30 / 52
Vol. Ⅶ 神の戯れ その1
【それってもしかして】
しおりを挟む
ようやく少しずつ落ち着きを取り戻し始めたミヤさんに
俺は順序立ててことの次第を説明することにした。
が…その前に
「ミヤさん!早く決めよう!お腹すいたー!」
「え~っと悩んじゃうなぁ、ショーちゃんは決まった?」
「俺は味噌バター大盛りと餃子、あとここは炒飯が有名らしくて…」
「え?どれどれ?」
「この“黒い焼き飯”ってやつ」
「えー!どうしよ、あたしも食べたい…でも食べ切れるかなぁ?」
普段は割りとサバサバしている印象の京だが
以外と優柔不断なことを知った翔成は何だか嬉しかった
これまで見たことのない彼女の一面を垣間見た、
そんな気持ちにさせられたからだ。
京は悩みに悩んでようやく注文までこぎつけた。
さあ、これからこのお店とゆみちゃんを知った
きっかけを話していくことにしよう。
てっちりがきっかけとなって始めたブログには
幾つかのコミュニティがあったのだが
その中にTerrifying Chilies推しのサークルがあり
早速そこに加入の申し込みをした。
そして近隣のファン仲間を探していたところ
ゆみちゃんを発見した、と言うわけだ。
「で、色々調べてみたんだ?」
「そう、最初はブログの記事にコメントしたりって感じで」
「“少しずつ仲良くなる作戦”だね、ふふっ」
そして過去に同郷メンバーでもある
Jellyさんが学生時代に来店した話を知り
ツアーの時はお店にも来てくれる…そんな話を聞き
ブログで店内の画像を見ていると
いても立ってもいられなくなり…
「あたしを誘ったってわけね」
「遠いからなかなか言い出せなくて…」
「で…どっちなの?」
「え…?どっちって、何が?」
「本来の目的、はどっち?」
え?ミヤさん、何を言ってるんだろ?
困惑するそんな俺への助け船のように
「はい、お待たせしました、味噌バター大盛り!」
ゆみちゃんの登場のおかげで俺はほんの少しだけ
“考える時間”を手に入れた。
そうか!そう言うことか
ミヤさんはそれは“俺が行きたくて”なのか
“あたしに見せたくて”なのか
その二択を俺に問うことで
俺の気持ちを推し量ろうとしているのでは?
ならば…俺は本当の思いを率直に伝えるべきだ。
「そりゃもちろんミヤさんに…いや、ミヤさんと…」
「あ!おいしい!おいしいよショーちゃん!早く食べてー!」
俺の一世一代の名台詞は
ミヤさんの鶴の一声に書き消された。
ま、いいか、こんなノリがいいんだよな
空腹と戦っていた俺も一心不乱に炒飯をかき込んだ。
うやむやに終わってしまった“きっかけ”トーク
まだ時間はたくさん残されている、
この話題が出てくる機会はきっとあるはずだ。
その時が来たらさっきゲットしたキーホルダーを渡して
それとなく気持ちを伝えよう。
とりあえず今は食べることに集中…
出来ない
とてもじゃないが集中出来ない
目の前で大好きな女性が美味しそうに
ラーメンをすする姿を見て平静を保てるだろうか?
それは無理と言うものだ。
「どしたのショーちゃん?もうお腹いっぱい?」
「いやいや、食べますよ食べてますよ」
「ねぇ…」
「な、何?」
「あたし焼き飯全部食べれないんだけど…ショーちゃん食べる?」
「あ、は、はい!食べますとも」
「何でそこで敬語なの?また抜けない?癖が」
いいのか?
ミヤさんが食べ切れない炒飯、俺がもらっても
それって…それっていわゆる…
間接的な…アレじゃないか?
脳内で色んな妄想が駆け巡るのをバレないよう
あくまで平常心を保つ体でひたすら食べ続けていた
その時…
「どう?美味しいかなぁ?」
少し来客が落ち着いて時間が出来たゆみちゃんが
声をかけてくれたことでようやく落ち着きを取り戻した。
このままだと俺の心拍数は
ミヤさんに鼓動が聞こえるくらい高まっていただろう。
俺は順序立ててことの次第を説明することにした。
が…その前に
「ミヤさん!早く決めよう!お腹すいたー!」
「え~っと悩んじゃうなぁ、ショーちゃんは決まった?」
「俺は味噌バター大盛りと餃子、あとここは炒飯が有名らしくて…」
「え?どれどれ?」
「この“黒い焼き飯”ってやつ」
「えー!どうしよ、あたしも食べたい…でも食べ切れるかなぁ?」
普段は割りとサバサバしている印象の京だが
以外と優柔不断なことを知った翔成は何だか嬉しかった
これまで見たことのない彼女の一面を垣間見た、
そんな気持ちにさせられたからだ。
京は悩みに悩んでようやく注文までこぎつけた。
さあ、これからこのお店とゆみちゃんを知った
きっかけを話していくことにしよう。
てっちりがきっかけとなって始めたブログには
幾つかのコミュニティがあったのだが
その中にTerrifying Chilies推しのサークルがあり
早速そこに加入の申し込みをした。
そして近隣のファン仲間を探していたところ
ゆみちゃんを発見した、と言うわけだ。
「で、色々調べてみたんだ?」
「そう、最初はブログの記事にコメントしたりって感じで」
「“少しずつ仲良くなる作戦”だね、ふふっ」
そして過去に同郷メンバーでもある
Jellyさんが学生時代に来店した話を知り
ツアーの時はお店にも来てくれる…そんな話を聞き
ブログで店内の画像を見ていると
いても立ってもいられなくなり…
「あたしを誘ったってわけね」
「遠いからなかなか言い出せなくて…」
「で…どっちなの?」
「え…?どっちって、何が?」
「本来の目的、はどっち?」
え?ミヤさん、何を言ってるんだろ?
