僕の彼女はアイツの親友

みつ光男

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Act 45. 怨恨終幕 Ⅲ~旧敵掩護~

【あずさ、懐柔する】

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 この場所に来る数10分前、
コウとあずさが第6倉庫へ向かっている時のこと…

「兄ちゃん、ちょっと電話かけてきてええかな?」

「どした?」

「ほら…うち、仕事抜け出して来てるやんか。
会社に断りの電話しとかな」

「うん、じゃ、急いで!」

あずさは大急ぎで電話ボックスに入り
ダイヤルする。

ー 誰か出て、兄貴でも弟でもいいから


「はい、石田組ですが」

「もしもし?栗原やけど…誰?」

「あ?俺だけど」

「誰やねん、ボケ!名乗れや!」

「…玲二だ!口の悪い女だな、全く。で、オメェは仕事サボって何やってんだ?」

「ちょうどよかった、今から来てくれへん?」

「何のんきなこと言ってんだ?事務員がいねぇから俺が電話番させられてんだぞ!」

「後でジュースおごるから」

「ふざけてんのか!」

「ええんか?あのこと父ちゃんにバラしても…」

「あのこと?何だそりゃ?」

「あんた、父ちゃんのエロ本こっそり読んでるやろ?」

「な、何言ってんだ!それは…だな」

「バラされたくなかったかここまで来んかい!」

「わ、わかった…どこに行きゃいいんだ?」

「竹前の第6倉庫」

「ふざけんな!チャリでも30分はかかるじゃねえか!」

「おもろいもん、見れるで…」

「何だそりゃ?」

「喧嘩や…」

「ほぉ…?そりゃ楽しそうだ」

― やった!こいつアホや、

しめしめ…これで味方が一人増えるで…
あずさは受話器片手にほくそ笑んだ。
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