門で足止めされていた。

「こら岩田!ちょっと早くしなよ、アタシ急いでんだからさ」

「あ、すみません田中先輩、大事なデートの日に」

「あん?誰がデートだって?」

「あ、すみません、すみません」

 中学時代からバスケ部の後輩であるヒロシは
煌子には全く頭が上がらない。

「しかしこんな怖い田中先輩が男子の前では
どんな顔するんだろ?」

「何か言った?」

「あ、いえ、何にも、それより壬生川先輩って
あの美人な人ですよね?
マジでいいんすか?俺なんか紹介して」

「由里のリクエストだからね、仕方ない
ほんともったいないよ、キミなんぞには」

「ありがとっす」

「礼を言うにはまだ早い」

「やっぱ…田中先輩のこと好きな男子なんて、
ある意味最強だよな」

「あぁ?何か言った?」

「あ、いえ、何でも…」

「ほんとに…もう、由里は何してんの?」

煌子は少し焦っていた。
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