用済みになった貴族の養子の子が本当の愛を知るまで

チョココロネ

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そのまま僕たちは出口を目指して拠点内を進んで行くが、組織の者たちもただ黙って見ているだけではない。
たくさんのルミナスの手下達が僕たちの前に次々と立ち塞がる。

「アレだけは逃げさせるな!捕まえろ!」

「チッ……しつこいな。次から次へと……!」

レオン君が舌打ちをし、僕をそっと壁際に座らせた。

「ノア、少しだけ待ってろ。すぐに片付ける」

レオン君の声は、いつになく低く、冷徹な響きを帯びていた。
僕をそっと冷たい石壁に背負わせると、彼は迷いなく一歩敵の前へと踏み出す。その背中は、いつかにクラスメイトから僕を助けてくれた時のようにヒーローのように頼もしく、輝いて見えた。

「……あいつら、ノア君のこと、モノみたいに言ったよね」

隣に立つテルノも、冷えた瞳で敵を見つめて、短剣を取り出す。

ふたりが構えを取ると、通路の奥から、松明の火に照らされた十数人の男たちが雪崩れ込んでくる。

「ガキどもが一丁前にヒーローぶりやがって!殺してやる!!」

先頭の男が大剣を振り上げた。
───その瞬間。

「黙れ!!」

レオン君が同時に地を蹴った。 地面を蹴って、彼は一瞬で間合いを詰める。
振り下ろされた敵の大剣を、レオン君は避けるどころか、真っ向から自らの剣で受け流した。

ガキィィィィン!!

硬質な金属音が通路に反響し、火花が散る。
レオン君は流れるような動作で敵の力をいなし、そのまま剣の柄頭で男の顎を突き上げた。

 「がはっ……!?」 

男がのけぞった隙を見逃さず、レオン君は鋭い一閃を放つ。
男は胸元を斬り裂かれ、その場にぐしゃりと崩れ落ちた。

「囲め! 数で押し潰せ!」

それに怯まず、次々に襲いかかる敵に対し、今度はテルノも動いた。

 「そこ、空いてるよ!」 

テルノは小さめの身体を活かして、跳躍しながら敵の懐に素早く飛び込んだ。

 「ぐあああっ! !!」 

テルノの短剣が、敵の武器を叩き落とし、素早く身体を貫いた。
着地と同時に彼は低く沈み込み、回転しながら敵の足首を斬り裂いていく

「僕の友達に……指一本触れさせない!!」

そのまま2人は背中合わせになる。

「レオン君、右から三人!」 
「分かってる!」

テルノが敵の武器を受け止め、体勢を崩させた瞬間に、レオン君の剣がその隙を確実に貫く。 レオン君の圧倒的な剣が敵を圧倒し、テルノの身のこなしが死角を消していた。

「ひ、ひぃっ……化物か、こいつら……!」

最後の一人が恐怖に顔を歪めて逃げ出そうとしたが、レオン君はその襟首を掴み、背後の壁に叩きつけた。

 「……お前たちがノアにしたこと、一生後悔させてやる」 

レオン君の冷徹な一瞥に、男はガクガクと震える。
そのままレオン君は剣を刺して、男を倒した。

静寂が戻った通路に、二人の荒い呼吸音だけが響く。 
レオン君はすぐに剣をしまうと、膝をついて僕の元へ駆け寄ってきた。

「待たせたな。……怪我はないか、ノア」

その瞳には、さっきまでの冷酷な剣士の面影はなく、ただただ僕を案じる、優しい瞳しかなかった。

「大丈夫だよ!それより、レオン君とテルノこそ怪我大丈夫……?ほんとにすごかった、二人とも、本当に……。めちゃくちゃ強かった……。」

「怪我なら無い。大丈夫だ。」

「えへへ、ちょっと張り切りすぎちゃった。ノア君をあんな風に言った奴ら、許せなかったんだもん」

テルノがそう言って、少し照れくさそうに笑う。

そうしてレオン君は僕を再び軽々と抱き上げると、力強い足取りで歩き出す。

敵を退け、再び僕を抱え上げたレオン君に、僕は気になっていたことを尋ねた。

「レオン君……周りにいる人たちは、アーヴェント家の兵だよね? アーヴェント侯爵は……協力してくれることになったの?」

「ああ、そうだよ。交渉が成功したんだ。この後は俺の実家でノアとアランを匿う。もちろん、ルカスとヴァルガスさんもだ」

「匿ってくれるの……? 本当に……?」

「ああ。俺の家なら、お前の父も簡単には手出しできない。安心しろ」

レオン君の言葉に、胸の奥がじんわりと温かくなった。
けれど、そんな安堵を打ち砕くように、通路の奥から不気味なガシャン、ガシャンという音と共に、足音が聞こえてきた。

現れたのは、これまでの手下とは違った明らかに異質な男だった。
その右腕は、異様な金属の光沢を放っている。
まるで人間と機械を無理やり繋ぎ合わせたような、改造人間だったのだ。



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