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15 異種族戦闘
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「っふぁ~…、やっと着いたぁ…」
村の出入り口で一悶着あった後、俺は一目散に昨日の俺の狩場であった地点までやってきた。
辺りには昨日散々倒しまくった、スライムどもがプルプルと体を震わせながら、時には自らの身体を伸ばしたり弾ませたりしながらそこにいた。
俺の心境としては最早スライムを視界に入れるのも非常に躊躇われた。
「なぁんて、考えてても仕方ないんだろうなぁ…ハァ」
俺はその場に持参した荷物(採集キット)をその場に下ろし、軽く準備体操をする。
十全に解れたのを再度確認した俺は、手近な場所にいたグリーンスライムに近づくと
「フンッ!」
気合を入れた拳を振り下ろした。振り下ろした拳にスライム特有のニチャニチャとしたヘドロのような感触が伝わった。
次いでスーパーボールのような感触が拳に伝わったと同時に、グリーンスライムはその身体を爆ぜさせた。
バシャァッと音がした刹那の瞬間俺の身体に例えようのない不快感が訪れた。
爆ぜたスライムの身体は直接攻撃を加えた者—つまり俺—に降り注いだのだ。
爆ぜたスライムを身に纏った俺は暫し動きを止める。そしてーー
「グローブつけんの…忘れてたぁぁぁ!!」
絶叫した。
いつの間にか辺りには茜色の光が落ちている。だが俺にはそんな周りの様子を見ている暇はなかった。
いや、意識を向けることができなかった、というのが正しいのだろう。
「ふっ…よいしょおっ!」
用意したグローブを手にはめてスライムに殴りかかった俺はそう叫びながら、昨日とは変わった速度で右ストレートを繰り出す。
すると最初の頃とは違い、繰り出した拳がスライムのコアに触れた瞬間爆ぜる…ということはなくなり、拳の威力、というか拳圧によりスライムの身体から素早くコアのみを弾き出すということができるようになった。
ボコッ、とドロドロの液体が沸騰したような音と共にコアが飛び出す。コアが失われたスライムは支えを失ったようにその場にドロッと溶け出した。
因みにスライムをこんな風に倒せるようになったのは、カウントが400を越えるか越えないかの時だった。
俺は側に落ちているコアを拾い上げ、袋の中にしまい次の獲物を探す。
もう何体倒したのだろう。スライムを倒すのにだけ専念していたので数を数えることのなかった俺は、確認のためにステータスを確認した。
「えーと……、おおっ後少しじゃん!」
画面を確認するとカウントの表示はいつの間にか487まで上がっていた。
この表示を見て俄然やる気の出てきた俺は自らの疲れを忘れ次の獲物を探し始める。
先ほどの場所から少し離れたところで辺りを見渡すと、遠目にプルプルと震える物体が見えた。
「お、いたいた!」
カウントが終わりに近づいていたのもあり、俺は意気揚々とスライムを確認した場所あたりまで走って向かった。
スライムとの距離は段々近づいていく。そりゃそうだ、俺が近づいているんだからな。しかも走って。
そして俺は気付いた。
「ん、あれ?スライムがいて…あ、あいつは一体?」
プルプルと震えるスライムの正面に一体、向き合うようにして対峙している俺が未だ見たことのない魔物がいた。
だが、俺は何となくこの魔物が一体何なのか分かっていた。
「ゴブリン…だよな?」
緑の身体に不恰好な、凡そ武器とは言えない棍棒のようなものを持った醜悪な顔をした魔物。
俺がよくやっていたゲームや読んでいた小説で知った特徴が完全に合致していたからこそ、俺はそう結論付けた。
醜悪な顔でスライムを威嚇するゴブリン。それを分かっているのかいないのか分からないスライム。そのままの姿勢で静止していた二体は遂に動く。
まず動いたのはゴブリンだ。ーー恐らく雄叫びなのだろうーー奇声を発して一目散にスライムの身体めがけて棍棒を力任せに振り下ろす。
それを難なく避けたスライムは、凡そ流動体の体を持っている者とは思えない動きで棍棒を強く地面に打ち付けたゴブリンの股下を掻い潜り背後に回った。
スライムはそのまま背後から跳躍しゴブリンの頭へと張り付いた。その直後からシュウシュウという音が発生し始めた。
その瞬間からゴブリンの断末魔とも取れる絶叫が始まった。棍棒を取り落とし後頭部から顔まで包み込むようにして広がったスライムを必死になって引き剥がそうとする。
だがしかし、スライムの身体は液体故にそれは叶わない。スライムの出す音は段々と激しくなりそれに比例してゴブリンの断末魔は急激に小さくなっていく。
ここで俺は漸くスライムがなにをしてゴブリンを仕留めようとしているのかを理解する。
それは捕食。包み込まれたゴブリンの頭部が消えていく。まるで身体が溶け出していくかのように。
それを理解した瞬間カクンッと膝が折れた。要するに腰が抜けた。
スライムの捕食なんて初めて見た。俺が今まで戦ってきたスライムは色こそよりどりみどりだが、捕食なんていう行為を行っている個体はついぞ見かけなかったのだ。
そんな俺が初めて出会う未知の、それも妙に現実味を帯びさせる一因ともなる人型の捕食なんて光景は俺の恐怖心を呼び起こすのには充分だった。
間も無く絶命したゴブリンの最期はあっけないものだった。静まり返った死骸は瞬く間に飲み込まれ数秒も経たないうちに、死骸は全て消えてしまった。
そこで漸く俺の存在に気付いた、…いや気付いてしまったスライムは俺が戦ったスライムよりも数倍早い速度で迫ってきた。