困惑するそんな俺への助け船のように
「はい、お待たせしました、味噌バター大盛り!」
ゆみちゃんの登場のおかげで俺はほんの少しだけ
“考える時間”を手に入れた。
そうか!そう言うことか
ミヤさんはそれは“俺が行きたくて”なのか
“あたしに見せたくて”なのか
その二択を俺に問うことで
俺の気持ちを推し量ろうとしているのでは?
ならば…俺は本当の思いを率直に伝えるべきだ。
「そりゃもちろんミヤさんに…いや、ミヤさんと…」
「あ!おいしい!おいしいよショーちゃん!早く食べてー!」
俺の一世一代の名台詞は
ミヤさんの鶴の一声に書き消された。
ま、いいか、こんなノリがいいんだよな
空腹と戦っていた俺も一心不乱に炒飯をかき込んだ。
うやむやに終わってしまった“きっかけ”トーク
まだ時間はたくさん残されている、
この話題が出てくる機会はきっとあるはずだ。
その時が来たらさっきゲットしたキーホルダーを渡して
それとなく気持ちを伝えよう。
とりあえず今は食べることに集中…
出来ない
とてもじゃないが集中出来ない
目の前で大好きな女性が美味しそうに
ラーメンをすする姿を見て平静を保てるだろうか?
それは無理と言うものだ。
「どしたのショーちゃん?もうお腹いっぱい?」
「いやいや、食べますよ食べてますよ」
「ねぇ…」
「な、何?」
「あたし焼き飯全部食べれないんだけど…ショーちゃん食べる?」
「あ、は、はい!食べますとも」
「何でそこで敬語なの?また抜けない?癖が」
いいのか?
ミヤさんが食べ切れない炒飯、俺がもらっても
それって…それっていわゆる…
間接的な…アレじゃないか?
脳内で色んな妄想が駆け巡るのをバレないよう
あくまで平常心を保つ体でひたすら食べ続けていた
その時…
「どう?美味しいかなぁ?」
少し来客が落ち着いて時間が出来たゆみちゃんが
声をかけてくれたことでようやく落ち着きを取り戻した。
このままだと俺の心拍数は
ミヤさんに鼓動が聞こえるくらい高まっていただろう。
1
あなたにおすすめの小説
僕《わたし》は誰でしょう
紫音みけ🐾新刊2月中旬発売!
青春
※第7回ライト文芸大賞にて奨励賞を受賞しました。応援してくださった皆様、ありがとうございました。
【あらすじ】
交通事故の後遺症で記憶喪失になってしまった女子高生・比良坂すずは、自分が女であることに違和感を抱く。
「自分はもともと男ではなかったか?」
事故後から男性寄りの思考になり、周囲とのギャップに悩む彼女は、次第に身に覚えのないはずの記憶を思い出し始める。まるで別人のものとしか思えないその記憶は、一体どこから来たのだろうか。
見知らぬ思い出をめぐる青春SF。
※表紙イラスト=ミカスケ様
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
お前が欲しくて堪らない〜年下御曹司との政略結婚
ラヴ KAZU
恋愛
忌まわしい過去から抜けられず、恋愛に臆病になっているアラフォー葉村美鈴。
五歳の時の初恋相手との結婚を願っている若き御曹司戸倉慶。
ある日美鈴の父親の会社の借金を支払う代わりに美鈴との政略結婚を申し出た慶。
年下御曹司との政略結婚に幸せを感じることが出来ず、諦めていたが、信じられない慶の愛情に困惑する美鈴。
慶に惹かれる気持ちと過去のトラウマから男性を拒否してしまう身体。
二人の恋の行方は……
短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜
美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?
その出会い、運命につき。
あさの紅茶
恋愛
背が高いことがコンプレックスの平野つばさが働く薬局に、つばさよりも背の高い胡桃洋平がやってきた。かっこよかったなと思っていたところ、雨の日にまさかの再会。そしてご飯を食べに行くことに。知れば知るほど彼を好きになってしまうつばさ。そんなある日、洋平と背の低い可愛らしい女性が歩いているところを偶然目撃。しかもその女性の名字も“胡桃”だった。つばさの恋はまさか不倫?!悩むつばさに洋平から次のお誘いが……。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
「やはり鍛えることは、大切だな」
イチイ アキラ
恋愛
「こんなブスと結婚なんていやだ!」
その日、一つのお見合いがあった。
ヤロール伯爵家の三男、ライアンと。
クラレンス辺境伯家の跡取り娘、リューゼットの。
そして互いに挨拶を交わすその場にて。
ライアンが開幕早々、ぶちかましたのであった。
けれども……――。
「そうか。私も貴様のような生っ白くてか弱そうな、女みたいな顔の屑はごめんだ。気が合うな」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる