僕の彼女はアイツの親友

みつ光男

文字の大きさ
上 下
204 / 293
Act 38. 回想編 1~さよならの街角

【極悪クラス】

しおりを挟む
「今日からこのクラスの仲間になるです」

 父の姓を名乗るのにはまだ違和感を拭えなかったが
当然ながら担任は僕のことを躊躇うことなく

僕をそう紹介した。

 彼らはそんな僕に対し何かしらの反応するでもなく
また挑発するでもなく

ただ終始無言で僕が席に付く様子を
遠巻きに眺めていた。

この日はこれだけだった、
帰り際に担任に呼び出されてこう言われた。

「今村君びっくりしたやろ?ヤツらも見た目はあんなやけど下手に刺激しなけりゃ何もしないから」

「はぁ…そうなんですか」

「まぁ我々も相手にしてへんから、あんな屑どものことは」

「はぁ」


どうも解せない・・・

 僕はこの教師の言葉に少なからず嫌悪感を抱いた。
誠心誠意、指導や更生を試みたのならば仕方ない。

しかしここの教師たちはそれすら放棄して
最初から"彼ら"を厄介者扱いしている

担任や他の教師の言動を見聞きして
そう感じてしまったのだ。

 そのせいもあってか転校して数日は
僕は"彼ら"とも教師とも一定の距離感を縮めることなく

無の心境で学校に通っていた。

 僕がこの学校に転校して2週間ほど経った
ある日のこと、

先に接点が生まれたのは
意外にも"彼ら"との間だった。

 休憩時間に隣の席の女子が突然、僕に話しかけてきた。
そんな彼女は明らかに"彼ら"側の人間だった。

「え?これ何やの?エグい趣味してんねんな」

彼女は僕の"缶ペンケース"

いわゆる筆箱を覗き込んで
不思議そうにこう言ったのだった。
しおりを挟む

処理中です...