気付いた時には、身体を大きく広げたスライムの姿が目の前にあった。
村の出入り口で一悶着あった後、俺は一目散に昨日の俺の狩場であった地点までやってきた。
辺りには昨日散々倒しまくった、スライムどもがプルプルと体を震わせながら、時には自らの身体を伸ばしたり弾ませたりしながらそこにいた。
俺の心境としては最早スライムを視界に入れるのも非常に躊躇われた。
「なぁんて、考えてても仕方ないんだろうなぁ…ハァ」
俺はその場に持参した荷物(採集キット)をその場に下ろし、軽く準備体操をする。
十全に解れたのを再度確認した俺は、手近な場所にいたグリーンスライムに近づくと
「フンッ!」
気合を入れた拳を振り下ろした。振り下ろした拳にスライム特有のニチャニチャとしたヘドロのような感触が伝わった。
次いでスーパーボールのような感触が拳に伝わったと同時に、グリーンスライムはその身体を爆ぜさせた。
バシャァッと音がした刹那の瞬間俺の身体に例えようのない不快感が訪れた。
爆ぜたスライムの身体は直接攻撃を加えた者—つまり俺—に降り注いだのだ。
爆ぜたスライムを身に纏った俺は暫し動きを止める。そしてーー
「グローブつけんの…忘れてたぁぁぁ!!」
絶叫した。
いつの間にか辺りには茜色の光が落ちている。だが俺にはそんな周りの様子を見ている暇はなかった。
いや、意識を向けることができなかった、というのが正しいのだろう。
「ふっ…よいしょおっ!」
用意したグローブを手にはめてスライムに殴りかかった俺はそう叫びながら、昨日とは変わった速度で右ストレートを繰り出す。
すると最初の頃とは違い、繰り出した拳がスライムのコアに触れた瞬間爆ぜる…ということはなくなり、拳の威力、というか拳圧によりスライムの身体から素早くコアのみを弾き出すということができるようになった。
ボコッ、とドロドロの液体が沸騰したような音と共にコアが飛び出す。コアが失われたスライムは支えを失ったようにその場にドロッと溶け出した。
因みにスライムをこんな風に倒せるようになったのは、カウントが400を越えるか越えないかの時だった。
俺は側に落ちているコアを拾い上げ、袋の中にしまい次の獲物を探す。
もう何体倒したのだろう。スライムを倒すのにだけ専念していたので数を数えることのなかった俺は、確認のためにステータスを確認した。
「えーと……、おおっ後少しじゃん!」
画面を確認するとカウントの表示はいつの間にか487まで上がっていた。
この表示を見て俄然やる気の出てきた俺は自らの疲れを忘れ次の獲物を探し始める。
先ほどの場所から少し離れたところで辺りを見渡すと、遠目にプルプルと震える物体が見えた。
「お、いたいた!」
カウントが終わりに近づいていたのもあり、俺は意気揚々とスライムを確認した場所あたりまで走って向かった。
スライムとの距離は段々近づいていく。そりゃそうだ、俺が近づいているんだからな。しかも走って。
そして俺は気付いた。
「ん、あれ?スライムがいて…あ、あいつは一体?」
プルプルと震えるスライムの正面に一体、向き合うようにして対峙している俺が未だ見たことのない魔物がいた。
だが、俺は何となくこの魔物が一体何なのか分かっていた。
「ゴブリン…だよな?」
緑の身体に不恰好な、凡そ武器とは言えない棍棒のようなものを持った醜悪な顔をした魔物。
俺がよくやっていたゲームや読んでいた小説で知った特徴が完全に合致していたからこそ、俺はそう結論付けた。
醜悪な顔でスライムを威嚇するゴブリン。それを分かっているのかいないのか分からないスライム。そのままの姿勢で静止していた二体は遂に動く。
まず動いたのはゴブリンだ。ーー恐らく雄叫びなのだろうーー奇声を発して一目散にスライムの身体めがけて棍棒を力任せに振り下ろす。
それを難なく避けたスライムは、凡そ流動体の体を持っている者とは思えない動きで棍棒を強く地面に打ち付けたゴブリンの股下を掻い潜り背後に回った。
スライムはそのまま背後から跳躍しゴブリンの頭へと張り付いた。その直後からシュウシュウという音が発生し始めた。
その瞬間からゴブリンの断末魔とも取れる絶叫が始まった。棍棒を取り落とし後頭部から顔まで包み込むようにして広がったスライムを必死になって引き剥がそうとする。
だがしかし、スライムの身体は液体故にそれは叶わない。スライムの出す音は段々と激しくなりそれに比例してゴブリンの断末魔は急激に小さくなっていく。
ここで俺は漸くスライムがなにをしてゴブリンを仕留めようとしているのかを理解する。
それは捕食。包み込まれたゴブリンの頭部が消えていく。まるで身体が溶け出していくかのように。
それを理解した瞬間カクンッと膝が折れた。要するに腰が抜けた。
スライムの捕食なんて初めて見た。俺が今まで戦ってきたスライムは色こそよりどりみどりだが、捕食なんていう行為を行っている個体はついぞ見かけなかったのだ。
そんな俺が初めて出会う未知の、それも妙に現実味を帯びさせる一因ともなる人型の捕食なんて光景は俺の恐怖心を呼び起こすのには充分だった。
間も無く絶命したゴブリンの最期はあっけないものだった。静まり返った死骸は瞬く間に飲み込まれ数秒も経たないうちに、死骸は全て消えてしまった。
そこで漸く俺の存在に気付いた、…いや気付いてしまったスライムは俺が戦ったスライムよりも数倍早い速度で迫ってきた。
気付いた時には、身体を大きく広げたスライムの姿が目の前にあった。
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