拳の剣聖

シンカイ

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21 力

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 昨日、いや…三日前の狩場に到着した俺はすっかり確認するのを忘れていたステータスを確認する。

 「ステータス」

 と唱えると、毎度お馴染みのモノが表示された。


 名前   リン ミヤマ
 性別   男
 LV   14
 職業   なし
力   40
守   33
命中   22
魔力   21
素早さ   35
 スキル   スキルの種 lv unknown
                   我流武術   487/500
                          神眼 lv 1
                          覚醒        0/1
 ユーモアスキル   スライム擬態   lv MAX
※新しいスキルがあります
 称号   拳術見習い
※新しい称号があります


 (う…、またなんか光ってる…)

 前回非常に気にくわない称号を獲得した時と同じく文章が光っている。

 (うわ~…見たくねぇなぁ…)

 非常に気が進まないが、何故だか今すぐ見なければいけない気がした…。
 仕方ないので表示させてみた。


 ※新しい称号があります
 蛮勇 NEW!
 サンドバック NEW!


 (スゥー…、ハァー…、スゥー…)

 「ふっざけんなぁぁぁあああぁぁぁぁ!!!」

 声を大にして叫んだ。

 「なんだよサンドバッグって!好きでやられてるわけじゃねぇっつうの! しかも蛮勇っておいぃ!! 俺が挑んだんじゃねぇだろうがッ!! ざっけんなコラぁぁぁッ!!!」

 誰もいない草原にひたすら俺の声が響いた。

 「ゼェッ…ハァ……フゥ…」

 全力で声を放ったせいで、思わず息切れが…ハァ。

 大声を出してスッキリしたところで、他にも気になっていた箇所を確認する。

 「そういえばこの『覚醒』ってなんだ?」

 俺は他のスキルと同じように詳細を調べようとした。だが。


 覚醒  ???  0/1


 「あれ? なんでだ?」

 いくら調べようとしても???の表示は変わることはなかった。
 名称がアレなだけにすっごく気になるんだが……まぁ、分からないんならしょうがないか。
 俺はもう一つの気になる部分を見てみた。


 ※新しいスキルがあります
  スライムアーマー lv1 NEW!
 全身にスライムの特性を付与する。
(物理耐性)


 「うおお! これ使えるだろ!」

 今まで悲惨な情報しかなかっただけにかなり嬉しい!
 早速俺はスライムアーマーを発動させて見た。すると。

 ヌロォォン…

 「…………」

 俺の身体から透明の膜が滲み出してきた。それと共に俺の身体は徐々にテカり始めてきた。

 「…なんですかこれ…」

 やがて発動が完了したのか、俺が着用していた衣類も含め太陽の光を浴びてそれはもうテカりにテカっていた。例えるならば…全身ローションといえば想像しやすいだろう。
 ヌラァっとヒンヤリとしたローション?を纏った俺は暫く立ち尽くした後、性能を確かめるために魔物を探すことにした。

 やがて俺は一体のスライムを発見した。

 「よし、あいつで試してみるか!」

 俺は敢えて自らの身をスライムの前にさらけ出した。
 スライムにはバカな人間が無防備に己の体を晒してるように見えたのか、一目散に突進してきた。
 衝撃に備えて腰を落とし、構える。

 「くっ…!」

 やはり耐性というだけあって、完全防御はできなかったが、前回攻撃を受けた時より痛みはなかった。

 「うーん、こんなもんか…?」

 実験も終わったことだし、俺はスライムに素早く貫手を使いコアを弾き飛ばした。

 「よし、じゃあスライム狩りをしようかな!」

 残念スキル&称号の確認も終えた俺は、あと一息で獲得できるスキルを得るためにスライム探しに奔走するのだった。


 「ほっ、ほいさっ」

 軽くスライムの体当たりをかわし、コアを弾き飛ばす。

 「これで終わりかな?」

 早速スキル欄を確認してみる。


 ※条件を満たしたスキルがあります
 我流武術 lv1
素手での攻撃が強化され、あらゆる特性を拳に宿す。


 「うあっ、なんだこれ…!?」

 確認した瞬間膨大な数の知識が頭に流れ込む。
 その知識は全て素手による武術や攻撃の型、さらに技のものだった。
 それは俺が知っている空手や柔道、全く知らない武術もあった。

 「うぅぅぅ…!」

 頭をハンマーで殴られたようだ…。
 痛みは暫く続き、やがて収まる。

 「これは……ヤバイな…!」

 軽く身体を動かす。その場で蹴りを繰り出す。風を切る音が鳴る。
 その場で正拳突きをしてみる。こちらは風を打つ音がした。
 いてもたってもいられなくなった俺はそこらにいたスライムに拳を振るった。

 フォンッ

 瞬間スライムの身体からコアがなくなる。そして数秒震えたあと溶けるように身体を崩した。

 「スゴイ…けど違いが分からん…!」

 (うーん、もうちょっと相手になりそうなのは…あ。)

 「木でよくね?」

 ということで木を探してみる。辺りを見渡してみると、草原の筈なのに遠くに数本木があるのが確認できた。
 早速俺は走って近づく。だがここでも体の異変が感じられた。

 「うおおおはえぇ!!」

 木までは結構な距離で、300メートル程はあると感じられたハズなのに、俺はその間を僅か10秒も満たない速さで駆け抜けた。

 「これもうチートだろ!」

 俺の身体には俺が記憶した武術の型、体の動かし方ですら完全に反映されていた。まるで元々自分が長年学んできたかのように。
 我慢の限界だった俺は今の自分の攻撃力を確かめるために木に向かって力一杯殴りつけた。

 ドォォォン!

 一回殴る毎にミシミシと拳ではなく木が悲鳴のような音を鳴らす。
 数回殴った後に蹴りを放つと攻撃が当たった場所からメキィッと折れた。太さは大体で俺の胴まわりと同じくらいなのにも関わらずにだ。
 思わず身体が震えた。力を手に入れ歓喜に震えた。
 今ならば夢にまで見た某格ゲーの技だって出来る気がする。というかできた。

 「はは、はははっ、ははははは!!」

 (笑いがとまんねぇ!!)

 走って目に付く魔物を片っ端から葬った。スライムなんて何匹倒したか数えてすらない。
 他にも俺が初めて戦った狼やファンタジーな世界で良く聞くゴブリンらしき魔物も調子に乗って飛び後ろ回し蹴りで一発で仕留めた。

 (楽しいッ楽しすぎるッ!)


 一体どれだけの時間そうしていたのだろうか。
 俺が通った後には魔物の屍が点々と続いている。
 だが、全体で見渡してみれば一面見渡してみて屍がない場所など最早どこにもない状態だった。
 戦い…いや、一方的な虐殺を繰り返していた俺は気付いていなかった。
 自分自身の体の変化に。
 そして、心の異変に。
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